女性のみが所属できる宝塚歌劇団は、劇団構成と公演のシステムも特徴的です。団員がそれぞれ組と科に分かれることにより、演目や表現の幅がグッと広がり、さらなる魅力へと結びついています。今回は、宝塚歌劇団の組制度に注目してみましょう。
組制度によって生まれる個性
1914年の劇団誕生以降、宝塚歌劇団の観客数は増加し、1921年には2組制での公演を行うまでになりました。この時に創設されたのが、花組と月組です。その後、雪組と星組が新たに設立。最も若いのが宙組で、現在の体制に至っています。また、演劇のスペシャリストとして各組の公演を支える専科は、重要な存在といえるでしょう。
組ごとに男役・娘役のトップコンビが存在しており、メンバーと団結して舞台を作り上げていきます。トップスターと組子の個性やこだわりによって、作品の雰囲気も変化。今、“この組”の“この出演者”でしか観られない世界へと導かれてみませんか?
5つの組が魅せる表情
ここで、5つの組の特色について触れてみましょう。
花:1番古く歴史ある組として、宝塚歌劇団の代表的存在です。名前の通り、その舞台は華やかさを誇り、“男役の宝庫”とも称されています。
月:花組と同時に誕生し、『ベルサイユのばら』など大作の初演を務めました。若くしてトップとなる方が多い傾向にあり、革新的な組といえます。
雪:宝塚大劇場と共に設立され、演技派として知られる組です。時代劇など日本物を得意とする一方で、漫画作品にも果敢に挑戦し、高く評価されています。
星:東京宝塚劇場の開設に合わせて結成。組替えなしで育った生え抜きのトップが多く、輝く星のようにカリスマ的な人気を得ています。
宙:最も新しいからこそ、自由さが光る組。迫力のあるコーラスと美しいアンサンブルを強みとし、『ファントム』の初演も果たしています。
メンバーの気質や得意ジャンルの違いが、各組の魅力を引き立たせています。気になる組があれば、まず直近の演目からチェックしてみてもいいかもしれませんね。
多彩さが織り成すハーモニー
宝塚歌劇団という大きなくくりの中にある、5つの組と専科。それぞれ自分達の組を大切に思い、最高の舞台を目指し続けています。一人ひとりの真摯な姿勢が組を盛り立て、「私はこの組が好き!」とファンの心を惹きつけているのでしょう。もちろんひとつの組を推しても良し、各組の個性を楽しんでも良し。宝塚歌劇団は、観劇への自由の扉をいつでも開いてくれていますよ。
トップスターに惚れ込んだことから、筆者の推しは花組…なのですが、他の組も気になるというのが本音。これだから宝塚は奥深い、と思わずにはいられません。