『ライオン・キング』のはじまりの物語を描いた超実写映画『ライオン・キング:ムファサ』。シンバの父ムファサ王と、ムファサの命を奪ったスカーの若き日を、圧倒的な映像美で描いています。
ムファサの若き日を最新デジタル技術で臨場感たっぷりに表現
アニメーション版『ライオン・キング』から始まり、ロングラン公演で日本でも親しまれているミュージカル、2019年に製作され全世界で大ヒットを記録した超実写版『ライオン・キング』など多くの人に愛されてきた『ライオン・キング』。その主人公シンバの父ムファサと、ムファサの命を奪ったスカーの若き日の物語を描いたのが、『ライオン・キング:ムファサ』です。
新たにバリー・ジェンキンス監督、ミュージカルファンにもお馴染みの天才音楽家リン=マニュエル・ミランダを迎え、高精細なデジタル映像、豊かなアニメーション表現、エフェクト技術を組み合わせ、圧倒的な映像美と没入感を生み出します。
両親と生き別れ孤児となった幼いムファサは、王の血筋をひくタカ(若き日のスカー)に助けられ、兄弟の絆で結ばれるようになります。しかしタカたちの群れはある日、強大な敵・キロスの脅威にさらされ、血筋を守るため、タカはムファサと共に逃げるよう告げられます。
そこでムファサとタカが目指したのは、かつてムファサが両親から聞かされていた“約束の地・ミレーレ”。旅の途中で群れとはぐれてしまったメスのライオン・サラビと、彼女が連れていた護衛のサイチョウ・ザズー、不思議な能力を持つが故に群れから追い出されてしまったマリンドルのラフィキも仲間に加わります。過酷な冒険の最中、キロスは執拗に彼らを追い続け…。
『ライオン・キング』を見たことがある人であれば、スカーがムファサを崖から突き落とすシーンは強く印象に残っていることでしょう。本作『ライオン・キング:ムファサ』ではこの“未来”を彷彿とさせるように、ムファサをタカが崖から救い上げるシーンがあります。孤児のムファサを群れに受け入れ、兄弟のような絆を築いたタカ。ムファサの命を救ったタカが、なぜを崖から突き落とす未来に向かってしまうのか。そこには単なる悪役とは言えない、(ライオンながら)人間味ある心情や葛藤が隠されていました。
超実写プレミアム吹替版声優には豪華俳優陣が集結!
日本では超実写プレミアム吹替版声優として、ムファサ役を尾上右近さん、タカ役を松田元太さん(Travis Japan)が務めます。尾上右近さんはムファサが運命に立ち向かい、成長していく姿を逞しく表現。松田さんはタカの無邪気で少し頼りない姿を愛らしく、また嫉妬心や劣等感から闇に堕ちていく切なさを丁寧に表現しています。
ムファサとタカと共に旅をするサラビは、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』などに出演するMARIA-Eさん。孤独ながら力強く生き、また温かみもあるサラビを魅力的に表現しています。ムファサとサラビが想いを伝え合う劇中歌「聞かせて」は、想いを隠してきたムファサの心をサラビの温もりある声でそっと溶かしていくような、美しいナンバーです。
ムファサの両親マセゴとアフィアを演じるのは、吉原光夫さんと和音美桜さんのご夫婦。孤児となってしまうムファサの記憶の中で大切に想い続ける両親の姿を、深く温かい愛情溢れる歌声で表現しています。
ムファサとタカを追い続けるキロスを務めるのは、渡辺謙さん。冷徹で執念深いキロスを圧巻の存在感で魅せています。
「はぐれもの」たちが紡ぐ物語
本作で印象的だったのは、登場する多くの動物たちが「はぐれもの」であるということ。孤児となったムファサ、キロスに襲撃され群れから離れて逃げるタカ、群れとはぐれてしまったサラビ、不思議な能力を持つが故に群れから追い出されてしまったラフィキ、そして「はぐれもの」と呼ばれ、同じような境遇のライオンを集めて群れを形成し独裁的に支配しようとするキロス。
ひょんなきっかけや、他者とは異なる個性を理由に「はぐれもの」になった彼らの中には孤独が存在します。理想郷のような“約束の地・ミレーレ”を追い求めるのも、どこかに自分の居場所があるはずだという、自身の存在意義を求める旅でもあるのでしょう。そして彼らは旅を経て、孤独を超えて大切な誰かと繋がり、他者を尊重する新たなコミュニティを創り出す者と、劣等感や孤独に押しつぶされてまた「はぐれもの」になる者に分かれてしまいます。この物語が、なぜ「分断」が進む今の世の中に生まれたのか。その意味を考えさせられます。
さらに、本作では彼らの物語を、ラフィキがシンバの娘キアラに語り聞かせるという構成になっています。キアラは「未来」であり、彼女に物語が受け継がれることに、『ライオン・キング』を貫くテーマ「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」を感じさせます。キアラはどのように未来を切り拓いていくのでしょうか。
超実写映画『ライオン・キング:ムファサ』は大ヒット上映中です。
崖のシーン以外にも、『ライオン・キング』との繋がりを感じる、ファンにはたまらないシーンが続々と登場します。