6月1日に東京芸術劇場シアターイーストにて開幕するハイバイの本公演『再生』。2006年の初演、2015年の再演と生まれ変わりながらも、観客に衝撃を与え続けている本作。今回は、様々なバックボーンをもつ9名をキャストに迎え”ハイバイ版 ”として上演します。
演劇界に衝撃を与えた作品『再生』が岩井秀人演出で再び生まれ変わる!
2006年、多田淳之介さん率いる劇団東京デスロックが上演した『再生』。当時の社会問題であった集団自殺をモチーフにした本作は、今回演出を務める岩井秀人さんにも大きな影響を与えたそう。30分の物語を3回繰り返すという特殊な構造で、決して再生できない“時間”や今ここにある“生”を克明に描き出しました。「生きることの有限性」という不条理に、観客の目の前で上演する舞台芸術だからこその表現で向き合った作品です。
2015年に、KAATで上演された” 快快×岩井秀人版 ”では開幕とともに、口コミで評判が広がり、チケットが入手困難となりました。その衝撃は上演から7年経った現在でも話題に出るほど!
今回は、俳優・モデル・ダンサーと様々なバックボーンをもつ9名をキャストに迎え”ハイバイ版 ”として上演します。
本作で演出を務めるのは、劇作家・演出家・俳優として活動している岩井秀人さん。2003年に劇団ハイバイを立ち上げました。小金井市出身の岩井さんは、東京であり東京でない小金井の持つ「大衆の流行やムーブメントを憧れつつ引いて眺める目線」を武器に、作品で家族・引きこもり・集団と個人・個人の自意識の渦などを描く作風が人気。
2012年にはNHK BSドラマ『生むと生まれるそれからのこと』で第30回向田邦子賞を、2013年には舞台『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。近年は、『ワレワレのモロモロ』『なむはむだはむ』『いきなり本読み!』などの企画開発も積極的に行なっています。今年3月にはハイバイの代表作である『おとこたち』がミュージカル化されました。
岩井さんは以下のようにコメントしています。
「さあ、また「再生」する時が来た。コロナが立ち去ったようで全く立ち去ってなんかいない今、劇場に集まって明確に「命」を再生(Play)し、再生(Rebirth)するタイミングなのだ。
多田くんの発明したこの作品の構造は至ってシンプルなのに、上演時間も今時珍しい1時間半なのに、これほどまで「命」について感じられ、考えられる作品を、僕は知らない。
「演劇でしか成立しない表現」というのも、僕はこの作品にこそ与えられる言葉だと思う。誰向けか、と問われれば「元気になりたい人向けじゃ!」と叫びたい。つまりは、あなた向けの作品なのです。いらっしゃいませ!命のお祭りへ!」
キャリアも年齢もバラバラの個性的な9名の出演者たち
出演者には、俳優・モデル・ダンサーと様々なバックボーンをもつ20代~40代の9名が集結しました。
俳優界からは、2018年のハイバイ『夫婦』に出演、近年は松尾スズキ作品『ツダマンの世界』や東京演劇道場『赤鬼』、ドラマ『王様戦隊キングオージャー』、映画『MONDAYS』など話題作への出演も続く八木光太郎さん。
若手演劇界で注目を集める劇団・アーティストグループ「安住の地」に所属し、ヨーロッパ企画作品や東京デスロック版『再生』にも出演した日下七海さん。幼少期よりクラシックバレエ、コンテンポラリーダンスを学んだ日下さん。身体性を活かした演技を得意としています。
出演作品に、維新派『アマハラ』、ヨーロッパ企画『ギョエー!旧校舎の77不思議』、舞台『夜は短し歩けよ乙女』、東京デスロック『再生』三重ver.などがあります。
MENʻS NONNOモデルを経て、マームとジプシーの『BOAT』『CITY』『Light house』や吉田鋼太郎さん演出彩の国シェイクスピアシリーズ『ジョン王』などに出演、俳優として近年活躍の幅を広げる山本直寛さん。
2021年より秋元康さんがプロデュースする<劇団4ドル50セント>に加入し、舞台を中心に活動中の田中音江さん。主な出演作に、舞台『レディ・ア・ゴーゴー!!2020』、『勇者セイヤンの物語 ノストラダム男の大予言』、『Three Kingdoms~激震再生編~』、『KIKAI』、『放課後に星はみえるか』などがあります。
2018年のNHK連続テレビ小説『まんぷく』では“塩軍団”のメンバーの一員として出演し、注目を集めた南川泰規さん。劇団☆新感線『けむりの軍団』への出演や、自身が所属する劇団空晴では“明るいバカ”な役を多く演じ観客から愛されています。
特徴ある肉体から繰り広げるパントマイムも得意とする徳永伸光さん。
日本大学芸術学部演劇学科の出身で、学外では友人と劇団〈三輪舎〉を立ち上げ、学生演劇祭にて東京、大阪両方で最優秀賞を受賞した経歴を持ちます。卒業後は俳優の身体を研究する為大学院へ進学、パントマイマー・あらい汎さんに師事して様々な表現を磨いています。
175cmという高身長と唯一無二のルックスで数々のファッション雑誌やブランドショーモデルとして活躍し、パリコレクションなどにも出演経験のあるモデルのつぐみさん。本作が初舞台となります。
ダンス界からは、アメリカ・イスラエルでのダンスプロジェクトにも参加経験があり、自らの肉体を曝け出す作品を多く創作する「太めパフォーマンス」の乗松薫さん。
Breakin ダンスで数々のダンスバトルやコンテストなどへ出場し優勝した経験を持ち、現在は舞台を中心にプレイヤーとして活動している小宮海里さんという個性的な9名が新たにハイバイ版『再生』に挑みます。
アフタートークの開催が決定!
東京公演では、ゲストを招いてのアフタートークが実施される回も。
『再生」生みの親である東京デスロック主宰・多田淳之介さん、過去に上演されたバージョンの『再生』や岩井さんの歴代作品もよく知るライター/編集者・九龍ジョーさん。そして2015年の“快快×岩井秀人版”の『再生』を共作し、今回も再び本作のクリエーションに携わっている舞台美術家の佐々木文美さんと衣裳家・藤谷香子さんを招き、アフタートークが行われます。
日程は以下を予定しています。
6月1日(木)19:30回に岩井秀人さん×多田淳之介さん(東京デスロック)。
6月2日(金)19:30回に岩井秀人さん×九龍ジョーさん(ライター/編集者)。
6月3日(土)14:30回に岩井秀人さん×佐々木文美さん(舞台美術家)×藤谷香子さん(衣裳家)。
ハイバイ『再生』は、6月1日(木)〜6月11日(日)に東京芸術劇場 シアターイーストにて上演です。その後、7/1(土)〜7/2(日) に三重県文化会館 小ホール、7/8(土)〜7/9(日) に山口情報芸術センターYCAM スタジオBにて上演です。公式HPはこちら。
様々な出自のプレーヤーで作り上げることが可能なのも『再生』という作品だからこそ。どのような変化を遂げても『再生』になるという不思議な作品、今回はどのような上演になるのか必見です!