国際交流基金は、現在公式YouTubeで世界に向けて日本の作品を届けるため、優れた舞台作品が無料配信されています。野田秀樹さんの作品『赤鬼』や、先日Audienceでも特集を組んだ山内ケンジさんの作品も、現在無料配信中。世界の方に向けての企画ですが、我々も観たことのない作品や、劇団に気軽に触れる事ができる機会になっています。

日本の優れた舞台作品を世界に

国際交流基金は、新型コロナウイルスの影響によって、日本の舞台公演に接する機会がなくなってしまっている世界の人々に向けて、日本の優れた舞台公演作品をオンライン配信するプロジェクト「STAGE BEYOND BORDERS –Selection of Japanese Performances– 」を行っています。

配信作品は、現代演劇、ダンス・パフォーマンス、伝統芸能の3分野。各公演は約5か国語の多言語字幕付きで、国際交流基金の公式YouTubeチャンネルから無料で視聴できます。日本の優れた舞台作品を、国境を越えて、多言語で発信することで、舞台芸術に親しむ全ての人への希望となることを期待して始まりました。

セリフとラップの融合 新しい形の音楽劇『わが星』

今回は現代演劇の分野から、柴幸男さんが旗揚げした劇団・ままごとの作品『わが星』をご紹介します。(2022/10/19迄の期間限定・無料配信)『わが星』は演劇とラップをリンクさせた作品です。□□□(クチロロ)の三浦康嗣さんが音楽を手がけたことでも注目を集めました。2009年に初演が上演され、2011年、2015年と再演されています。

人が生まれてから死ぬまでの約100年と、星が誕生してから消滅するまでの約100億年を、団地で暮らす一家と星の一生を重ねて描いた、柴幸男さんの代表作です。戯曲に高い評価が集まり、第54回岸田國士戯曲賞を受賞しました。

『わが星』は、柴さんが、「上演中に音楽がずっと流れていて、ミュージカルのような、音楽と台詞が融合したような、 新しい音楽劇のかたちになればいいなと思い創った」という作品。音楽が流れる中、俳優はラップと台詞を行き来して、歌なのか台詞なのかどちらとも言えないようなかたち。台詞をラップにして音楽劇にするという形が取られています。

また、柴さんは、本作を「星の一生と人の一生を重ね合わせて、なおかつ、そこに音楽を使って“時間”そのものを描きたいと思って創った」そう。 音楽には、俳優や小説家として活動されているいとうせいこうさんが所属されているポップ・ユニット□□□(クチロロ)の三浦廉嗣さんが作った『00:00:00』という、時報をサンプリングした曲を使っています。

物語は、団地に住んでいる「ちーちゃん」という女の子を地球に見立てて、 星の一生と人間の一生を重ね合わせたお話。シーンによっては、地球を見ているのか、 地球に住んでいる女の子を見ているのか、どちらでも取れるようになっています。
物語冒頭の『00:00:00』の音楽に合わせて、俳優たちが舞台中央の丸い舞台面の周りを回りながら台詞を言っていくシーンがとても印象的で、好きなシーンです。リズムに乗った言葉遊びが楽しいですし、この曲だけで、主人公の女の子がわかり、女の子は星でもあることがわかるという、とても巧妙な作りに毎度感心してしまいます。全体で約80分と観やすい長さですし、冒頭の『00:00:00』が流れている部分だけでもとても面白いので、10月までの無料配信の期間中に是非ご覧ください。

本作は10月19日まで無料で見ることができます。また、現在無料配信中の他作品はこちらからご確認いただけます。

ミワ

大好きな作品ですが、DVDが入手困難な本作。無料配信で何度も見返すことができるこの機会はとても有難いです。