中世フランスで“最悪の王妃”と呼ばれたイザボー・ド・バヴィエールの生き様を描いたミュージカル『イザボー』が、2027年1月に東京、2月に大阪で再演されます。主演の望海風斗さんをはじめ、初演から続投するキャストに新しいメンバーが加入し、より深みを増したイザボーの物語を紡ぎます。
歴史に名を残す“最悪の王妃”を描いた日本発オリジナルミュージカル
ミュージカル『イザボー』は、「日本発のオリジナルミュージカルを世界へ」をテーマに、ワタナベエンターテインメントと脚本家・演出家の末満健一さんがタッグを組む「MOJOプロジェクト(Musicals of Japan Origin project)」の第1弾となった作品です。
14世紀から15世紀にかけてイギリスとフランスが対立した百年戦争の時代、フランスを敵国に売り渡した王妃として後世に語り継がれることになったイザボー・ド・バヴィエールに着目。
“最悪の王妃”という悪名の背後に、時代に翻弄されながらも生き延びるための選択を重ね、幸せになろうともがき続けた1人の人間がいたことをドラマチックに描き出しています。
同じ時代を生きたジャンヌ・ダルクと比べると日本での知名度は低い人物でありながら、2024年の初演では、末満さん独自の視点で解釈した壮絶なストーリーが大きな反響を呼びました。
末満健一が物語を再構築。「Revisité」を掲げて新たな『イザボー』へ
作・演出は、本作の生みの親である末満健一さんです。これまでミュージカルや2.5次元舞台、アニメなど幅広いジャンルで脚本・演出、構成を担当。特に自身のライフワークとして2009年より展開しているオリジナル舞台『TRUMP』シリーズは、ダークな世界観で人気を博しています。
また本作を含め、世界に通用する日本発ミュージカルの創作にも意欲的に取り組んでおり、2026年3月にはMOJOプロジェクト第2弾のミュージカル『どろんぱ』を上演。日本独特の文化である妖怪を題材に、人間と妖怪が織りなす愛と絆を描いて話題を集めました。
今回は「Revisité(ルヴィジテ)」というコンセプトのもと、イザボーの物語を再構築。初演で描かれた王妃の生き様を、さらに深化した表現で届けます。
さらに音楽を手がける和田俊輔さん、音楽監督・編曲の桑原まこさん、美術の松井るみさんら各分野で才能を発揮するクリエイターたちが、初演に続き集結。スタッフ一丸となって、“再構築”の挑戦を支えます。
<あらすじ>
百年戦争の時代。バイエルン大公の娘として生まれた少女は、やがて隣国フランスの王妃イザボー・ド・バヴィエール(望海風斗)となる。夫であるシャルル6世(上原理生)はイザボーをこよなく愛したが、ある出来事を境に狂気に陥ってしまう。破綻した王政につけ入り、権力を掌握しようとするのはシャルル6世の叔父ブルゴーニュ公フィリップ(石井一孝)とその息子ジャン(水田航生)。彼らと対立するシャルル6世の弟オルレアン公ルイ(上川一哉)は、イザボーと利害の一致で結託した関係となり、彼女が権力を獲得するために助力していく。混沌の時代の中で、イザボーは愛と衝動のままに生き抜こうとする。のちにフランス・ヴァロア朝の第5代国王となるシャルル7世(東島京)は、義母ヨランド・ダラゴン(那須 凜)と共に、実の母であるイザボーの生き様を辿っていくこととなる。フランスの歴史上でもっとも嫌われた最悪の王妃の生きた道を──。
望海風斗ら初演キャストが再集結!東島京・水田航生が新たに参加

タイトルロールを務めるのは、初演で強烈なイザボー像を打ち出した望海風斗さんです。22026年には第33回読売演劇大賞の大賞と最優秀女優賞を受賞したほか、令和7年度(第76回)芸術選奨の演劇部門で文部科学大臣新人賞に輝きました。初演から3年の間に、俳優としてさらなる成長を遂げた望海さんが、陰謀渦巻くフランス王朝で自らの欲望を貫き、荊の道を歩む王妃イザボー・ド・バヴィエールの過酷な運命を再び全身全霊で生き抜きます。
