7月26日からシアタークリエで幕をあける『家族モドキ』。山口祐一郎さん、浦井健治さん、大塚千弘さん、保坂知寿さんの4人芝居で、“現代における家族の形”を紡ぎます。初日を前に行われた囲み取材・ゲネプロリポートの様子をお届けします。

ガチッとした家族じゃなくても、もっと楽に

脚本・田渕久美子さん、演出・山田和也さんが2020年にシアタークリエ他で上演された舞台『オトコ・フタリ』以来のタッグを組んだ舞台『家族モドキ』。長年の付き合いである山口祐一郎さん、浦井健治さん、大塚千弘さん、保坂知寿さんに向けて、新たに書き下ろされた“家族”の物語となっています。

撮影:山本春花

浦井健治さんは「田渕さんから祐さんへの愛を脚本から凄く感じました。こんなにセリフを捲し立てて、“ずーっとはけない山口祐一郎さん”を見ていると(笑)、とても愛情が現れている作品だと思います」と山口祐一郎さんがほぼ出ずっぱりの作品であることを明かしました。その中で、「現代社会の色々なものが描かれていて、それぞれがそれを担っている」とのこと。

山口祐一郎さんは「気付かないうちに家族とはこういうものというしがらみの中にいるかもしれないけれど、そんなにガチッとした家族じゃなくても、もっと楽に生きていきましょう、というメッセージを作品から受け取っている」と語り、本作の魅力を「みんな違って良いんですよ、あなたはあなたで良いんですよ」と表現。

山口さんと親子役を演じる大塚千弘さんは、「15歳で東京に出てきてお父さんと喧嘩をしたりすることがあまりなかったので、山口さんとそれを擬似体験させていただいているような気持ちで、楽しく演じていて、凄い感謝しています」とコメント。

保坂知寿さんは本作のメッセージを「家族」「思いやる気持ち」だと言い、「日常の会話の中に愛も、いたずら心も、悲しみや喜びも、キラキラと散りばめられていて飽きない」脚本であることを語りました。

秘密を抱えた奇妙な4人が集う、“家族モドキ”

日本史の大学教授・高梨次郎(山口祐一郎さん)の自宅に、3年ぶりに娘・民子(大塚千弘さん)が帰ってきます。大学時代の同級生・木下渉(浦井健治さん)との子どもを妊娠したという民子ですが、病院には渉の妻だという木下園江(保坂知寿さん)が現れて…。よもや大修羅場、かと思いきや、和やかに言葉を交わす民子・渉・園江の姿に、次郎は困惑するばかり。

次郎はテレビにも出演する著名な勝海舟に関する研究の権威。プライドの高さや「男はこうあるもの」「女はこうあるべき」論でたびたび民子と衝突してしまいます。いわゆる“昔ながらの嫌なお父さん”ですが、渉がひとたび歴史についての質問をすると、イキイキと歴史について語り始める姿には無邪気さも感じます。

一見、外から見ると奇妙な関係性の4人の中に抱える、それぞれの秘密や、相手を思うからこそ言えない想い。それらが少しずつ紐解かれていった時、“家族モドキ”な4人の温もりがそっと心をほぐしてくれるでしょう。

稽古では毎回、山口さんの「幸せです」という言葉で終わっていたという、温かなカンパニーが紡ぐ『家族モドキ』。7月26日(水)から8月13日(日)まで東京・シアタークリエ、8月18日(金)から20日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、8月24日(木)に愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホールにて上演されます。公式HPはこちら

Yurika

高慢で偏見も強い次郎ですが、日本史の話になると目を輝かせる姿はチャーミング。山口さんの柔らかくて優しい声に包まれると、とても温かな気持ちになります。