宝塚歌劇団の舞台は、演出から衣装に至るまで華やかなイメージに包まれています。その一端を担っているのが、トップスターたちの「背負い羽根」です。1度見たら忘れられないほど、インパクトのある豪華絢爛な羽根。今回は、宝塚歌劇団ならではの衣装飾りに注目し、「背負い羽根」とスターの関係性を探っていきます。
トップスターの「背負い羽根」とは
宝塚歌劇団の「背負い羽根」とは、ショーのラスト、あるいは作品のフィナーレにおいて、特定のタカラジェンヌが背負う羽根飾りのこと。出演者が順番に大階段から降りてきて挨拶する「パレード」のシーンで、スターに背負われて登場します。基本的に、背負い羽根を身につけるのはトップスターとトップ娘役、そして2番手の男役です。
背負い羽根の素材には、主にダチョウのオーストリッチ羽根を使用。オーストリッチ羽根を繋ぎ合わせ、もこもことボリュームのある円形に仕上げます。また、キジ羽根を重ねることで、全体の輝きがアップ。キジ羽根はトップスターの背負い羽根にのみ使われることが多く、存在感を高めてくれます。
さらに、羽根が床まで垂れ下がる「ナイアガラ」のスタイルも、トップスターの特権です。このような構造から、背負い羽根の重量は相当なものとなります。10キロ以上に及ぶ背負い羽は、見た目の華やかさとは裏腹に、背負うだけで一苦労でしょう。
「背負い羽根」でトップスター事情がわかる?
見る者の目をくぎ付けにする背負い羽根は、単なる衣装飾りではありません。タカラジェンヌや宝塚歌劇団のファンにとって、背負い羽根には別の意味合いが込められています。組内での序列をわかりやすく示しているのが、背負い羽根の存在です。通常、トップスターが1番大きく、豪華な羽根を背負います。続くトップ娘役と2番手スターは、少し小さいサイズです。
男役にとって、トップ娘役とほぼ同じ大きさの羽根を背負っていることが、2番手スターと見なされている証明になります。つまり、人気があっても2番手用の羽根を背負っていなければ、2番手スターに確定しているとはいえないのです。また、時には3番手も、3番手用の背負い羽根をつけるケースがあります。
タカラジェンヌが公演で背負い羽をつけるようになれば、2番手・3番手として今後の活躍が期待されていることを意味します。それだけに、ファンにとっても背負い羽根の有無は要チェックポイントなのです。
宝塚歌劇団のトップスターの象徴、「背負い羽根」に注目して観劇しよう
大きく煌めく背負い羽根は、宝塚歌劇団のトップスターを象徴しています。また、公演ごとの演目や、トップスターに合ったイメージの背負い羽根が見られるところも、楽しみのひとつ。羽根の色やデザインへのこだわりが、舞台の最後までファンを魅了する要素となっています。「今回はどんな背負い羽根で登場してくれるんだろう?」とワクワクしながら、フィナーレを迎えてみてはいかがでしょうか。
10キロ以上もある羽根を背負って大階段を降り、ファンに向けて深々とお辞儀をするトップスターたち。全く重さを感じさせない美しい動作は、もはやアスリートの域だと思わずにはいられません…!