2007年公開の同名映画『ウェイトレス～おいしい人生のつくりかた』を舞台化。小さな町のダイナーで働く、美味しいパイを焼く女性のあまくてほろ苦い物語です。(2019年・Adelphi Theatre, London)

01 女性パワー炸裂！！！の(ラブ)コメディ

作詞作曲のサラ・バレリスをはじめ、脚本、演出、振付のクリエイティブチーム全員が女性。ブロードウェイ初、女性だけで制作したミュージカルです。田舎の固定観念に従って生きてきた主人公ジェナが、妊娠〜出産をきっかけに人生を見つめる物語。ウェイトレス仲間との赤裸々なガールズトークや産婦人科医とのアブナイ関係をコミカルに描きます。

等身大の自分に向き合う女性たちは友人のようで、思わず応援したくなります。不安を感じ、母になることを心のどこかで受け入れられないジェナ。我が子を抱いた彼女の心境の変化には、守るべき存在を手にする覚悟とその力強さを感じ、胸がいっぱいになりました！

02 思わずゴクリ…美味しい仕掛けがいっぱい！

ジェナが焼き上げるパイは彼女の心情を代弁する重要なアイテム。パイ作りのリアリティを演出する工夫が随所に見られます。印象的なのが、本物の小麦粉を使って生地を作るシーン。ふわふわと舞う粒子が彼女の動きを躍動させ、幻想的な雰囲気を醸し出します。

制作チーム肝入りのアイデアは「焼きたてパイの香り」。劇場に足を踏み入れるとシナモンアップルパイの香りが鼻をくすぐります。その正体はロビーで販売する小瓶入りの焼きたてパイ。作品世界を五感で楽しめる仕掛けに驚きました。