国語の教科書にも載っている名作絵本を原作とするミュージカル『A Year with Frog and Toad~がまくんとかえるくん』。ふぉ~ゆ~の越岡裕貴さんや松崎祐介さんをはじめ新しいキャストとスタッフで、8年ぶりの公演に臨みます。

世界中で愛される絵本シリーズがミュージカルに

数多くの児童文学賞を受賞し、20世紀のアメリカを代表する絵本作家として知られるアーノルド・ローベル。とりわけ仲良しのかえるふたりが繰り広げる何気ない日常を描いた絵本『Frog and Toad』シリーズは、最初の本が出版されてから半世紀を経た今なお、世界中で愛されています。

日本では『がまくんとかえるくん』の邦題で出版され、広く親しまれるように。同シリーズの中でも、『ふたりはともだち』に収録された「おてがみ」というお話は小学校の国語の教科書に採用されているので、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。

愛らしい動物たちの暮らしを通して伝わってくるのは、お互いに相手を思いやる気持ちの尊さ。子どもはもちろん、大人にとっても大切にしたいメッセージが込められています。

そんな名作絵本をミュージカル化した作品が『A Year with Frog and Toad~がまくんとかえるくん』です。『ふたりはともだち』『ふたりはきょうも』『ふたりはいっしょ』『ふたりはいつも』の絵本4作からエピソードを盛り込み、2003年にブロードウェイで上演。その際にトニー賞の3部門にノミネートされ、高い評価を得ました。

日本でも2006年の初演で人気を博して以来、2007年、2009年、2015年、2017年と何度も再演されています。そして2025年、スタッフとキャストを一新して8年ぶりに上演されることとなりました。

<あらすじ>
がまくんとかえるくん、ふたりはとても仲良し。物語は春の訪れとともにはじまります。
「手紙を一度ももらったことがないから郵便が来る時間は寂しい」と言うがまくん。
それを聞いたかえるくんは、がまくんへ手紙を書きます。
でもその配達をカタツムリに頼んだので…。さあ、ふたりの一年がはじまります!

新たなカンパニーで贈るハートフルストーリー

物語の主人公であるふたりのかえる役は、男性4人組アイドルグループ・ふぉ~ゆ~のメンバーからキャスティング。かえるくんを越岡裕貴さん、がまくんを松崎祐介さんがそれぞれ演じます。2人とも舞台を中心に映像作品やバラエティ番組などマルチに出演されており、2023年のミュージカル『ダブル・トラブル』では兄弟役で2人芝居に挑戦。コンビで築いてきた信頼関係を武器に、息の合ったやり取りでがまくんとかえるくんの心温まる友情を魅せてくれるでしょう。

そして、共演のキャスト陣が物語に登場するさまざまな動物たちを演じ分けます。

とりくん/とかげくん他を務めるのは、柔らかく安定感のある歌声でミュージカルを中心に活動する原田優一さん。豊富な舞台経験の中でも両生類・爬虫類の役は初めてとのことで、役者としての幅がさらに広がりそうです。

とりくん/かたつむりくん他は、抜群の歌唱力とダンスに加え、繊細な演技でも評価される上川一哉さん。2024年のミュージカル『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』や2025年のミュージカル『ケイン&アベル』など、話題作への出演が続いています。

また、ミュージカル俳優であり歌手でもあるMARIA-E(マリア-イー)さんが、とりさん/ねずみさん他として出演。2024年に公開された映画『ライオン・キング:ムファサ』の実写吹替版ではヒロイン役に選ばれ、劇中歌の力強い歌声で観客を魅了しました。

さらに、元宝塚歌劇団雪組トップスターの俳優、壮 一帆さんがとりさん/かめさん他に。退団後もミュージカルからストレートプレイ、朗読劇などジャンルを問わず舞台に挑戦する一方で、コンサートやライブ活動も積極的に行う実力派がばっちりと脇を固めます。

今回演出を担当するのは、精密な戯曲の読解と空間演出に定評がある元吉庸泰さんです。近年話題の2.5次元索引からストレートプレイ、ブロードウェイミュージカルに至るまで、手掛けたジャンルは実に多彩。動物といっても人間味に溢れ、誰もが親近感を覚えるだろうキャラクターたちを舞台上でどのように表現するのか、その手腕に注目です。

ブロードウェイミュージカル『A Year with Frog and Toad~がまくんとかえるくん』は2025年5月31日(土)・6月1日(日)に愛知・春日井市民会館にて上演。その後、6月6日(金)から8日(日)まで大阪府のサンケイホールブリーゼ、6月12日(木)から22日(日)まで東京・サンシャイン劇場に巡演予定です。チケットの一般発売は3月23日(日)よりスタート。詳細は公式HPをご確認ください。

もこ

筆者も、小学生の頃に教科書で『がまくんとかえるくん』の「おてがみ」を読んだ一人。昔を懐かしみながら、また大切な人を思い浮かべながら観たくなるミュージカルです。