たった2人の出演者で、社長・秘書・司会者・スター女優と、個性も特徴も全く違う10役を演じ分け!裏も表も大忙しのミュージカル『ダブル・トラブル』=2022-23冬= の、ゲネプロと取材会が行われました。今回はその様子をお届けします。
兄弟感たっぷり!Team Dの芝居力溢れる浜中文一×室龍太
『ダブル・トラブル』の舞台は1950年代のアメリカ・ハリウッド。『雨に唄えば』や『巴里のアメリカ人』『バンドワゴン』がヒットしていた頃の物語です。
作詞家のボビー・マーティンと、作曲家のジミー・マーティンの兄弟2人が、ハリウッドのメジャームービーの曲を書くという大チャンスを掴みます。しかし、与えられた時間はたったの数時間!ボスに気に入ってもらえなければ即クビという中、兄弟は、恋に仕事に大奮闘します。果たして二人の運命はいかに…。
歌って踊って曲を書くボビー&ジミー兄弟を演じながら、映画会社の社長や秘書、演出家、司会者、スター女優など、次々に現れる登場人物、約10人をたった2人で演じます。
ゲネプロが行われたのは、12月12日(月)に初日を迎えるTeamDの浜中文一さん・室龍太さんペア。オンライン公開稽古の際に、演出のウォーリー木下さんから「今まで演じてきたペアの中で最も兄弟らしい」と言われていたペアのため、期待が高まります。
夏の公演の際には弟のボビー・マーティンを演じていた浜中さん。今公演では兄のジミー・マーティンを演じます。浜中さんは演じるにあたって、「前回兄役を演じていた相葉(裕樹)さんと日野(真一郎)さんの良いところを受け継いでやりたいなと思って演じていた」と話しました。
一方、今回弟のボビー・マーティンを演じる室さんは初ミュージカル!「心臓がこの辺(喉)にある」と緊張した面持ちで前説に登場した室さんに対して、浜中さんは「ここからは1人で話して」と突き放すような(?!)場面も。「なんでですか!一緒に話しましょうよ!」と、早くも兄弟のような関係性が垣間見えます。
室さんが大変だったと挙げた点は、1人で5役、色々な役を入れ替わり立ち替わり演じ、しかもキャラクターごとに歌もあるということ。また、意外にもタップダンスも初挑戦なんだそう!華麗なタップダンスに注目です。
本作の名シーンとも言えるのが、ハリウッド女優・レベッカを演じるシーン。1幕では、浜中さん、室さん共に同じ様にシーンを演じていくので、2人のレベッカ像の違いを是非楽しんで下さいね!かなり力強いレベッカが誕生していました。
ゲネプロでは、浜中さん演じるジミーが室さん演じる強面の社長のマーティンに、ひょっとこのお面を渡し、付けたまま話すように無茶振りする場面も!本番でも2人ならではの掛け合いに注目です。
室さん演じる助手のシーモアがモノマネを披露する楽曲や、浜中さん演じるエージェントのクイックリーの素早い一曲。2幕頭のクイックリーと秘書・ミリーの「コールド・セサミ・ヌードル」のシーンなど、見どころが満載!めまぐるしい150分となっています。(途中休憩あり)
頼れる兄・ジミーと愛嬌たっぷりな弟ボビーが、喧嘩をしても2人で乗り越えていくストーリーがより魅力的に色濃く描かれていた印象でした。
「今まで観劇したことがある方も、絶対に新しいダブルトラブルが見られる」
取材会には、ゲネプロから引き続きTeamDの浜中文一さん、室龍太さん。そして、TeamEの上口耕平さんと水田航生さん、演出のウォーリー木下さんが登壇しました。
2019年の初演から様々なキャストで上演されている本作。12月15日に通算上演数100回目を達成します。演出のウォーリー木下さんは、ゲネプロを観ていて、「当たり前のことだけれど、1人として同じ人はいない」と改めて強く感じたと言います。
演じる2人の人間性や、キャラクター、その日のコンディションが作品に大きく関わってくる本作。
「今日見ていても、今日のこの2人にしか出来ないことをずっとやっていて、それを見て演出ってなんなんだろうと思った。演出はあくまでも箱の形くらいしか決められない」と、役者が担う役割の多さを感じていました。
浜中さんと室さんのTeamDについて、「2人は水と油というか、陰と陽」と形容するウォーリーさん。ゲネプロを観て、「混ざり合わないのがこんなに面白いんだ!」と感動したそう。新しい『ダブル・トラブル』の新鮮さに「今まで観劇したことがある方も、絶対に新しいダブルトラブルが見られる」と語りました。
「仲良くしてね」とウォーリーさんが2人に釘を指しますが、浜中さんは頑なに室さんとの仲の良さを否定。室さんは「やっていて文ちゃん(浜中さん)も楽しくないわけじゃないでしょ。室くんとやってて良かったなぁって噛み締めてる感じ、あったじゃん」とフォローするも、「いやいや!」と認めない浜中さん。
「なんでなん?!」と叫ぶ室さんに「浜中くん、シャイだからそういうの認めないんだって!」と話していて、終始舞台の外でも兄弟喧嘩を見ているような微笑ましい光景でした。
対して、上口さんが「一日中一緒にいるので、家族みたいな感覚がある」というほど、相性も仲も良いTeamEの2人。普段から常にメッセージのやりとりがあるよう。今日も、初めて劇場入りしたために楽屋口がわからなかったという水田さんに、上口さんがわざわざ動画で楽屋への入り方を送ってくれたのだとか!仲の良さが垣間見えるエピソードトークでした。
演出のウォーリーさんは、そんなTeamEの2人について、「この作品やるために長い役者人生を送ってくれたんだなと思うくらい技術や人に魅せる力がある」と話します。「ブロードウェイに持って行きたいくらい」との高評価!
水田さんも「自由劇場をブロードウェイにしたいなと思っております」とTeamEの初日12月23日(金)に向けて気合十分な様子でした。
ミュージカル『ダブル・トラブル』=2022~23 冬=は、2022年12月12日(月)〜2023年1月21日(土)自由劇場、1月26日(木)〜1月29日(日)新国立劇場 小劇場で【Team D】が上演。2022年12月23日(金)〜2023年1月22日(日)自由劇場【Team E】が上演。2023年2月2日(木)〜2月19日(日)新国立劇場 小劇場【Team F】が上演です。詳しくはこちらから。
客席との距離感が大劇場よりも近い自由劇場。ライブ感が凄く楽しめる作品なので、客席も一体になって楽しめること間違いなし!幸せな気持ちになれる作品です。ライブにいくような感覚で、年末の観劇納めに、是非劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。