20世紀末のニューヨークを舞台に、貧困や病などの試練に直面しながらも懸命に生きる若者たちを描いた傑作ミュージカル『RENT』。2026年、8度目(東宝製作版にて)となる日本上演が決定しました。鈴木福さん、木原瑠生さん/RIKUさん、Beverlyさん/遥海さんらが出演予定です。

色褪せることなく語り継がれる「No day but today」というテーマ

『RENT』は、ジョナサン・ラーソンが作詞・作曲・脚本を手がけたミュージカルです。プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』をベースに、粗暴で喧噪に包まれた20世紀末のニューヨーク、イースト・ヴィレッジを舞台に、若者たちの生き様や世相を繊細かつ鮮やかに描きました。

本作の中心には「No day but today」というテーマがあります。物語の登場人物たちは、貧困、エイズ、ドラッグといった死と隣り合わせの問題に翻弄されながらも、愛や友情を信じ、夢に向かって懸命に生きています。彼らが発する「過去もない、未来もない。 今日という日を精一杯愛し、生きていく」というメッセージは、今も色褪せることなく世界中で共感を呼び、語り継がれています。

1996年、『RENT』のプレビュー公演がオフ・ブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップで行われました。センセーショナルでドラマティックな内容とロックな音楽が観客を虜にし、わずか3ヶ月という異例のスピードでブロードウェイのネダーランダー劇場に進出。同年度のトニー賞ミュージカル部門で最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀オリジナル作曲賞、最優秀助演男優を受賞します。ピューリッツァー賞ドラマ部門でも最優秀作品賞を受賞しました。

その後、2008年までの12年4ヶ月で、連続上演5140回というブロードウェイで歴代11位のロングラン公演記録を残します。世界40ヵ国以上で各国語版が上演されているほか、2006年には映画化もされました。

2008年には日本初演の幕が開き、2012年にはプレビュー公演を手がけたマイケル・グライフによる新演出版を上演し、RENTファン(通称「レントヘッド」)の熱い支持を受けました。それ以降も再演を重ね、2026年に8回目の上演を迎えます。

とても残念なことに、ジョナサン・ラーソンは『RENT』が世界中で愛されていく過程を見ることができませんでした。プレビュー公演前日の1996年1月25日、35歳の若さで亡くなったためです。しかし、彼の最初で最後のミュージカルである本作は、間違いなくこれからも人々を魅了し、「No day but today」のスピリットを伝えていくことでしょう。

ミュージカル『RENT』のストーリー

1991年、ニューヨーク・イーストヴィレッジ。映像作家志望のマークは、友人で元ロックバンドのボーカル、ロジャーと古いロフトで暮らしている。夢を追う彼らに金はない。家賃(レント)を滞納し、クリスマス・イヴにもかかわらず電気も暖房も止められてしまう。恋人をエイズで亡くして以来、引きこもり続けているロジャー自身もHIVに感染しており、せめて死ぬ前に1曲後世に残す曲を書きたいともがいている。ある日、彼は階下に住むSMクラブのダンサー、ミミと出会うが彼女もまたHIVポジティブだった。一方のマークはパフォーマンスアーティストのモーリーンに振られたばかり。彼女の新しい相手は女性弁護士のジョアンヌだ。仲間のコリンズは暴漢に襲われたところをストリートドラマーのエンジェルに助けられ、二人は惹かれあう。季節は巡り、彼らの関係もまた少しずつ変わってゆく。出会い、衝突、葛藤、別れ、そして二度目のクリスマス・イヴ……

キャスト全員による「Seasons of Love」で観客全員の胸が熱くなる

『RENT』で忘れてはいけないのが、ミュージカル・映画版ともに全キャストによって歌唱されてきた名曲「Seasons of Love」です。ある登場人物の死と仲間たちの想いが詰め込まれており、作中で最も重要な楽曲とされています。