イザボーの夫・シャルル6世役は、俳優であり声楽家としての顔も持つ上原理生さんです。大学の声楽科を卒業後、オペラを経てミュージカル作品でもデビュー。基礎から培われた歌唱力の高さは揺るぎなく、豊かな感性で役の心情を表現します。イザボーへの愛と自身を呑み込む狂気の狭間で苦悩するシャルル6世の姿に、観客は心揺さぶられずにはいられないでしょう。
シャルル6世の弟・ルイ役は、劇団四季出身であり、現在ミュージカルや舞台で活躍している上川一哉さん。伸びやかな歌声とキレのあるダンスを強みとし、物語に自然と溶け込みながら役の個性をしっかりと引き出す表現力も兼ね備えています。本作でも、一見軽薄でつかみどころのないルイの秘められた感情を巧みに滲ませ、人間的な魅力を体現しています。
少女時代のイザボーであるイザベルを演じるのは、子役時代から研鑽を重ね、近年ミュージカルを中心に躍進する大森未来衣さん。透き通るような歌声と柔軟な演技力に定評があり、末満さんのTRUMPシリーズにも出演しました。イザボーにとって純真さの象徴であるイザベルは物語を動かす重要な存在であり、登場シーンではぐっと目が引きつけられます。
イザボーとシャルル6世の息子・シャルル7世の義母であるヨランド・ダラゴン役は、劇団青年座に所属する俳優の那須凜さんです。劇団のみならず外部作品にも参加し、2024年には紀伊國屋演劇賞の個人賞を受賞するなど、実力を高く評価されています。本作ではシャルル7世とともにイザボーの人生を振り返る、いわば水先案内人として登場。時にコミカルな一面を覗かせながら、イザボーとは違う生き方を選んだ女性をしなやかに演じます。
さらにシャルル6世の叔父・フィリップ役は、数多くの舞台やミュージカルに出演するベテラン俳優の石井一孝さん。二枚目から悪役、クセの強いキャラクターまで変幻自在に演じ分け、第一線で活躍し続けています。身内さえ利用する冷酷でしたたかなフィリップと、従順さを捨てて立ち上がるイザボーの対立も見どころのひとつです。
そして、新しく加わる2名のキャストも見逃せません。
シャルル7世役は、若手ミュージカル俳優として注目を浴びている東島京さん。2021年に初舞台を踏んで以来、2023年にはミュージカル『春のめざめ』で初主演を果たすなど目覚ましい成長を見せています。また、直近では末満さん作・演出のミュージカル『どろんぱ』に出演し、本作でも末満さんから期待を寄せられています。実の母であるイザボーを知るために過去を辿っていくシャルル7世は、観客に一番近い視点の持ち主ともいえるだけに、東島さんがどう演じるのか楽しみなところです。
石井さん演じるフィリップの息子・ジャン役には、近年さまざまな舞台やミュージカルで着実にキャリアを重ねている水田航生さん。持ち味である華やかな雰囲気と緻密な演技力を活かし、ジャンとイザボーの複雑な関係性を情感豊かに表してくれるでしょう。
ミュージカル『イザボー』は、2027年1月18日(月)から2月1日(月)まで東京・東京建物Brillia HALL、2月12日(金)から14日(日)まで大阪・オリックス劇場にて上演されます。東京・大阪ともに全公演でカーテンコールの撮影が可能となっており、一部公演では出演者によるスペシャルカーテンコールも予定されています。公式HPはこちら。
筆者は初演を観に行き、当時イザボーという王妃の存在を全く知らなかったにもかかわらず、1人の生き様をこんなにも強烈に描けるのかと衝撃を受けたことを覚えています。再構築と銘打たれた今回の再演にも期待せずにはいられません。




















