創立100周年を控えるウォルト・ディズニー・カンパニーがこれまで生み出した長編アニメーション映画は、全部で61作品。短編映画や実写映画も合わせると、その総数は計り知れません。ディズニーが好きな人でも、見逃している映画は意外と多いのではないでしょうか?そこで今回は、ディズニー映画で育ったミュージカルファンの筆者が、ミュージカル好きには特におすすめしたいアニメーション映画をご紹介します。
『ターザン』
『ターザン』は1999年に公開された長編映画で、ディズニー社の低迷期を救ったディズニー・ルネサンス期の最後の作品と言われています。
赤ん坊連れの若い夫婦は、乗っていた船が難破し、命からがらアフリカのジャングルに漂着しました。一家はジャングルに家を作りますが、夫婦は凶暴な豹に殺され、赤ん坊は一人ぼっちになってしまいます。
雌ゴリラのカーラは、可哀想な赤ん坊を助け、ターザンと名付けて自分の子供として育てることに。ゴリラの家族になったターザンは立派な青年に成長し、ジャングルの動物たちと暮らしています。
そこへ、イギリスから探検家のポーター教授と娘のジェーンがやってきました。ターザンはジェーンと出会って人間の世界へ興味を抱くようになり、ジェーンもまた、心優しいターザンに惹かれていきます。
グラミー賞歌手のフィル・コリンズが歌う劇中歌が、キャラクター達の心情と野性的なジャングルの世界とリンクしているのが見どころ。「ユール・ビー・イン・マイ・ハート」や「トゥ・ワールズ」など『ターザン』の楽曲は日本でも人気が高く、ディズニーランドの中でも耳にすることがあります。日本語吹き替え版では、『ザ・ミュージック・マン』主演などミュージカル界で活躍中の坂本昌行さんが歌っていますよ。
本作は2006年から2007年にかけて、ブロードウェイにてミュージカル版も上演されました。ツタで宙を舞い、木の上を駆け回るターザンのダイナミックなアクションが舞台上で再現されたようで、「いつか日本でも見られたらいいのに」とつい思ってしまいます。Amazon Prime Videoでの視聴はこちら、ディズニープラスでの視聴はこちら
『プリンセスと魔法のキス』
おとぎ話に着想を得た作品が多いディズニー映画。2009年に公開され、アカデミー賞とアニー賞の各3部門を受賞した『プリンセスと魔法のキス』は、グリム童話『かえるの王さま』をパロディにしています。
物語の舞台は、ニューオーリンズ。ヒロインのティアナは、幼い頃に亡き父と描いたレストランを開くという夢を叶えるため、日々アルバイトに明け暮れるタフで現実的な少女です。
あと少しで夢が叶うというとき、ナヴィーン王子が町にやって来ます。王子の歓迎パーティーに調理係として出席したティアナは、人間の言葉を喋るカエルに遭遇。なんとそのカエルはブードゥー教の魔術にかけられたナヴィーン王子で、自分を人間に戻すためにキスをしてくれとティアナに頼みました。
ティアナは渋々ナヴィーンにキスするのですが、助けるどころか、今度は彼女までカエルになってしまい・・・?!
ジャズの町ニューオーリンズを舞台にしているだけあって、ミュージカルシーンは粋なジャズのメロディとパワフルな歌声に溢れています。ティアナの声を演じているのは、映画『ドリームガールズ』にも出演したアニカ・ノニ・ローズ。
彼女が歌う「夢まであと少し」は、アカデミー賞主題歌賞にノミネートされました。日本語吹き替え声優は、2023年10月からミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』に出演する鈴木ほのかさんです。
筆者は鈴木さんといえばティアナのイメージが強く、『レ・ミゼラブル』や『メリー・ポピンズ』で彼女の生の歌声を聴いたときは大変驚きました。(勿論良い意味で!)
本作は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによる最後の長編セルアニメ映画です。温かみがあってどこか懐かしく、最新の技法によってCGのようにリアルに描かれた手書きアニメーションの美しさも、見応えがあります。Amazon Prime Videoでの視聴はこちら、ディズニープラスでの視聴はこちら
『あの頃をもう一度』(短編)
長編ディズニー映画の劇場公開時には、短編映画が同時上映されることがあります。『あの頃をもう一度』は、2021年公開の『ラーヤと龍の王国』と同時上映されたCGアニメーションの短編映画です。
ダンスと音楽に溢れた都会で暮らす老夫婦。若い頃はダンスに夢中だった男は、老いてからは妻のダンスの誘いも断り、外にも出ず家で悲嘆に暮れていました。
ところがある夜、ベランダで雨に降られた男は、身体が若返ってしまいます!同じく若返った妻と街に繰り出し、ダンスを楽しむ夫婦ですが、2人が若返っていられるのは不思議な雨に打たれている間だけ。男は老人に戻らないよう、雨雲を必死で追いかけますが・・・。
台詞も歌もないたった7分の作品ですが、映像・ダンス・音楽・ストーリーの全てが美しく、心にじーんと残ります。老夫婦や街の人達のダンスシーンはどこかオマージュっぽさがあり、本作の監督曰く、『雨に唄えば』や『ラ・ラ・ランド』、『パリのアメリカ人』などのミュージカル作品からインスピレーションを得たのだとか。本作を見れば、「なるほどたしかに!」と、納得するはずですよ。ディズニープラスでの視聴はこちら
名作揃いのディズニー映画の中から、ミュージカル好きでも見たことがある人、ない人で分かれるであろう3作品をセレクトしてみました。 全てDisney+(ディズニープラス)で配信されていますので、気になる映画はぜひ実際に観てみてくださいね!