初めて演劇・ミュージカルや宝塚、歌舞伎などに観劇に行く際、どうやって観劇したら良いのか分からずに、気づかないうちにマナー違反をしてしまっている場合もあります。客席でのマナー違反がたびたびネットでも話題になっている昨今。日々魅力的な演劇作品・ミュージカル作品の公演が予定されていますが、改めて観劇する際に客席で気を付けておきたいマナーを意識してみましょう。
スマホ・電子機器の電源はオフに
「上演中にアラームが繰り返し鳴って集中力がそがれた」、「隣の人のスマートウォッチが突然光ってまぶしかった」など、スマホや電子機器をめぐるマナー違反は後を絶ちません。実際に編集部の中でも、ミュージカルの観劇中に、不定期に着信音がなり続け、大ナンバーの前奏で着信音が鳴り響く…という状況に遭遇したというライターも。
演劇ファンだけではなく、俳優など関係者からも指摘されている迷惑行為。演技中に着信音が耳に入ってきたら、俳優も集中力が途切れてしまいますよね。上演中のスマホ・電子機器の電源はオフにして、アラームや通知機能を起動させないのが基本のマナーです。原則、劇場では開演前に携帯電話・スマートフォンの電源を切るようにしましょう。
観劇というのは「非日常」を体験するものであり、その世界に没入することが楽しみの1つ。そんな中で不自然な音がわずかにでも流れるのは言語道断。また、携帯電話から発される電波が舞台の音響機器やマイクに影響を与えてしまったというケースも存在しています。
電源を切らずとも通信を遮断できるのが「機内モード」。4G、5Gなどのモバイル通信回線はもちろん、Wi-Fi、Bluetoothの電波も一律で遮断してくれます。機内モードがオンになっている限り、通信はされません(緊急地震速報などは覗く)が、念のため音量をゼロにするという対策もとっておくとベストでしょう。
どうすれば電源が切れるのか、あるいは「機内モード」にできるのか、事前に調べておくことが大切です。
休憩時間にスマートフォンの電源を入れることが多いので、開演前だけでなく、休憩が明ける前にも再度電源の切り忘れ、機内モードにし忘れていないかのチェックが必須です!
スマホ・スマートウォッチの光もオフに
そして、実はすごく気になるのが「画面の光」。スマートフォンなどの機器は、画面そのものも発光しています。そのため、上演中の客席のように暗い場所でスマートフォンを見ると、周囲に光が漏れてしまいます。音を鳴らさないのと同様に、不用意に光を漏らさないというのも大切なマナー。暗い劇場では思った以上に光が目立つものなんです。
また、スマートウォッチの場合は、手首の傾きや通信以外の通知(主に運動系)で画面が点灯するというケースがあります。それを防ぐのが「シアターモード」という機能。手首を動かしても、通知が来ても画面が点灯しなくなるというモードなので、観劇時は必ずオンにしておきましょう。
前のめりなど、他の人の視界を妨げる行為は厳禁
2022年に博多座が公開した動画により、客席の背もたれに背中を付けない「前のめり観劇」が後ろの視界を妨げると話題になりました。自分は気を付けているつもりでも、長い間座って舞台を観続けていたりオペラグラスを除くのに夢中になったりすると無意識に姿勢が崩れてしまうこともあります。
2階席・3階席は特に前のめりになりやすく、席によっては劇場スタッフも注意できない場合もあるため観客1人1人が周りへの配慮を心がけなくてはなりません。(参考記事URL:「観劇中の前のめりはなぜNGなの?博多座の検証動画でわかる見え方の違い」)
帽子を脱ぐ
前のめりの他にも、高さや幅のある帽子やボリュームのあるマフラーなど、他の視界を妨げるものは観劇前に脱いでおくのも忘れないようにしましょう。盛り髪のような派手なヘアセットにも注意が必要です。
着物の帯は薄くする
歌舞伎などを着物で観劇する際に注意したいのが帯の結び方。着付けてもらう時に舞台観劇をする旨を伝え、帯結びはボリュームが出ないように薄く平らな結び方にしてもらいましょう。
客席での会話は劇場ルールに従う
客席での会話や舞台への声かけはほとんどの劇場において「お控えください」と案内しており、上演中はもちろん上演前や幕間も隣の人との会話は控えるのがベターです。
舞台の感想は終演後に場所を映して語り合ったり、幕間中に劇場を一時退場して密にならない場所で会話をしたり、劇場内で声や会話が迷惑にならない工夫をしましょう。
客席内での会話の内容にも注意が必要です。
編集部のライターがとある舞台を観劇しに行った時のことです。開演前に数列前の女性が「これ、〇〇くんが犯人なのよね」と割と大きめな声で一言。この日は、千秋楽に近く、初見の方も少ないであろうという日ではあったそうですが、どんな日であれ初見の方がいるかもしれません。ネタバレトークは、客席内では出来る限り避けたほうが良いでしょう。
コメディ作品では思い切り声を出して笑ったり、素晴らしいパフォーマンスに対して歓声をあげて良い作品も。客席と一体となって完成するのが舞台の特徴ですから、その様な公演の際は積極的に参加してみてくださいね。
舞台の撮影は撮影OKタイムだけ
最近では舞台の上演前やカーテンコールにスマートフォンで舞台の写真撮影が許可される演目も多くなりましたね。
演劇・ミュージカル作品の公演では、限られた時間のなかで劇場内の写真撮影が許可される写真OKタイムが用意されていることがあります。作品や主宰する劇団によって、撮影できるタイミングはさまざま。劇団四季と宝塚歌劇団では、専用劇場において上演前の舞台の写真撮影が許可されています。
出演者を撮影できる写真OKタイムのほとんどは、カーテンコールのタイミング。終演後に行われるカーテンコールの撮影が許されている作品は、フラッシュなしの静止画であれば、衣装を着た俳優たちの様子を自由に撮影できるのです。
カーテンコールの撮影に関しては日にちを限定している作品も多く、限られた日程で行われる”スペシャルカーテンコール”の日のみ撮影できるという場合もあります。
撮影OKな時間帯であっても自分の頭より上の位置で撮影して後ろの人の視界をさえぎることや、席を移動しての撮影は禁止されていますので、劇場スタッフの案内にしたがって楽しむようにしましょう。(参考記事URL:「近年増えている舞台の写真OKタイムとは?注意点も詳しく解説!」)
応援グッズを持ち込まない
舞台の公演では、その公演の公式グッズとして販売されていない限り、応援うちわやペンライトはNGです。応援しているアイドルが舞台出演を果たした場合でも、ライブと舞台は区別しましょう!
