日本のチェーホフと呼ばれ、物語の核を隠しながらもリアルに生々しく描き出すことに定評のある劇作家・演出家の岩松了さんが、『クランクイン!』の脚本・演出を務めます。注目キャストは、久々の舞台出演となる吉高由里子さん!10月に本多劇場で幕が開きます。

岩松了新作は愛憎と葛藤を描いた悲喜劇

本作の脚本・演出を務める岩松了さんは、1986年、東京乾電池『町内シリーズ三部作』を皮切りに作・演出を手がけています。89年に『蒲団と達磨』で岸田國士戯曲賞を受賞。以後、数多くの作品を世に送り出しています。

映画製作の現場を舞台に繰り広げられる、ある新人女優の死をめぐる、映画監督と女優たちの愛憎と葛藤を描いた『クランク・イン!』。映画監督の妻と、その監督の愛人であった女優の回想を、モノローグで築いたドラマとして描いた二人芝居『そして春になった』(2020年)がベースになった作品です。

1人の新人女優・堀美晴が亡くなったことから物語が始まります。難航していた映画の製作でしたが、新人女優の死によって、全員の「この映画を完成させなければ!」という思いで、クランクインの時を迎えます。堀美晴の葬儀は撮影所内でごく内々に済ませられました。彼女の死は、監督の別荘の湖に溺れて死んだ事故となっていますが、真相はよくわからないまま。彼女が事故当時もっていたはずのお気に入りだったポシェットが見つからないことなど、本当に事故なのか、あやふやな状況です。

しかし、映画を完成させるために、動き出さなければなりません。そんな状況下での撮影だったため、監督・並木顕之は常軌を逸した緊張感に満ちた指揮をとっていました。主演女優・羽田香織にも容赦ないダメ出しが飛ぶ中、プロデューサーの紹介でそれなりの役に抜擢された女優・ジュンが徐々に存在感を増してきます。

撮影のために世間から隔絶された場所で、主演女優、マネージャー、ベテラン女優、若手女優、それぞれの思惑と、監督への愛憎が次第に彼を追い詰めます。 堀美晴は殺されたのか、だとしたら誰が彼女を殺したのか…。映画の現場は次第に混沌としていき、やがて悲劇的な結末を迎えるのでした。

眞島秀和・吉高由里子はじめとする豪華俳優陣が集結

主演は監督・並木顕之を演じる眞島秀和さん。2018年には『隣の家族は青く見える』で北村匠海さんと同性パートナーの役を演じました。また、社会現象化した『おっさんずラブ』に出演するなど、映画、TVドラマ、舞台、CMなどで幅広く活躍しています。

プロデューサーが現場に連れてきた女優のジュンを演じるのは吉高由里子さん。吉高さんが舞台に出演するのは2016年の『レディエント・バーミン』以来のこととなります。ドラマ『最愛』が話題となり、2023年1月には北村匠海さんとの歳の差恋愛ドラマ『星降る夜に』が決まっている吉高さん。生で吉高さんの演技を見ることができる貴重な機会となります。

主演女優・羽田香織役には、秋山菜津子さん。『欲望という名の電車』(2011年)ではブランチを演じ、『出口なし』や、松尾スズキさん脚本の『マシーン日記』(2021年)など、古典から現代劇まで幅広く演じています。また、ベテラン女優役に伊勢志摩さん、マネージャー役に富山えり子さん、若手女優役に石橋穂乃香さんが名を連ねます。


舞台『クランクイン!』は2022年10月7日(金)から10月30日(日)本多劇場にて上演、その後、静岡、大阪、愛知で上演予定です。チケットは8月6日(土)発売になります。公式HPはこちら

ミワ

久しぶりに舞台に吉高さんが出られるということで、多くの方が観劇されそうな予感です!吉高さんのお芝居を生で見られる貴重な機会、私も楽しみです。