2020年11月2日〜12月6日までシアタークリエで上演されている『RENT』。ブロードウェイの大ヒットミュージカルを日本人キャストで実現。あるクリスマスから1年間を描いた、年末にぴったりの作品を観劇してきました。(11月24日に16日からの公演中止を発表)
ブロードウェイミュージカル『RENT』
1991年のニューヨークを舞台にした作品『RENT』。家賃(レント)を滞納するほど貧しい若者たちの1年間を描いた本作は、トニー賞受賞後ニューヨークで12年間のロングランを達成した超ヒット作。
日本でも度々上演されており、今回シアタークリエで上演されるのは3年ぶりとなります。
名曲「Seasons of Love」を堪能
貧困、HIVやドラッグなど暗いテーマが多い本作がなぜこんなにも愛され続けているのか。その1つが楽曲の強さと言えるでしょう。『RENT』は知らなくとも、「Seasons of Love」を聴いた事がある人は多いはず。日本語でどう表現するのか、と少し怖い気持ちで観劇しましたが、英語と日本語をバランス良く配合しており一安心でした。
しかし正直なところ、『RENT』の楽曲の難しさも実感。様々な人物がそれぞれの心境を同時に歌う場面が多く、キャストたちの強弱の付け方、聴かせ方がかなり難しい。観客としてはどの人物の声に耳を傾ければ良いのか、しばしば迷子になってしまうのです。
「No Day But Today」
『RENT』のもう一つの魅力は、メッセージ性の高さ。「No Day But Today」というフレーズは作品中で何度も繰り返されます。作品中では英語のまま歌われていますが、もしそのメッセージを訳すとすれば“私たちには今日しかない。過去や未来ではなく、今日を生きよう”。貧しい中で病と戦いながら生きる若者が訴えかける、今この瞬間を生きることの大切さ。この強く切ないメッセージこそが、本作の醍醐味なのです。
ただ本作は展開が早く、初心者には難しい作品かも。ストーリーやメッセージをあらかじめ予習して観劇することをお勧めします。