英国ナショナル・シアターが厳選した傑作舞台を、実際の公演時に収録、各国の映画館で上映するプロジェクト「ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)」。そのプロジェクトから、8月30日(金)より『ナイ 〜国民保健サービスの父〜』が公開されます。イギリスとアイルランドでは、初日に約5万人が集まるヒットとなっており、緊張感溢れる劇場の空気も含め、内容も間違いない舞台を映画館で体感できる貴重な機会。今回はこちらの作品を取り上げます。
国民保健サービスの生みの親、ナイ・ヘヴァンの人生と遺産をめぐる旅
国民保健サービス“NHS”の生みの親であるナイ・ベヴァン(アナイリン・ベヴァン)の人生を描く物語。ベヴァンは、イギリス・ウェールズ出身の政治家で、炭田でのキャンペーンから国民保健サービス創設の戦いの指揮まで、首相になることなく英国に最も大きな影響を与えた政治家としてしばしば言及されています。
アトリー政権にて1945年~1951年の間、保険大臣を務め、国民保健サービス(NHS)を導入しますが、その後、アトリー政権の予算の問題でNHSへの予算が削減されたことに反発。アトリー内閣を去ります。
死に直面したべヴァンは、深い記憶を頼りに、幼少期から地下採掘場、議会、チャーチルとの戦いまで、人生を遡る気の遠くなるような旅に出ます。
イギリス・ナショナルシアターが贈る、世界レベルの舞台を映画館で
脚本は、かつて週刊紙でジャーナリスト、デザイナーとして活躍。自殺についての協定を結ぶ二人姉妹を描いた『Salt, Root and Roe』にて、イギリス版トニー賞とも称される「ローレンス・オリヴィエ賞」で提携劇場の優秀作品賞にノミネートもされた、ティム・プライスさん。演出は、ナショナル・シアターの芸術監督であり、今年第24回WhatsOnStageアワードでイギリスの演劇界への貢献を讃えられ特別賞を受賞した、ルーファス・ノリスさんが務めています。
主人公ナイ・べヴァン役には、2006年から上演された舞台『フロスト/ニクソン』でデヴィッド・フロストを演じ(2008年の映画版でも同役を演じました)、「ローレンス・オリヴィエ賞」にもノミネート。直近では、テレビドラマ『グッド・オーメンズ』で人気を博しているマイケル・シーンさん。
共演には、昨年同じくNTLiveでも上映された舞台『善き人』での演技が評価され、「ローレンス・オリヴィエ賞」にノミネートされた、シャロン・スモールさん。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやナショナル・シアターの作品へ出演するなど、活動の幅を拡げている、トニー・ジャヤワルデナさん。
日本での上映館は、TOHOシネマズ 日本橋・TOHOシネマズららぽーと横浜・TOHOシネマズ 赤池・大阪ステーションシティシネマ・キノシネマ天神・シネ・リーブル池袋・シネ・リーブル神戸・アップリンク京都の、計8館にて、8月30日(金)より公開されます。公式HPはこちら
収録は現地で観劇しているお客さんと一緒の空間で行われ、緊張感溢れる劇場の空気も一緒に体感することができます。また、映画館でもベストシートで観劇しているような感覚になれるよう、カメラ位置が決められているとのこと。 ヘヴァンさんは、2004年に彼の福祉国家成立への貢献を讃え「ウェールズの100人の英雄」(2004年)の1位に選ばれるなど、ウェールズ出身の政治家として最も有名な一人。そんな彼の物語を、イギリス・ナショナルシアターが演出した世界レベルの舞台をぜひ映画館で体感してください。