“生きてて、よかった”と思える作品との出会いをご提案する演劇メディア「Audience」が開催する<観客が選ぶ!Audience Award 2022>。今回は、演出部門・楽曲部門・脚本部門・美術部門の投票結果を、皆さんの熱いコメントと共に発表します!(演劇作品部門・ミュージカル作品部門・小劇場作品部門・配信作品部門はこちら

演出部門
大賞:河原雅彦さん(ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』)

投票した方のコメントをご紹介します。

「舞台の装置や美術にもストーリーにもどこにも弛みがなくて必然しかない。凄く緻密に作られてるのに窮屈さは全くないんです。2時間、何度も堰を切ったように泣きそうになるのに堪えられるのは、観客の気持ちの高ぶりまでも旋律のように計算された演出であったせいだと思ってます。そして最後の赦しを与えるかのような歌には何度も泣かされました。重すぎるストーリーなのに、観終えた後、なぜか少し心が軽くなるのも不思議な体験でした。今でもまた観たい作品なので」(ラムさん)

「数少ないキャストが何役もすることで、混乱するかと思いきや、とても分かりやすく、その変化をも楽しむことが出来た。衝撃的なシーンにはそれに合わせた仕掛けがあったり、歓喜の歌の時の薔薇の花びらが舞い落ちるシーンは美しくも悲しく脳裏に焼き付いて感動した」(ふくまろさん)

「『ルードヴィヒ』の韓国版に敬意を払いつつも、独自の視点から俯瞰されたシンプルな舞台装置と最少の人数で、精髄まで磨き上げた宝石のように力強い輝きを放つ舞台だった」(雪輪さん)

第2位:栗山民也さん(『夏の砂の上』)
「栗山さんの演出によって夏の砂の上の本の深みを覗くことができたと思います。ラストの演出も素晴らしかったです。きっとずっと記憶に残る事でしょう」(おばたさん)

「世田谷パブリックシアターという大きな劇場に昭和の長崎の港町が確かにあった」(えのさん)

第3位:ジョン・ケアードさん(『千と千尋の神隠し』『ダディ・ロング・レッグズ』)
「今はたくさんのデジタル技術がある中で、彼のアナログにこだわった演出方法に魅力を感じた。特に千と千尋の神隠しではあの世界を舞台上で再現させたこと。不可能を可能にすること、そしてなによりマンパワーのチカラの凄さを感じたから」(みずいろさん)

「この方の手にかかると舞台が何倍も楽しめる」(Eriさん)

U-NEXT

楽曲部門
大賞:ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』より「幸せの秘密」

「この夏、この曲のおかげでとても心がほっこりとあたたかかったです。素敵な余韻をありがとう」(よっしーさん)

「ダディ・ロング・レッグズのミュージカルで初めて聴いて以来ずっと頭から離れず、歌詞を知ってからはもっと好きになり、落ち込んだ時や元気がない時に何回も聴くほどお気に入りの曲となったから」(ハルっぺさん)

「井上芳雄さんと上白石萌音ちゃんとの声の相性が抜群で聴き心地の良い歌だった」(あやさん)

第2位:『歌妖曲~中川大志之丞変化~』より「彼方の景色」
「桜木輝彦のデビュー曲。舞台上で歌い踊る架空の歌手が現実へ。FNS歌謡祭に出演する奇跡を起こしました!「歌妖曲」を何回も繰り返し観劇するうちに歌詞に込められた意味や歌い方の変化などが分かってきます。サブタイトル 中川大志之丞変化のように聞く所や感じ方の違いによって曲調も歌詞の意味も大きく変わる曲です」(のんさん)

「まさに昭和歌謡!しかし歌詞を深く読むと悲しみや苦しみが含まれていて胸を打つ」(ゆうゆうゆさん)

第3位:ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』
「ベートーヴェンの楽曲に歌詞を付けたり、ベートーヴェンの楽曲がベースにありながら、オリジナル曲をうまくマッチさせ、音楽で壮大な世界を作っていた」(かちともさん)