ミュージカル『マンマ・ミーア』や、『ロッキー・ホラー・ショー』など一部の公演では、公式グッズとして販売されているペンライトで客席も一体となって盛り上がれるものもあります。その時は、公式のグッズでルールを守って楽しみましょう!(参考記事URL:「ロック&変態の世界に躍りながら迷いこめ!ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』観劇リポート」)
客席内での飲食はNG
上演時間が長いとお腹が空いてくる方もいるかもしませんが、劇場内では基本的に客席内での飲食はNGとなっています。しっかりと蓋が閉まる飲み物は客席内に持ち込めたり、ロビーでの軽食はOKの場合もあります。各劇場のHPを確認し、ルールに従うようにしましょう。
定価以上の転売チケットの購入はNG!
行きたかった舞台のチケットが発売早々に売り切れてしまったので、オークションサイトなどで探してみたら、定価の何倍もの価格で出品されていたという経験はありませんか?
転売ヤー(転売屋)がチケットをどんなに高額で大量に売ったとしても、興行主や出演者などにとって何の利益もありません。
このようなチケットの転売は、「ダフ屋行為」として迷惑防止条例で取り締まられてきました。また、2019年からは、インターネット上でのチケットの不当な高額転売等を禁止するため、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称「チケット不正転売禁止法」)が施行されています。
転売されたチケットでは会場に入れないことがあります!チケット購入の際は公式のチケットサイトまたはリセールサイトを通じて購入するようにしましょう。手数料や送料、配送予定日、キャンセルに関するルールなどを確認すると安全です。
また、楽しみにチケットを抑えていた観劇の予定が体調不良やスケジュールの変更で急に行けなくなってしまった場合には、公式のチケット2次売買サイトを利用して譲渡が出来ますよ。
(参考記事URL:「急に行けなくなってピンチ!演劇・ミュージカルチケットのリセール方法・譲渡方法とは?」)
お子様連れの観劇での注意点と各劇場の安心サービス
お子様と一緒に観劇する場合は、お子様が座席から乗り出したり、立ち上がったり、前の席を蹴ってしまうことのないように注意して見守りましょう。また、ゲームなどを持ち込んでいる場合は電源を切るようにし、光や音が出ないように設定しておきましょう。
そして子育て世代の方々が安心して観劇できるように、託児サービスのある劇場も!
劇団四季では提携先の託児所にお子様を預けることができます。
新国立劇場は、中劇場クローク横に託児室「キッズルーム<ドレミ>」があり、生後 3ヶ月~12歳(小学生)まで預けることができます。(※要事前予約)
東京芸術劇場は、生後3ヵ月から小学校入学前のお子様を託児室に預けることが可能です。(※土・日・祝祭日を除くお預かり日一週間前までに電話で予約)
KAAT 神奈川芸術劇場は、特定の回に託児サービスを設けています。0歳~12歳までのお子様を預けることができます。(※公演日1週間前までに要予約)
また、劇団四季専用劇場にはガラス越しに舞台を見ることのできる「親子観劇室」というものが設けられています。上演中に、お子様が泣いてしまったり、客席内での観劇が難しくなってしまった場合、親子観劇を利用するか、ロビーにあるモニターテレビで観劇が出来ます。
日生劇場も、ロビーにあるモニターテレビでの観劇が可能です。
(参考記事URL:子どもを預けて観劇OK!託児所付きの劇場4選【首都圏編】)
観劇はマナーを守って快適に!
初めて観劇する友人がいる場合、最低限の観劇マナーを伝えておくとお互いに快適な観劇時間を過ごすことが出来ます。
しかし、相手に「観劇はルールが厳しい」「やはり観劇は敷居が高い」と感じられてしまうと、楽しい観劇も楽しめなくなってしまうので、“あれはダメ”“これもダメ”と否定的な言い方にならないように、気をつけてくださいね。
もし観劇を妨げるマナー違反のお客さんがいたら、劇場スタッフに注意してもらうのがおすすめです。
コロナ禍も4年目に突入し、劇場では空席を作らずに人と隣同士で観劇することが当たり前の状態に戻りつつあります。 そのため周りの人の迷惑にならないように客席マナーを改めて見直すことは重要です。 2023年も、客席マナーを守って自分も周りの人も楽しめる観劇ライフを送りましょう。