2025年2月、大ヒット漫画『昭和元禄落語心中』が日本のオリジナルミュージカルとして上演されます。ミュージカル界を牽引する山崎育三郎さんと古川雄大さん、明日海りおさんの初共演もお見逃しなく。

落語界が舞台の日本オリジナルミュージカル誕生!

ミュージカル『昭和元禄落語心中』では、落語の世界に生きる男女の愛や業といった濃密な人間ドラマが繰り広げられます。

原作は、雲田はるこ先生の同名漫画。元チンピラの与太郎が刑務所の服役中に聞いた有楽亭八雲(やくも)の落語に感銘を受け、弟子入りを志願するところから物語が動き始めます。

昭和最後の大名人と称される八雲には、夭折した天才落語家の助六(すけろく)との浅からぬ因縁があり、その人生にも影を落としていました。戦前から平成に至るまで、落語を愛し落語に愛された人々の生き様を情感豊かに描いた本作は、第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞と第21回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。2016年と17年にアニメ化された後、2018年にはNHK総合でドラマ化されるほど話題に。

このドラマ版に出演していたのが、山崎育三郎さんです。もともと、日本のオリジナルミュージカルを作ることが長年の夢だったという山崎さん。そんな中で「6年前に出演したドラマ『昭和元禄落語心中』に出逢い、この作品の持つ儚く美しい世界に魅了され、撮影中からいつかこの作品をミュージカル化したいと心に秘めていました」と胸中を語っています。

そして、山崎さんが同じ所属事務所の明日海りおさんと古川雄大さんに声をかけていたことも契機となり、『昭和元禄落語心中』のミュージカル化が実現しました。ミュージカルに舞台、映像作品と幅広く活躍する3人が共演するのは、実は今回が初めて。顔ぶれだけでも豪華すぎるのですが、それぞれの経験に裏打ちされた歌唱力と演技力も大きな見どころです。山崎さんの熱意がどのようなオリジナル作品として広がっていくのか、ミュージカルファンとして期待せずにはいられません。

若き男女3人が織り成す愛と葛藤のドラマ

ミュージカル版では、有楽亭八雲の過去を軸としてストーリーが展開します。昭和初期、有楽亭八雲がまだ菊比古という名の若者だったころ。菊比古は落語界に入門し、同期の初太郎、のちの助六と出会いました。

努力家で繊細な菊比古と天才肌で豪快な助六は、一見正反対ながらも固い友情で結ばれ、互いに切磋琢磨し合う仲に。やがて2人は芸者のみよ吉と親しくなりますが、その関係は思いもよらない結末を迎えます。

メインビジュアルもまた、複雑な人間模様を示唆しているかのようです。どこか遠くへ視線を向ける助六に、潤んだ瞳で寄り添うみよ吉。一方で、菊比古は真剣な眼差しで助六を見つめています。三者三様の表情に秘められた思いは、劇場で明らかになることでしょう。

実力派のキャストとスタッフで新ジャンルに挑む

ミュージカル『昭和元禄落語心中』のキャストとスタッフには、日本ミュージカル界を代表する面々が揃っています。山崎育三郎さんはミュージカルの企画を手掛けるとともに、のちの助六である初太郎役として出演。ドラマ版でも同じく助六を演じているとあって、これ以上にないほどのハマり役となる予感がします。

有楽亭八雲、もとい菊比古役を務めるのは古川雄大さん。多くの話題作に出演し、2023年にはミュージカル『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』で初めて帝国劇場単独主演を飾りました。山崎さんとは『モーツァルト!』でWキャストという形で共演されていましたね。

また、元宝塚歌劇団花組トップスターの明日海りおさんが、芸者のみよ吉役に。これまでの役とは異なる艶っぽい女性の雰囲気には、男女問わず魅了されてしまいそうです。

さらに、八雲の隠された過去を知ることとなる弟子の与太郎役は、高い演技力で評価されている黒羽麻璃央さん。

八雲の養女で、与太郎と懇意になる女性・小夏役には「ウルトラマンアーク」夏目リン役など映像を中心に活躍する若手実力派の水谷果穂さん、師匠(七代目八雲)の、そしてのちに菊比古(八雲)の付き人を務める松田役には山崎さんともミュージカル『トッツィー』で共演経験のある金井勇太さん。

助六と菊比古の師匠にあたる七代目八雲は、テレビドラマや映画、舞台など多彩に活動し続けている中村梅雀さんが演じます。

そして脚本と演出を担当するのは、ミュージカル『エリザベート』をはじめ数々の名作を世に送りだしてきた小池修一郎さんです。小池さんは主演の3人とそれぞれ別の作品で関わっておられ、不思議な縁を感じます。実績あるカンパニーで挑む“落語×ミュージカル”という新たなジャンルは、必見です。

ミュージカル『昭和元禄落語心中』は2025年2月28日(金)から3月22日(土)まで、東京・東急シアターオーブにて上演。その後、3月29日(土)から4月7日(月)までフェスティバルホールにて大阪公演が行われます。両公演ともに、チケットの一般発売は1月12日(日)より開始です。なお、4月14日(月)から4月23日(水)まで福岡市民ホールにて行われる福岡公演は博多座主催となります。ちなみに東京・大阪・福岡の各会場において、アフタートークショー付きの公演もあるとのこと。このほか、公演に関する詳細は公式ホームページをご確認ください。

もこ

まさか山崎育三郎さん、古川雄大さん、明日海りおさんによる夢のような共演が実現するなんて、と筆者もびっくり。実はお三方がミュージカルで和装姿を披露するのも今回が初めてだそうで、そういった面でも楽しみです!