世界中で愛され続けているミュージカル『ウィキッド』が、ついに映画化。2024年11月に公開されたアメリカでは大ヒットスタートを記録し、“ウィキッド旋風”が巻き起こっています。3月7日(金)の日本公開を迎える前に、映画『ウィキッド ふたりの魔女』の見どころをチェックしましょう。

もうひとつの『オズの魔法使い』の物語

『ウィキッド』は、アメリカの小説家であるグレゴリー・マグワイアが1995年に発表した小説。あの有名な童話『オズの魔法使い』に登場する“悪い魔女”と“善い魔女”にスポットを当て、2人の知られざる過去からオズの国を巡る衝撃の事実を描いています。

『オズの魔法使い』の中で、悪い魔女はオズの国に住む人々から嫌われ、最後には少女ドロシーに倒されてしまうという典型的な悪役でした。しかし、果たして彼女は生まれつき邪悪で恐ろしい存在だったのでしょうか。このように小説『ウィキッド』では、悪と見なされてきたものを別の視点から捉え直し、善悪とは何かを読者に問いかけています。

そんな小説をミュージカルに仕立てたのが、ブロードウェイで活躍する作曲家のスティーヴン・シュワルツです。ミュージカル『ウィキッド』は2003年にブロードウェイのガーシュウィン劇場で初演されると、多くの観客を魅了。以来、20年以上にわたってロングラン上演されています。2004年のトニー賞では10部門にノミネートされ、イディナ・メンゼルのミュージカル主演女優賞を含む3部門を受賞しました。これまでに全世界で6,500万人以上の観客を動員し、100以上の演劇賞・音楽賞を受賞、さらに約60億ドルの興行収入を上げています。

ちなみに日本では劇団四季によって上演され、劇団を代表する人気作のひとつに。2025年1月現在は大阪にて公演中で、7月6日(日)に千秋楽を迎えます。

実力あるキャストとスタッフが集結して映画化!

2024年11月、世代を超えて愛される傑作ミュージカル『ウィキッド』の映画化が実現し、全米で公開されました。映画『ウィキッド ふたりの魔女』は2部作となっており、第2部は2025年11月にアメリカで封切られる予定です。

©Universal Studios. All Rights Reserved.

<あらすじ>
魔法と幻想の国オズにある<シズ大学>で出会ったふたり― 誰よりも優しく聡明でありながら家族や周囲から疎まれ孤独なエルファバと、誰よりも愛され特別であることを望むみんなの人気者グリンダは、大学の寮で偶然ルームメイトに。見た目も性格も、そして魔法の才能もまるで異なるふたりは反発し合うが、互いの本当の姿を知っていくにつれかけがえのない友情を築いていく。ある日、誰もが憧れる偉大なオズの魔法使いに特別な力を見出されたエルファバは、グリンダとともに彼が司るエメラルドシティへ旅立ち、そこでオズに隠され続けていた“ある秘密”を知る。それは、世界を、そしてふたりの運命を永遠に変えてしまうものだった…。

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映画『ウィキッド ふたりの魔女』で後に“悪い魔女”となるエルファバを演じるのは、舞台やミュージカル、映画での活躍が光るシンシア・エリヴォ。主演ミュージカル『カラーパープル』でトニー賞の最優秀主演女優賞を受賞したほか、エミー賞やグラミー賞の受賞歴も持つ実力派俳優です。

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一方、“善い魔女”となるグリンダは、グラミー賞の常連で国内外問わず大人気のアーティスト、アリアナ・グランデが演じます。

『ウィキッド』といえば「Defying Gravity(ディファイング・グラヴィティ)」をはじめとした劇中歌はどれも名曲ばかり。だからこそ、歌唱力の高い2人がどんなアレンジで歌ってくれるのか、日本での公開が待ち切れません。

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また、2人の物語に大きな影響を与えるウィンキー国の王子フィエロ役として、ジョナサン・ベイリーが出演。舞台を中心にテレビドラマ作品でも注目される新進気鋭の俳優とあって、期待が高まります。

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さらに、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞を受賞したミシェル・ヨーがシズ大学の学長マダム・モリブル役に。『ジュラシック・パーク』シリーズで知られるジェフ・ゴールドブラムがオズの魔法使い役を務めます。

実は今回、かつてミュージカル版でエルファバを演じたイディナ・メンゼルとグリンダを演じたクリスティン・チェノウェスがカメオ出演しているそう。どのシーンに登場するのか、ぜひ探してみましょう。

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キャストはもちろん、スタッフにも実績ある人材が集結。監督のジョン・M・チュウは『クレイジー・リッチ!』や『イン・ザ・ハイツ』といった作品でメガホンを取り、高く評価されています。

製作陣は『ラ・ラ・ランド』『リトル・マーメイド』など数々のミュージカル映画で製作に携わったマーク・プラットと、デイヴィッド・ストーン。2人ともミュージカル版のプロデューサーでした。

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また、脚本を手掛けるのはミュージカル版と同じくウィニー・ホルツマンです。さらに、ミュージカル版の作詞・作曲を担当したスティーヴン・シュワルツが製作の総指揮にあたります。ミュージカル『ウィキッド』を生み出したスタッフがそのまま映画版にも関わっているところに、作品への深いリスペクトが感じられます。

映画界の賞レースでも“ウィキッド旋風”が発生中!

全米での公開から現在まで、すでに多くの映画賞でノミネートや受賞を果たしている映画『ウィキッド ふたりの魔女』。

2024年には、その年に公開された映画の中で最も優れた10作品を表彰するアメリカ映画協会(AFI)のAFI賞に選出されました。近年、同賞に選ばれなかった作品がアカデミー賞作品賞を受賞した例はないことから、本作はアカデミー賞の有力候補といえそうです。

2025年に入ってからは、第82回ゴールデングローブ賞でシネマティック・ボックスオフィス・アチーブメント賞を受賞。この賞は、興行成績で大成功を収め、同時にクリエイティブな内容でもある作品を称えるという目的で2024年に新設されました。

さらに第97回アカデミー賞では、作品賞、主演女優賞、助演女優賞、視覚効果賞、美術賞、衣装デザイン賞、編集賞、音響賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞の10部門にノミネートしています。

ミュージカルから映画へ、観客の心を捉える魔法が受け継がれているからこそ、輝かしい成績につながっているのでしょう。今後の賞レースの結果にも注目です。

なお日本語吹替版のキャストも発表され、ミュージカル俳優としても長いキャリアと実力を誇る高畑充希さんがエルファバ役に。歌手でありミュージカル『レ・ミゼラブル』にも出演している清水美依紗さんが、グリンダ役で吹替に初挑戦します。また、フィエロ役を海宝直人さん、ネッサローズ役を田村芽実さん、ボック役を入野自由さん、ファニー役をkemioさん、シェンシェン役をゆりやんレトリィバァさんが務めます。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』は3月7日(金)より全国ロードショー。映画に関する詳細情報は公式サイトをご確認ください。

もこ

筆者は昨年に劇団四季の公演を見た際の感動が忘れられず、今度2回目の観劇を予定しています。もちろん映画版も見る気満々で、映像作品だからできる演出や楽曲のアレンジなど、楽しみなポイントがもりだくさんです!