恋愛ドラマの象徴とも言える作品『東京ラブストーリー』がミュージカルに。柿澤勇人さん、笹本玲奈さん、廣瀬友祐さん、夢咲ねねさんと実力派キャストが集結した空チームのミュージカル『東京ラブストーリー』を観劇してきました。(2022年12月・東京建物 Brillia HALL)

『生きる』の作曲家ジェイソン・ハウランドが手がけるポップな音楽たち

“月9”文化を生み出した伝説のドラマでも知られる『東京ラブストーリー』。初のミュージカル化にあたって音楽を担当するのは、ジェイソン・ハウランドさん。

『Beautiful:The Carole King Musical』でグラミー賞ベスト・ミュージカル・シアター・アルバム賞を受賞、『パラダイス・スクエア』でトニー賞オリジナル楽曲賞にノミネートとブロードウェイの第一線で活躍し、日本ではミュージカル『生きる』の作曲家として知られています。

彼が手がける音楽たちは、東京のラブストーリーを彩るにふさわしい、ポップで聞き馴染みの良い楽曲たち。1幕ラストにリカが歌い上げるナンバーは、笹本玲奈さんの力強くも切ない恋心がひしひしと伝わる歌声が圧巻でした。

前時代的なストーリーに残る疑問

原作漫画は1988年発表、ドラマは1991年放送。30年以上前の作品であり、恋愛ドラマの象徴として挙げられることも多い本作ですが、ミュージカル版の設定は2018年とのこと。時代をアップデートした内容になっているのか、期待を寄せつつ観劇したのですが、残念ながらストーリーとしては前時代的に感じました。

アフリカ育ちで天真爛漫な赤名リカは、英語が堪能で仕事も出来るのに何故か派遣社員であり、仕事に積極的なことに対して陰口を叩かれている様子。もちろん理由があって派遣社員という選択肢を選ぶなら理解できますが、そういった背景は特に感じられません。

自分がより働きやすい場所を求めてロサンゼルスに行こうとしていたにも関わらず、完治と一緒にいるために転職を諦めたり、恋が上手くいかなくなったから再度アメリカに渡ろうとしたり…。恋愛主軸の生き方がリカだけならまだしも、メインキャラクターである永尾完治・赤名リカ・三上健一・関口さとみ全員が、恋が人生の全てであるかのような描かれ方。2018年の東京を描く物語で、全員が恋を主軸に動くというのは、あまり現実味がありませんでした。

また、完治が勤めている会社は地元・今治に本社がある「しまなみタオル」という設定ですが、大口の顧客との契約を取るために完治がプレゼンした内容は、“こだわりを持っている職人たちの雇用をなくしたくない”という想い。それ自体は素晴らしいことですが、多数のライバル企業がいる中で顧客に刺さるプレゼンテーションには思えず…。他のタオルでも言えることでは?今治にしかないこだわりは?とついビジネス観点でも疑問の残る内容でした。

現代の東京を舞台にしているが故に、どうしても現実味がない設定には疑問が湧いてしまい、共感しにくかったというのが正直な感想です。観劇する世代や境遇によっても、感じ方が異なるのかもしれません。

ミュージカル『東京ラブストーリー』は12月18日まで東京建物 Brillia HALLにて上演予定。上演スケジュールの最新情報は公式HPをご確認ください。

Yurika

筆者が観劇した日は年配の観客が多かった印象。ドラマ世代の方たちは、ミュージカルとなった本作を楽しめるのかもしれません。