1990年にパルコ劇場で初演を迎えてから現在まで30年以上も愛されており、今までに500組近くのペアで上演されている『ラヴ・レターズ』。演じる俳優によって全く異なる色が出ることから、俳優にも愛されている作品です。

舞台セットはテーブルと二脚の椅子だけ。シンプルだからこそ際立つ俳優の感情の動きに心を掴まれる!

『ラヴ・レターズ』は、1989年にニューヨークで初演されるやいなや、全世界で愛され、上演されるようになった作品です。日本では、翻訳家・演出家の青井陽治さんによって、1990年にパルコ劇場で初めて上演されました。

当初は、別作品の休演日や日曜日のマチネ公演後に上演するという形で公演を重ねていた本作品。

出演者も30歳以上の方々と限っていました。しかし、若い俳優たちからの「自分達も『ラヴ・レターズ』に出演したい」という声に応え、パルコスペースパート3で”YOUNG AND PROMISING”というシリーズを始め、やがて日本各地の劇場での上演につながっていきました。2017年に青井さんが膵臓がんのため亡くなられた後は、その遺志を受けて、藤田俊太郎さんが演出を引き継いでいます。

藤田さんは、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科在学中の2004年にニナガワ・スタジオに入り、2015年まで蜷川幸雄作品に演出助手として関わっていました。ミュージカル『ヴァイオレット』や『手紙』『ジャージー・ボーイズ』、そして4月9日にPARCO劇場で幕を開ける『ラビット・ホール』の演出を手がけています。

テーブルと二脚の椅子だけの舞台セットに、俳優二人が並んで座り、手にした台本を読み上げるという非常にシンプルな舞台は、演じる俳優によって同じ作品とは思えないほど、上演するごとに新しく生まれ変わります。朗読劇だからこそ、俳優の声に込められた真情を目の当たりにし、心を掴まれる作品です。

『ラヴ・レターズ』は、アンドリュー・メイクピース・ラッド三世と、メリッサ・ガードナーという幼馴染みの物語。
幼少期の出会いから約50年間重ねた往復書簡を読み上げていきます。
2人の性格は対照的で、メリッサは自由奔放で、束縛を嫌う芸術家肌。アンディーは穏やかで、内省的、口よりも文章で自分を表現するのが得意。 

アンディーは自分の感じることや意見を折にふれてメリッサに伝えますが、メリッサは手紙よりも電話の方が楽で好き。 しかし、電話では思ったようにコミュニケーションできないアンディーの手紙につきあわざるを得ません。

思春期を迎え、それぞれ別の寄宿学校に送られて過ごしています。2人が会えるのは休みに親元に戻った時だけ。 アンディーが伝統的な暖かい家庭に守られている一方、メリッサは離婚と結婚を繰り返す母親のもとで孤独を感じています。

お互いを異性として充分に意識している2人でしたが、なぜだか気持ちは行き違っているのでした。
そして、遂に2人が結ばれるチャンスが巡ってきた夜、友達以上にはなれない自分達を発見し、いよいよ全く別の道を歩き始めるのでした…。

お笑い芸人、アーティスト、ミュージカル俳優とジャンルの垣根を超えて500組近いペアが演じてきた『ラヴ・レターズ』

今年開場50周年を迎えたPARCO劇場。PARCO劇場開場50周年記念シリーズの一環として、1月に続き、4月も『ラヴ・レターズ~2023 Spring Special~』を上演します。

4月12日(水)19:00開演の回は、お笑いコンビ「EXIT」のりんたろー。さんと、 数々のテレビ番組でリポーターやナビゲーターを務めている知花くららさん。

昨年結婚を発表されたりんたろー。さんは、「SNS やアプリケーション等で容易に繋がれてしまうこのご時世、一方で謎のウイルスが人と人との繋がりを断ち切ってしまったこのご時世。

