住野よるさんのデビュー作『君の膵臓をたべたい』。映画化や劇場アニメ化などをされるなど、多くの人々を魅了し続けている作品です。本作が2022年12月、岡本信彦さん、島﨑信長さんら人気声優によって朗読劇として上演されます。

朗読劇として「僕」と桜良が距離を縮める様子を丁寧に描き出す

『君の膵臓をたべたい』は住野よるさんのデビュー作。その後、吉沢亮さん・杉咲花さん出演で映画化もされた『青くて痛くて脆い』や、『また同じ夢を見ていた』など数々の話題作を作り続けるヒットメーカーです。

2015年に発売された本作は、印象的なタイトルと、感動的なストーリーで大きな反響を呼びました。2017年には実写映画化、2018年には劇場アニメ映画が公開。そんな本作を、今回は朗読劇として上演します。

『君の膵臓をたべたい』の物語は、他人に興味を持たず、いつも1人で本を読んでいる高校生の「僕」が、病院の待合室で「共病文庫」というタイトルの文庫本を拾うことから始まります。その本は、「僕」のクラスメイトであり、天真爛漫なクラスの人気者・山内桜良が密かに綴っていた秘密の日記帳。膵臓の病気で、余命が幾許もないことが書かれていました。

「僕」はその本の中身を興味本位で覗いたことにより、家族以外で唯一桜良の病気を知る人物となります。「桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合っていくうちに、「僕」の心は少しずつ変化していきます。

正反対の性格の「僕」と桜良が、互いの距離を縮めていく様子を、朗読劇として、会話劇を中心に丁寧に描き出す今回。

他人との関わりを極力避けている高校生の「僕」を、『僕のヒーローアカデミア』や『暗殺教室』『鬼滅の刃』と人気作品に出演する岡本信彦さん。そして『呪術廻戦』や『君の名は。』など話題作で活躍する島﨑信長さんがWキャストで演じます。

周りにいる一人ひとりを大事にしよう、一緒にいられる空間と時間を大事にしようということを学ばせてくれる作品です。

観客がいて初めて成り立つ「朗読劇」

朗読劇の魅力は、動きや大掛かりなセットがないからこそ味わえるものがあること。シンプルなものであれば、椅子とマイクスタンドだけというセットで行われることも。声の表現がメインとなり、作品世界の多くが観客の想像に委ねられます。

朗読劇での表現は、台詞の「間」が重要。観客にキャラクターが感じた感情をよりダイレクトに伝えるために有効です。例えば、畳み掛けるように相手と会話することで、より臨場感を感じさせます。「つい溢れ出てしまった」という感情がわかりやすいのが朗読劇での声の表現です。

そして、朗読劇の最大の特徴は、観客がいてこそ劇が成立するということ。舞台芸術一般は、観客がいてこそ成立するものですが、特に朗読劇は、聞き手の「想像力」によって完成します。演者と観客がより一体になって、その場にいるすべての人によって作り上げる舞台といえます。

朗読劇『君の膵臓をたべたい』は12月11日・12日に東京・ニッショーホールにて上演です。
12月10日(土)18:30公演/12月11日(日)12:30公演の出演者は、岡本信彦さん、直田姫奈さん、古賀葵さん、伊東健人さん。
12月10日(土)12:30公演/12月11日(日)17:00公演の出演者は、島﨑信長さん、悠木碧さん、原紗友里さん、中島ヨシキさんです。
公演回によってキャストが異なりますのでご注意ください。公式HPはこちら

ミワ

「観客も大切なピースになっている」というのは嬉しくなりますね。一人一人が感じたものが舞台上に伝わって、回ごとに違うものが展開されるのが朗読劇の魅力の1つでもあります!