クリスマスの時期の作品といえばバレエならば『くるみ割り人形』、ミュージカルならば『クリスマス・キャロル』ではないでしょうか。一年に一度のクリスマスに起きた、心温まる作品です。今回はそんな『クリスマス・キャロル』でも、日本初演から上演し続けているホリプロ版と掟破りなホリエモン版の2つをご紹介します。

世界中の人々に愛されている、心温まるミュージカルの名作

原作は、「オリバー・ツイスト」「二都物語」などでも知られるイギリスの文豪チャールズ・ディケンズによって1843年に書かれた不朽の名作「クリスマス・キャロル」。

1970年にミュージカル映画が公開されると、1992 年に舞台化。以降、世界各地で多くの人々に愛され、上演され続けています。「本当の幸せとはなにか」を見つめ直してみたくなる、心温まるエンターテイメント作品です。

『クリスマスキャロル』の舞台は、1843年のクリスマスイブを迎えたロンドン。下町で金貸しをしている、守銭奴のスクルージ。借金の取り立てに勤しみ、献金を拒むので、街中の人々から嫌われていました。

例年通りの孤独なクリスマスを過ごしているスクルージ。すると突然、7年前に亡くなった共同経営者・マーレイの亡霊とクリスマスの精霊たちが現れます。

「欲に取り憑かれた人間は、死後の世界で悲惨な運命を辿る」と告げ、スクルージが自分の行いを客観的にみられるように、過去、現在、未来の時間旅行へと連れていきます。

幼い頃の楽しかったクリスマス、最愛の人・イザベラとの幸せな日々と別れ、身近な人々の慎ましい暮らし、そして想像を遥かに超えた死後の世界と美しくも切ない時間旅行を体験したスクルージ。クリスマスの朝、新たなスタートを決心し、夢と希望、愛を胸に街へ向かうのでした。

3年ぶり待望の上演!市村スクルージが贈るミュージカル『クルージ〜クリスマス・キャロル〜』

“スクルージ”といえば市村正親さんの存在を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。市村さんは、1994年の日本初演でスクルージを演じました。以降1997年、1999年、2013年の新演出版、2015年、2019年とライフ・ワークとして再演を重ねています。また、一人芝居でもスクルージを演じた経験も!

市村さんは、ミュージカル『ミス・サイゴン』でも、ミスター・サイゴンと言われるほど長年出演し続けていました。前回公演から3年、今回でなんと7度目のスクルージを市村正親さんが演じます!

そして、今回は、これまでのホリプロ版『スクルージ』に以前はなかったシーンや演出が加わった、新しい『スクルージ』になっているんだそう。

「初演の頃は、役を作っていたように思う」と話す市村さん。今回は、初演から28年が経ち、来年には役者生活50周年を迎えます。

年を重ねたことで、「スクルージが抱えている孤独感を、今までとは違うかたちで出せるんじゃないか」とコメント。スクルージを始め、様々な役と向き合い続けてきた市村さんの蓄積が垣間見える、また新たなスクルージになるのではないでしょうか。

ミュージカル『クルージ〜クリスマス・キャロル〜』は、12月7日(水)〜12月25日(日)に日生劇場にて上演です。公式HPはこちら

ホリエモン提案「食×劇」!?掟破りのクリスマスキャロル

一方掟破りなスクルージを観ることができるのは、ホリエモン主演・プロデュースミュージカル『クリスマスキャロル』。主人公・スクルージを演じるのは、ホリエモンの愛称で親しまれている、実業家・タレントの堀江貴文さんです。

各回それぞれに豪華ゲストを迎え、幕間に行うエンターテイメントも本作の魅力の一つ。演劇作品のアップデートを目指すという堀江さん発案の「食×劇」のコラボレーションで、円卓の客席で、クリスマス・スペシャルディナーをお届け。リラックスした雰囲気で観劇できる空間となっています。

2018年から掟破りなこのスタイルで、毎年大好評の作品です。

堀江さんの『クリスマスキャロル』は、物語のあらすじも独特。スクルージは、なんとIT会社の社長!財力も知名度も抜群で、若きカリスマ経営者として持ち上げられ、満ち足りた生活を送っているように思えるスクルージ。しかし、実際は心に闇を抱え、自分の意にそぐわない社員は直ちに解雇したり、無駄な出費を許さず、社内の冷暖房も必要最低限。社員の不興をかっていました。

クリスマスのせまった時期には、特にイライラした様子を見せます。社内でクリスマスを匂わせる出来事があると癇癪を起し、クリスマス休暇を申請した社員に、悪態をつく始末。

わびしいクリスマスシーズンを送るスクルージがたまたま、教会の孤児院の前を通りかかると、そこでかつての婚約者・ケイトと思いがけず再会。互いへの想いを引きずりながらも、気持ちがすれ違う二人。一人暮らしの部屋で眠りにつくスクルージ。するとそこへ、かつての共同経営者・マーレイと瓜二つの大天使ミカエルがやってきます。
ミカエルは「今後三晩に渡り、自分の部下である天使たちがスクルージのもとを訪れ、彼に三つのクリスマスを見せるだろう」と告げるのでした。

実業家の堀江さんならではのストーリー展開となっている面白さが、ホリエモン主演・プロデュースの『クリスマスキャロル』の魅力です。

ホリエモン主演・プロデュースミュージカル『クリスマスキャロル』は、12月7日(水)〜12月13日(火)東京キネマ倶楽部にて上演です。公式HPはこちら

ミワ

同じ作品でも、これだけ違うアプローチの仕方があると面白いですね。同じ時期に同じ作品が上演されることはかなり稀。毎年12月にしか観られない『クリスマス・キャロル』だからこその楽しみ方が色々出来そうです。