昨年3月末にホリプロ公式YouTubeチャンネルで公開された、ミュージカルショートムービー『ギョロ 劇場へ』とリーディングワークショップ『PARTY』。ホリプロ主催の「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」で選出されたクリエイターと創作された作品です。

コロナ禍の2020年、ホリプロ主催で行われた、「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」。日本から世界に向けたオリジナルミュージカル創作を目指し、新たなクリエイターとの出会いの場となるようにと始まりました。音楽・脚本の2部門あり、500以上の応募が集まったそう。今回、その中から選抜されたクリエイターを起用して作られた2つの作品をご紹介します。

3分間に凝縮されたミュージカル『ギョロ 劇場へ』

一つ目は、音楽部門で選出された岩城直也さんを起用して、「演劇」「劇場」の素晴らしさを改めて感じてほしいという願いを込めたミュージカルショートムービー『ギョロ 劇場へ』という作品。世界でも有数のこま撮りアニメーションを手がけるドワーフ(株式会社xpd)が、ホリプロとタッグを組み、ミュージカルと映像のコラボレーションが実現しました。

本作の構成&脚本&歌詞を担当するのは、国内外問わず演劇やオペラなど、様々なジャンルの演出を手がけている宮本亞門さん。岩城さんと共に作曲、そして音楽監督&編曲を務めるのは、ミュージカル『生きる』の作曲を手がけ、グラミー賞受賞作曲家のジェイソン・ハウランドさんです。

『ギョロ 劇場へ』は、少年・タクトが引っ越し作業中に見つけたオペラグラスが、祖母の大切にしていたものだと分かり、「劇場へ行ってみたい!」と思い立つストーリー。約3分という短い分数で描かれている作品です。

声優には豪華ミュージカル俳優陣が集結。おじいちゃん役に、ミュージカル『生きる』で主役の渡辺勘治役を演じた鹿賀丈史さん。ママ役に濱田めぐみさん、ギョロ(オペラグラス)役に柿澤勇人さんと、2018年の『メリーポピンズ』で共演していたお二人。タクト役は、2020年の『ビリーエリオット』でビリー役に選ばれた中村海琉さんが演じます。分かりやすく、観る人を「劇場に行きたい」と思わせるストーリー、そして俳優陣の美しい歌声が魅力的な作品です。

マルチアングルで俳優の表情を間近で撮影 リーディングワークショップ『PARTY』

そして二つ目は、脚本部門とブロードウェイの作曲家とのコラボレーションで生まれた、新作ミュージカル『PARTY』。こちらは、リーディングワークショップという形での公開で、約30台の携帯カメラで撮影されたマルチアングルでの映像となっています。


キャスト全員が同じ空間にいて撮影しているので、自分の出番ではない時のキャストの方々の様子がみられるのも、ファンとしては嬉しいところ!また、マルチアングルで撮られていることで、キャストの表情や反応がきちんと映っていて、配信のリーディングミュージカルといえど、劇場で観ているのと同じくらいの満足感を得られる作品でした。

物語の舞台は21世紀のニューヨーク。ビジネスの成功者たちはみな着飾って、夜な夜な華やかなパーティーへと出かけていきます。主人公のユリもその一人。ユリはニューヨークの投資銀行で働くキャリアウーマン。高い年収を手にしてはいますが、心が満たされない日々を送っていました。そんな中、とあるパーティーに参加した夜、会場で予期せぬ出来事が起き、ある見知らぬ男性と出会うことになるのですが…。

『PARTY』も豪華キャストが集結!主人公ユリ役には、湖池屋のCMソング『100%SONG』で話題になった歌手で、ミュージカル『ジェイミー』に出演していた鈴木瑛美子さん。また、日本のミュージカル界に欠かせない、加藤和樹さん、石川禅さん 、伊礼彼方さん、小野田龍之介さんらが出演。ダンス&ボーカルグループ・WATWINGのメンバーで、ミュージカル『ジェイミー』で主人公ジェイミーを演じた髙橋颯さんも。そして、樋口麻美さん、廣瀬友祐さん、May’nさん、東山光明さん、五十嵐可絵さん、山﨑玲奈さんが名を連ねます。

演出はミュージカル『EDGES』や『ソーホー・シンダーズ』などで演出をしている元吉庸泰さんが担当。こちらも作曲は、ジェイソン・ハウランドが務めており、口ずさみたくなる楽曲がたくさん。

脚本・歌詞を務めたのは、「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」で選出された横山清崇さん。歌詞カードが公開されており、観ながら楽しむもよし、観終わってから気になった楽曲を再度歌詞カードと一緒に楽しむもよし、と配信だからこそ色んな楽しみ方ができそうです。歌詞カードはこちらから。

ミワ

『PARTY』のヒロインを務めた鈴木瑛美子さん。ハスキーでパワフルな歌声に、とても惹き込まれ、観終わってからも、何度も楽曲を聞いています。芸達者な俳優の方々が集まっていて、とても満足感の高い作品でした。これが無料で観られるなんて、とても贅沢!