“手紙”というツールを軸にして今、人に何を届けることが出来るだろうか。

自分自身もパートナーと出会い結婚というものを経てアンディーという人物とどうやって溶け込んでいくのか今から楽しみであり、大きなチャレンジでもあります」とコメントしています。


4月19日(水)14:00開演の回は、ドラマ『科捜研の女』にレギュラー出演するほか、ミュージカルでも人気の活躍し、6月にミュージカル『ダーウィン・ヤング』に出演が決まっている石井一彰さん。落語家で、「女流落語の歴史を変える」とも噂される若手噺家のホープ、蝶花楼桃花さんが出演します。

『ラヴ・レターズ』は、大好きで何度も観劇していた作品だという蝶花楼桃花さん。
「男女が座って手紙を読む、シンプルな物語。同じ文章だからこそ無限の可能性が生まれる。落語に似てるかも!?高座では何人もの登場人物をひとりで演じる私が、今回はメリッサだけになれるなんて!」とコメントしました。

4月21日(金)19:00開演の回は、テレビアニメ『ヲタクに恋は難しい』で主演の二藤宏嵩役を演じる人気声優で、歌手としても活動中の伊東健人さんと、ドラマ『忍者に結婚は難しい』や『来世ではちゃんとします3』に出演し女優として活躍している筧美和子さん。

4月23日(日)19:00開演の回は、ミュージカル『東京ラブストーリー』では三上健一を演じ、ミュージカル『太平洋序曲』では香山弥左衛門を演じた廣瀬友祐さん。高い身体能力を活かして多くのミュージカルの舞台で活躍し、6月に上演する『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』への出演が控えている柚希礼音さんです。

今回新たに4組のペアが誕生しましたが、これまでに500組近くのペアが演じてきた本作。歴代キャストは錚々たる俳優陣!1990年8月19日の初演時のキャストは、アンディーに役所広司さん、メリッサに大竹しのぶさんでした。

アンディーを演じてきたキャストの中には、日本を代表する演出家の野田秀樹さんや三谷幸喜さんも!他にも、村井国夫さん、市村正親さん、仲村トオルさん、山寺宏一さん、佐々木蔵之介さん、星野 源さん、向井理さんら豪華俳優陣が名を連ねます。

ミュージカル界で活躍する俳優も数多く出演しており、浦井健治さん、井上芳雄さん、加藤和樹さん、木村達成さん、古川雄大さん、小池徹平さんらが挙げられます。

さらには、EXILEの松本利夫さん、NAOTOさん、TETSUYAさんや、東京スカパラダイスオーケストラの谷中 敦さん、くりぃむしちゅーの上田晋也さん、ココリコの田中直樹さん、ピースの又吉直樹さんと綾部祐二さんといった面々も出演していました。

メリッサを演じてきたのは樹木希林さんや草笛光子さんといった名女優たち。
そしてお茶の間にも広く知られている、黒柳徹子さん、戸田恵子さん、松本伊代さん、斉藤由貴さん、黒木瞳さん、大地真央さん、花總まりさん、石田ゆり子さん、橋本愛さん、多部未華子さんといった女優陣。

数々のミュージカル作品で主要な役を演じている、濱田めぐみさん、昆 夏美さん、咲妃みゆさん。
AAAの宇野実彩子さんや、フジテレビアナウンサーの西山喜久恵さん、女王蜂のアヴちゃんも名を連ねています。

俳優だけでなく芸人、声優、アーティスト、映画監督、アナウンサー、アートディレクターなど様々なキャスト、様々な組み合わせがみられることが特徴であり、本作の魅力となっています。
『ラヴ・レターズ~2023 Spring Special~』は4月12日(水)、4月19日(水)、4月21日(金)、4月23日(日)にPARCO劇場にて上演です。公式HPはこちら

ミワ

歴代のキャストをみていくと本当に様々なジャンルで活躍されている方々が出演されていて、本作は演じる人の人柄が滲み出る作品なのだということを実感しました。これからどのような新しいペアが生まれていくのか楽しみです。