「♪静寂〜から始まる、聴覚を完全に失ったルードヴィヒが自分の中に溢れる音楽に目覚める曲。青年ルードヴィヒの両耳を後ろから優しく包み込む壮年ルードヴィヒの慈愛に満ちた歌声には涙が止まらなくなります」(じゅうさん)

脚本部門
大賞:松田正隆さん(『夏の砂の上』)

「夏の砂の上、とても深みのある作品でした。後になって、自分の中でたくさん答え合わせがあり、重なる言葉や表現の豊かさにびっくりしています」(けいこさん)

「人々の日常会話から導かれる人物の背景がわかる。説明台詞とは真逆の、本物の会話劇でした。人生に起こる残酷な出来事も、人が暮らす上ではかかせない日々のおかしみも軽やかに描かれていたように感じました。他の戯曲の上演も観てみたいです」(とーこさん)

「地味で蒸し暑くて救われない、ジリジリとせまる現実の中でも淡々と生きる、男の哀愁が愛おしかったです。素敵な行間を味わえました」(ににこさん)

第2位:中島かずきさん(『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』)
「12年ぶりの続編ということで、昨今の国際問題や日本の問題を織り交ぜながら『世代交代』という難しいテーマを綺麗に昇華しつつ、心がスカッとして明日から頑張ろうと思える物語でした」(愛さん)

「内容がしっかりとしてテンポよくひとりひとりのなかの正義や感情がわかりやすく。観客をグイグイと惹き込む作品」(みずたまさん)

第3位:倉持裕さん(『歌妖曲~中川大志之丞変化~』)
「悲しみの中に皮肉が入ったり、笑いが入ったり、頭の中を覗いてみたい脚本家だから」(floさん)

「内容が新しくも有り 怖くもあり 何処か懐かしい雰囲気が良かった」(朱鷺さん)

美術部門
大賞:舞台『千と千尋の神隠し』

「あの世界観をグンと引き込まれた立役者のパペットたち。目がいくつあっても足りないくらい、舞台に釘付けにさせてもらいました」(イリジさん)

「あれを見たら、素晴らしいとしか言えないと思う。舞台の上に確かに油屋がありました」(ゆーさん)

「美しい音楽、実力のある俳優陣、引き込まれる演出、と、すべてにおいて素晴らしいという評価が当てはまる作品でしたが、一番印象的な要素は映画をそのまま具現化したかのような舞台美術です。湯屋の神秘的で華々しい雰囲気、銭婆のもとへ向かう列車の静かで孤独で泣きたくなるような風景、ハクが本来の姿を取り戻す力強い光景。最初から最後まで、千と千尋の世界に入り込んだような夢見心地を感じました」(どいつさん)

第2位:ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』
「装置の出入りがほとんどないのに、場面を転換し膨らませて変化を巻き起こす舞台装置。照明や花びらなど、すべてが効果的で美しかった」(なんだよさん)

「シンプルで演技に邪魔にならない様な落ち着いた配色。なので、最後の赤いバラが強烈に印象に残る。効果的なランプの灯りも要所要所で使用。美しかった」(文(ぶん)さん)

第3位:『夏の砂の上』
「秋冬に行われた公演での夏の劇をシンプルでメッセージ性のある美術で支えていました。とても美しい板の上でした」(おばたさん)

「シンプルな舞台装置でありながら、時間の経過や舞台袖での演技など奥行きをとても感じることができた素晴らしい美術でした」(さっちゅんさん)

以上、演出部門・楽曲部門・脚本部門・美術部門の結果をお届けしました!演劇作品部門・ミュージカル作品部門・小劇場作品部門・配信作品部門はこちら

Yurika

総合芸術と言われる演劇。脚本・演出・音楽・美術それぞれが素晴らしいからこそ、印象に残るものですよね。演出家や音楽担当が誰かを見て、観劇作品を選ぶのもおすすめですよ。