『となりのトトロ』をイギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが世界初の舞台化をすることが決まりました。エグゼクティブ・プロデューサーを務めるのは、久石譲さん。今年10月に、ロンドンで開幕します。
イギリス名門カンパニー×久石譲、名作ジブリ作品で世界に挑む
宮﨑駿監督のアニメーション映画『となりのトトロ』が、イギリスの名門、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによって初めて舞台化されます。映画で音楽を手掛けた作曲家の久石譲さんがエグゼクティブ・プロデューサーを務めます。
久石譲さんは、日本にはミュージカルや舞台を好きな人が大勢いるのにも関わらず、日本発の世界中で上演されているオリジナル舞台・ミュージカル作品が無いことを受け、この構想に至りました。「『となりのトトロ』は世界中の人が知っている日本の作品。もし舞台になったら、世界に出ていく最初の作品になるんじゃないか」と、原作者の宮崎監督に舞台化を打診。宮崎さんは「久石さんがやるなら」と快諾してくださったそうです。
ロイヤルシェイクスピアカンパニーは、以前から『となりのトトロ』の舞台化を熱望していました。長い歴史を通してクオリティーの高い舞台作りで知られているロイヤル・シェイクスピアカンパニー。シェイクスピア作品以外にも、2023年春に日本での初上演が決まっているミュージカル『マチルダ』など傑作を世に送り続けています。
演出には『アクナーテン』でローレンス・オリヴィエ賞を受賞した経歴を持つフェリム・マクダーモット。オペラ等の演出もしていて、『となりのトトロ』も大好きとのこと。そして、注目の若手脚本家のトム・モートン=スミスが脚本を手掛けます。トムは、物理学者J・ロバート・オッペンハイマーと原子爆弾の建設についての劇『オッペンハイマー』でロイヤル・シェイクスピア・カンパニーデビューを果たしました。演出のフェリム・マクダーモット は「美しい音楽とともに、舞台にします。パペット、役者とともに、命を吹き込みます」と意気込みを語っています。
幼少期の純真な気持ちは万国共通
久石譲さんは「原作の映画に携わっていたことから、映画を壊したくないという思いが強くある」と言います。しかし、最初から日本語で舞台化すると、どうしても映画の印象が強く被ってしまいます。それならば、外国で上演してみてはと久石さんは考えました。舞台化にあたり「本作に本当の意味で普遍性があるなら、まったく違うカルチャーで育った人たちが違う言語でやっても、きっと世界中の人に伝わるはず」とコメント。
また、外国で舞台化する上でスペクタクルになってしまうのではないかという心配もあります。トトロが飛び回ったりすることがないよう、久石さんがチェックしつつ制作されているとのことです。
題字も手掛けたスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは「果たしてどうやってトトロと出会えるのか。とても楽しみにしています」と舞台化に期待を寄せています。舞台『となりのトトロ』は、2022年10月からロンドンで15週間限定での上演が予定されています。
スタジオジブリ作品では人気作品『千と千尋の神隠し』が今年舞台化され、大好評。同じく人気作品の『となりのトトロ』が、日本の緑豊かな風景での物語が、イギリスでどのように舞台として作られていくのか、大注目です。