日本でも大ヒットした映画『アナと雪の女王』。海外では『FROZEN』というタイトルで、ブロードウェイミュージカル公演も大ヒット。日本でも2021年に劇団四季のミュージカル公演が決定しています。作品の主題歌である『Let It Go』。日本語版しか聞いたことがない、英語版も聞いたけれど細かい歌詞は見ていない。そんな方、ちょっと待った!!実は日本語版には、アニメーションに上手くはめるために省略されている歌詞もあるんです。今回は英語詞を深く紐解くことで、「アナ雪」の魅力を深掘りします!
01 孤独の国の女王・エルサ
エルサが今まで秘密にしてきた魔法について知られてしまい、自分自身をも解き放つ覚悟を決めた楽曲『Let It Go』。まず着目したいのは冒頭の「A kingdom of isolation And it looks like I’m the queen」という歌詞。日本語版『Let It Go〜ありのままで〜』では「真っ白な世界に ひとりのわたし」と訳されています。
しかし歌詞を直訳すると、「A kingdom of isolation」とは、“孤独の国”という意味。Queenは女王ですよね。つまり、「アレンデール王国の女王」であったエルサが国を飛び出し、「孤独の国の女王」になった。そんな対比構造を生み出すことにより、エルサの孤独さを際立たせているのです。
02 過去は過去、私はもう戻らない
最後の大サビ前に出てくる「The past is in the past」。直訳すると、「過去は過去にある」といった具合でしょうか。今まで自分の魔法を隠し、人から隠れてきた人生を送ってきたエルサ。しかし過去は過去でしかない。今の自分は、もう過去から踏み出して“今”を生きている。私はもう過去には戻らない!という強いエルサの意思が込められた歌詞だと思いませんか?筆者は嫌なことや苦しいことがあった時に、この歌詞を心の中で唱えて前を向くようにしています。
03 「完璧な少女」はもういないの!
大サビでエルサが高らかに歌い上げる歌詞「That perfect girl is gone」。直訳すると、「完璧な少女はいなくなった」。これは、楽曲の前半の「Be the good girl you always have to be」(あなたはいつも良い子じゃなきゃいけない)という歌詞に対比する形となっています。
エルサは両親や家臣たちからの「魔法を隠すように」という言いつけを守り、妹・アナとの距離も取ってきた。周りから見たらずっと「良い子」だったわけです。だけどそれは、本当の自分じゃないし、限界がきた。「完璧じゃない」って少しネガティブに聞こえますが、全てが完璧な人間なんていない。それに「完璧」というのは、誰かから決められた枠の中で生きることではない。だから自分は自分であることを認め、堂々と生きていくことに決めたんですね。
“レリゴー”に隠された深い意味が伝わりましたでしょうか。日本語版の歌詞ももちろん素敵ですし、アニメーションの口の動きや曲の音に合わせないといけないという制約もあります。 日本語版も英語版も、合わせて楽しんで頂くとより作品の深いメッセージに気付けると思います。ぜひ、英語版『Let It Go』を改めて聴いてみてくださいね。