アメリカン・ドリームなんて、映画の中だけの話だと思っていませんか?夢見ること、そして諦めないことの大切さを語ったこの作品は、なんと実話が元になっています!一度聴き始めたらもう身体が揺れ動くのを止められない、豪華キャストが熱唱する数々の名曲に満ちた『ドリーム・ガールズ』。夢を叶えるという力強い信念を持った彼女たちの歌声がもう私たちの心を掴んで離しません!

01 アメリカン・ドリームを叶えた黒人三人組

舞台は1960年代アメリカ、自動車の街デトロイト。音楽での成功を夢見るエフィー、ローレル、ディーナの三人は、オーディションを受け続けていた。そんな彼女たちを見出したのは、野心的なマネージャーのカーティス。地元の人気シンガー、アーリーのバックコーラスとして初舞台を踏んだ彼女たちは、そのパワフルなステージで全米の注目を集め、ソウル歌手「ザ・ドリームズ」として一気にスター街道を歩み始める。

しかし白人へのウケを狙うため、歌の上手いエフィーよりも、ルックスの良いディーナをリードボーカルにすることに。そして、ブラックミュージックの魂とも言える「ソウル」ではなく、白人に受ける「ポップ」転向してしまう。音楽も恋も夢も全てディーナに奪われ、自暴自棄になったエフィーは「ザ・ドリームズ」を解雇されるが……。

夢を追う彼女たちの、豪華絢爛なショービジネスと、その裏にある確執や葛藤、挫折。その二つが重なり合い、私たちの胸をどこまでも熱くさせます。ブロードウェイ・ミュージカルとして1981年に初演を迎え、世界中で大ヒット。2006年に映画化され、日本でも何度も公演が行われています。

黒人とは何か、白人とは何か

「ザ・ドリームズ」のモデルは、テキサスに創設された初めての黒人レコード会社、モータウン・レコードからデビューを飾った「ザ・スプリームス」。黒人差別の時代にブラックミュージックをメジャーにした伝説的な立役者である彼らは、当時の人たちにとって夢であり、希望であったことでしょう。

注目すべきは、この作品の舞台が、1962年というキング牧師が主導する公民権運動真っ只中だということ。どれほど黒人差別に声をあげようと、黒人にとって白人という壁は絶対で、アメリカで成功するためには白人市場を意識しなければならなかったということは、もしかすると苦渋の選択だったのかもしれません。

黒人音楽の魂を持った彼女たちが、この時代に成功していくという物語は、ただのアメリカン・ドリームという以上の意味を持つのです。

Asa

さらに、物語のキーとなるエフィー役を映画で演じたジェニファー・ハドソンは、なんと本作品がデビュー作。それにも関わらずなんと彼女はアカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞!まさにこの作品で、アメリカン・ドリームを叶えたのです!