日々、多くの作品が上演されている小劇場演劇。どれを観たらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、演劇を愛するAudience編集部が独断と偏見で、2月に上演している作品の中からおすすめ作品を3本セレクトしてみました!

社会から孤立した2人の女性を描いたシャーロット・ジョーンズ処女作。カリンカ『エアスイミング』

「カリンカ」は、女優の橘花梨さんが自身の25歳の誕生日の2018年9月30日に立ち上げたソロプロジェクト。企画・プロデュース・出演を橘さん自ら行っています。今回上演する『エアスイミング』 は、シャーロット・ジョーンズさんの処女作です。シャーロット・ジョーンズさんの『ハンブルボーイ』という作品は英国やその他の国でも評価が高く、ジョン・ケアードさんが演出し、批評家協会演劇賞も受賞しています。

物語の舞台は1920年代イギリス。精神異常の烙印を押され、収容施設に収監された2人の女性の不撓不屈の物語です。 一人は上流階級育ちで21歳のペルセポネー・ベイカー、もう1人は2年早くこの病院に入っているドーラ・キットソン。社会から孤立した彼女たちは、悲嘆にくれながらも、互いに想像力を駆使し、生き延びようとして…。

2人の女性を、小口ふみかさんと橘花梨さんが演じます。演出は、あやめ十八番の堀越涼さんです。あまり日本で上演される機会のないシャーロット・ジョーンズの作品を観ることができる貴重な機会となっています。カリンカ『エアスイミング』は、2月28日(水)~3月3日(日) に下北沢・小劇場 楽園にて上演です。公式HPはこちら

瀬戸内海の島を舞台に家族の“おしゃべり”を描く Pityman『くるぶしを濡らして』

Pitymanは、山下由さんが脚本・演出作品を務める団体です。繊細な日常描写を得意とし、ドライでありながらもさみしさを抱える青年たちを会話劇で描き、”なんでもなさ”から世界を照らしだそうとする作風が特徴。劇中の女性描写のリアルさが、支持されている理由の1つとなっています。

若手演出家コンクール2013『ハミング・イン・ウォーター』、2014『ぜんぶのあさとよるを』にて2年連続優秀賞。第8回せんがわ演劇コンクールでは『ぞうをみにくる』が劇作家賞を受賞。門真国際映画祭2019舞台映像部門では『ハミング・イン・ウォーター(再演)』が優秀作品賞、最優秀編集賞を受賞しました。

広島県出身の山下さんが全編広島弁で描く新作公演『くるぶしを濡らして』。広島の瀬戸内海に浮かぶ島を舞台に、家族たちのおしゃべり劇を上演します。

【あらすじ】
優しくありたいと思うけど。
久しぶりに会った従妹は違う人かと思うくらい大きくなっていた。
笑う顔だけ昔のままだ。
かつて祖母と暮らした港町に私は夫と暮らしている。
おばあちゃんは叔母に連れ去られ、顔も見られないまま死んでしまった。
その叔母の子を預かることになった。
優しくありたいと思うけど。

22歳以下は1000円で、一般も3000円で観ることができます。Pityman『くるぶしを濡らして』は2月23日(金)〜2月26日(月)に東京・新宿眼科画廊スペース地下にて上演です。公式HPはこちら

村田沙耶香の人気小説を舞台化!うずめ劇場第40回記念公演『地球星人』

うずめ劇場は、演出家のペーター・ゲスナーさんが1995年に北九州にて設立、1996年に三島由紀夫作『わが友ヒットラー』で旗揚げしました。2007年から、拠点を東京に移しています。神社の境内、寺の本堂、ホテルのテラスなど様々な空間での芝居作りを行なっています。シビウ国際演劇祭2021に於いて、安部公房の小説『砂の女』を原作とした舞台上演を成功させました。

今回、うずめ劇場が『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの小説『地球星人』を舞台化します。『地球星人』は、ニューヨークタイムズ誌が選ぶ2020年の必読書「100 Notable Books of 2020」や、イギリス公共放送BBCの特集「2020年に英語出版されたベストブック」の一冊に選ばれるなどの超話題作。現在、イギリスやアメリカ、ドイツ、フランスなど世界各国で翻訳され出版されています。

ペーター・ゲスナーさんが本作を映像やアニメーションを駆使して独創的に演出。現代日本の有様をあらゆる世代の人に問いかける衝撃作となっています。

【小説版あらすじ】
地球では「恋愛」がどんなに素晴らしいか、若い女はセックスをしてその末に人間を生産することがどんなに素敵なことか、力をこめて宣伝している。
地球星人が繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろう。
私はどうやって生き延びればいいのだろう――。

まさか実現可能とは思わなかった本作の舞台化。20人超のキャストが作り上げる世界に注目です。
うずめ劇場第40回記念公演『地球星人』は、2月16日 (金) 〜2月18日 (日)に東京芸術劇場・シアターウエストにて上演です。公式HPはこちら
※本作は暴力的な表現、性的な表現、虐待表現、自死を連想させる表現を含みます。あらかじめご了承ください。

ミワ

皆さんの注目作品も是非教えてください!