「Five hundred twenty-five thousand Six hundred minutes」という特徴的な歌い出しで、観客は早くも興味を引かれます。これは1年間を分数で表した数です。そこから「How do you measure Measure a year?」と続き、「人の一生のうち、1年の価値を測る方法は何だろうか」と主人公たちは問い続けます。そして最後に「How about love? Measure in love」と歌い、「愛で測ろう」と全員の想いが重なるのです。

レントヘッドである筆者から、特に好きな歌詞をご紹介させてください。

How do you measure the life
Of a woman or a man?
In truths that she learned
Or in times that he cried
In bridges he burned
Or the way that she died

「1人の女性や男性の人生をどうやって計る?」という問いかけに対し、「彼女が学んだ真実で、彼が泣いた回数で、彼が絶った退路の数で、彼女の死に様で」と返す歌詞になっています。人生が終わるときに自分を示すのは美しい記憶ばかりではなく、苦しみながらも精一杯やってきた時間なのかもしれない。そう思わされるパートです。2026年版キャストの「Seasons of Love」を聴けることを、心の底から楽しみにしています!

鈴木福、木原瑠生/RIKU、Beverly/遥海などの若手キャストが集結!

マーク役 鈴木福さん
ロジャー役 木原瑠生さん/RIKUさん(THE RAMPAGE)(Wキャスト)
ミミ役 Beverlyさん/遥海さん(Wキャスト)
コリンズ役 石井一彰さん/加藤潤一さん(Wキャスト)
エンジェル役 坂口涼太郎さん/髙橋颯さん(WATWING)(Wキャスト)
モーリーン役 KIMIKAさん/住田愛子さん(OVAL SISTEM)(Wキャスト)
ジョアンヌ役 宮本美季さん/塚本直さん(Wキャスト)
ベニー役 秋沢健太朗さん
ミセス・ジェファーソン役 COLINAさん
アレクシー役 Miaiさん
ミセス・コーエン役 小熊綸さん
スティーヴ役 聖司朗さん
ゴードン役 田村凌大さん
ミスター・ジェファーソン役 吉岡悠歩さん
スウィング KATSUHIROさん(5IN)

筆者は特にエンジェル役の坂口涼太郎さんに注目しています。映画『ちはやふる』シリーズの木梨浩役(通称「ヒョロ」)や、NHK連続テレビ小説『風、薫る』の藤田邦夫役、木ノ下歌舞伎『勧進帳』『三人吉三廓初買』などで知られている方です。シンガーソングライター・ダンサーとしても経験豊富で、『RENT』内でも独創的なキャラクターであるエンジェル役にぴったりだと感じています。

実は坂口さんにとってエンジェルは特別な存在です。2008年から3回連続で最終選考まで行ったものの選ばれず、「縁がないのかもしれない」と諦めていたとのこと。しかし、ジョナサン・ラーソンが亡くなった年齢になり、「最後に私のエンジェルを発表してからレントを卒業しよう」とオーディションに臨んだ結果、夢を掴み取りました。彼の愛情と努力が詰め込まれたエンジェルを、必ずこの目で観たいと思います!

ミュージカル『RENT』は、2026年10月15日(木)~11月13日(金)まで東京・シアタークリエで上演されます。その後、11月20日(金)・21日(土)は広島・呉信用金庫ホール、11月26日(木)〜11月29日(日)は福岡・博多座、12月4日(金)〜12月6日(日)は愛知芸術劇場 大ホール、12月11日(金)〜12月14日(月)は大阪・SkyシアターMBSでのツアー公演も予定されています。キャストスケジュールなど、詳しくは公式サイトからご確認ください。

さよ

映画版と2025年版ミュージカルを観て心を奪われたわたし。2026年版はいったいどうなるのか、変化も普遍も楽しみです。本作の大きな魅力は、キャストごとに生まれる独自の化学反応です。長年の念願を叶えてエンジェル役を射止めた坂口涼太郎さんをはじめ、新たなキャスト陣が名曲「Seasons of Love」とともにどんな熱量で物語を紡いでくれるのか、今から待ちきれません!