まもなく上演される舞台『千と千尋の神隠し』の演出を担当するジョン・ケアードさん。何度も日本でミュージカル演出を手がけており、世界的にも有名な演出家です。今回は大注目作品『千と千尋の神隠し』を手掛ける、ジョン・ケアードさんについてご紹介します。

演出家 ジョン・ケア-ドの輝かしい経歴

1977年、英国のロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)の演出家となり、シェイクスピア、ゴーリキー、ブレヒトなどの古典から現代作家の新作まで幅広く手がけます。主な作品には、ミュージカル『ニコラス・ニックルビー』(’80〜86年)、『ピーター・パン』(’82〜84年)、『レ・ミゼラブル』(’85年〜)、『ジェーン・エア』(’97年〜)など。

中でも『レ・ミゼラブル』と『ニコラス・ニックルビー』ではトニー賞を受賞し、ほかにも世界中で数々の賞に輝いています。特にシェイクスピア作品が多く、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクターとなりました。ストックホルム王立ドラマ劇場のプリンシパル・ゲスト・ディレクターを兼任するとともに、フリーランスとしてもミュージカルやオペラ、ストレートプレイの脚本・演出を手がけています。

日本では、オリジナル版『レ・ミゼラブル』(1987年の初演から2011年まで)の演出でも知られていますね。堂本光一さん×井上芳雄さんという豪華キャストで実現したミュージカル『ナイツ・テイルー騎士物語ー』の演出も務めました。そして奥様はなんと!『レ・ミゼラブル』の2007年から2009年までの公演でファンティーヌを演じた今井麻緒子さん。現在奥様も翻訳・訳詞家として演出補佐と共同翻案を手掛けていらっしゃいます。子供たちにジブリアニメを見せ日本語の勉強をさせていたことをきっかけに、ジョン・ケアードさんも宮﨑監督の大ファンになったそうですよ。

演劇界に”ダブルキャスト”の仕組みを取り入れた立役者

ジョン・ケアードさんは、現在のミュージカルや演劇で当たり前となっている「ダブルキャスト」を初めて取り入れた演出家としても有名です。長い公演期間中に、2人の役者が1つの役を交代で演じることで、体力的な負担を減らすと同時に観客にとって公演を何度も楽しんでもらえる新しい仕組みとなりました。

たしかに同じ演目でも、演じるキャストの組み合わせによって何通りもの違った感動や楽しみ方ができますよね。今となっては当たり前のことですが、そこに気づいて実施したジョンさんは素晴らしい立役者です。

また、演者を褒めて伸ばす演出家だとか。ダメ出しではなく「いい出し」という言い方をするそうです。まず演者の才能を認め、演者のプランを受け入れながらすすめていくというスタイルが、演出家として世界中で活躍する秘訣なのかもしれませんね。

Chizu

そして、そのジョン・ケアードさんが演出を手がける舞台『千と千尋の神隠し』がいよいよ始まります。今回は、キャストすべてがダブルキャストで上演。組み合わせによってどのような仕上がりになるのか今から期待が高まります!!