日々、多くの作品が上演されている小劇場演劇。どれを観たらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、演劇を愛するAudience編集部が独断と偏見で、6月に上演している作品の中からおすすめ作品を3本セレクトしてみました!

言葉の溢れる現代で「きく」ということ エンニュイ『きく』

「エンニュイ」は、2017年に旗揚げされた劇団。主宰で脚本・演出を務めるのは、お笑いコンビ「クレオパトラ」としても活動する傍ら、様々なジャンルを横断し表現をして活動の幅を広げている長谷川優貴さんです。劇団名「エンニュイ」の名付け親はピースの又吉直樹さん。「『アンニュイ』と『エンジョイ』を足した造語であり、 物憂げな状態も含めて楽しむようなニュアンス」で「エンニュイ」です。

CoRich舞台芸術まつり2023春グランプリ作品『きく』の再演。物語は、「母親が癌になった」という一人の男の語りから始まります。

どこなのかはわからないけれど、職場やバイト先のような、目的をもって強制的に集められる場所。
語り手、そして聞き手たちはそこによく集まるメンバーで、仕事終りの、目的を果たした後のような時間をそこで過ごしています。

育ってきた環境もこれまでの経験も違うメンバーたちは、語り手の話を真剣に聞こうとしながらも、徐々に頭の中はズレていきます。
自分の想像で話の余白を埋め、連想したり、脱線したり、妄想したり、集中力が切れて別のことを考えたり。徐々に時間感覚さえも狂っていき…。

エンニュイperformance『きく』は、6月18日(火)〜6月23日(日)に東京・アトリエ春風舎にて上演です。詳細はCoRich公演ページをご確認ください。

絡み合う3人の女性たちが映し出す、現代社会をあなたは許せるか 三栄町 LIVE × 久我真悟プロデュース 東京・札幌公演『産声が聴こえない。』

2020年、2022年に上演され、多くの反響があった『産声が聴こえない。』を完全リメイク。新作完全版として東京・札幌にて上演します。

『産声が聴こえない。』は、3人の女性の物語。
ネットカフェに住み、その日暮らしの毎日を送っている、風俗嬢の女性。
都内の高校に通い、周りとの差に悩んでいる少女。
結婚生活5年目で、恵まれた毎日を送っているが、不妊症によるすれ違いで夫婦仲が徐々に険悪に
なってしまった女性。絡み合う3つの人生が映し出す、現代社会の闇とは…。

脚本・演出の久我さんによると、生まれたばかりの赤ちゃんを遺棄する事件は、2023年時点で、報道された件数だけでも40件以上。(NHKクローズアップ現代調べ)妊娠から出産までや、出産後赤ちゃんを育てる事が困難な妊婦は、「特定妊婦」と定義され、生活の支援、資金の援助、出産までのサポートや就業への支援も行われています。2020年4月時点では、「特定妊婦」の数は8327人とされており、現時点では、その数は更に増加の一途をたどっています。(参照:厚生労働省HP)

久我さんは、「様々な記事と対峙したり、話を聞いている中で感じたのは、「資金力不足」と「貧困の拡大」と「他者への無関心」が大きな原因だと私は思う。また更に、本作では「望まない妊娠」に加え、「不妊治療夫婦の現状と課題」についても掘り下げていこうと考えている」「本作では、「妊娠」を題材に、現代社会における人間関係、生きづらさをクローズアップし、誰かの苦しみが減るキッカケになれるように、多くの人々に伝えていきたい」とコメントしています。

さらなるリサーチによって進化を遂げた三栄町LIVE ×久我真悟プロデュース『産声が聴こえない。』は、6月18日(火)~6月30日(日)に東京・三栄町LIVE STAGE、その後、7月17日(水)~7月21日(日)に札幌・演劇専用小劇場BLOCHにて上演です。詳細は公式HPをご確認ください。

人気作品をゲストキャスト一新版&配役シャッフル版の2バージョンで上演!梅棒18th “RE”SHOW『シャッター・ガイ』

劇場での主催公演を中心に、 『嵐』や『AKB48』等のアーティストLIVE 、映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』や『NHK紅白歌合戦』等の映像メディア、宝塚歌劇団や2.5次元舞台等での振付・演出でも活躍するダンスエンターテインメント集団「梅棒」。

セリフを喋らず、J-POPとダンスを組み合わせ起承転結のあるストーリーを展開し、魅惑的な世界観を創りあげます。梅棒について詳しくはこちらの記事へ。

今作は、2018年上演の梅棒 8th SHOW『Shuttered Guy』を、ゲストキャストを一新して再演する『シャッター・ガイZ』と、さらに谷内伸也と梅棒メンバーという全体の半分の配役がシャッフルされる『シャッター・ガイ改』の2バージョンで上演します。

舞台は、東京のどこかにある今ではちょっとさびれてしまったけど、人情味あふれる“ネコダ銀座商店街”。
そんなネコダに、ある日突然ネバダから豪華デパートを経営するセヴン姉妹が襲来。
古き良き商店街と新しくて煌びやかなデパートの間で揺れ動く、親子・夫婦・友人・ 恋人…。
果たしてネコダ銀座商店街はどうなってしまうのか!?
家族や町の人々の絆がノンバーバルのダンスアクトで紡がれます。

出演者には、ダンスボーカルユニット「Lead」のメンバーとして多彩に活躍している⾕内伸也さんや、声優アイドルユニット「i☆Ris」メンバーで『プリパラ』の真中らぁら役などで声優を務める茜屋⽇海夏さん、舞台『チェンソーマン』『弱⾍ペダル』といった話題の2.5次元作品への出演を中⼼に、殺陣振付など多彩な活躍を見せる鐘ヶ江洸さんなどが出演。

そして梅棒から、梅澤裕介さん、鶴野輝⼀さん、遠⼭晶司さん、塩野拓⽮さん、櫻井⻯彦さん、楢⽊和也さん、天野⼀輝さん、野⽥裕貴さんの全19名が出演します。
※ 野⽥裕貴さんは『シャッター・ガイ改』、吉原伶那さんは『シャッター・ガイZ』のみの出演となります

梅棒18th “RE”SHOW『シャッター・ガイ』は、6月21日(金)~7月7日(日)に東京・IMM THEATERにて上演、7月12日(金)~7月15日(月・祝)に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。7月28日(日)に、愛知・東海市芸術劇場にて上演です。詳細は公式HPをご確認ください。

ミワ

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