2020年、パルコ・プロデュース『阿呆浪士』でタッグを組んだ脚本・鈴木聡さんと演出・ラサール石井さん。一夜にして銀幕スターに駆け上がった若者・紅三十郎を主人公にした、94年初演の物語『三十郎大活劇』にて再タッグが決定しました。2022年4月に、東京・新国立劇場 中劇場、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで、青柳翔さん主演にて上演が行われます。
戦前、激動の日本映画史に生きる若者たち
『三十郎大活劇』の舞台は、第二次世界大戦に突入しようとする最中、たった十数年ほどの日本映画黄金期を迎えた時期。サイレント映画からトーキー(有声)へと移り変わる一方、戦争の影響で戦意高揚を目的とした国策映画が製作された時代。日本を代表する黒澤明監督がデビューしたのもこの頃です。激動の時代の中で生きる若者たちを鈴木聡さんが人情たっぷりに描いた『三十郎大活劇』が、令和の時代に蘇ります。
大部屋の役者・紅三十郎(くれない さんじゅうろう)は、「ざんぎり龍馬 海を渡る」の撮影初日に遅刻をしてしまう。
主役は、スター・阪東春之介(ばんどうはるのすけ)。春之介や、とりまきからいびられる三十郎だが、幼馴染の助監督の岡村淳平(おかむらじゅんぺい)や大部屋役者の田所岩蔵(たどころがんぞう)の助けもあり、セリフを喋ったことで、「高円寺龍之介」という春之介の敵役に抜擢される。三十郎を貶めようとある作戦を練ったことで、映画界を去ることになる春之介。対照的に三十郎はスターへの階段を駆け上っていくが……。
芸者おやつとの淡い恋、淳平や岩蔵との友情、人生を映画に掛けた若者たちは、やがて太平洋戦争という大きな波に呑み込まれていく……。
『三十郎大活劇』あらすじ
『今際の国のアリス』でも話題の青柳翔×卒業後初作品!横山由依
主人公・紅三十郎を演じるのは、劇団EXILEのメンバーでありサイモン・ゴドウィン演出『ハムレット』、こまつ座『人間合格』などに出演してきた青柳翔さん。Netflix『今際の国のアリス』では大幅な増量を行い挑んだアグニ役でも話題になりました。青柳さんは本作に関して、「30年近く前に誕生した戦前の活劇スターを、現代人の自分が演じることにも不思議な縁を感じつつ、このチャレンジをさせていただけることを光栄に思います」とコメント。既にラサール石井さんから時代背景の参考となる作品や、考えるヒントになる知識を聞き、稽古に向けて準備中だそう。
一方、ヒロインとなるおやつを演じるのは熱海五郎一座でラサール石井さんとの共演経験もある横山由依さん。AKB48の2代目グループ総監督を務め、2021年12月にグループを卒業。今作はグループ卒業後初の作品となります。横山さんは「第二次世界大戦が始まろうとする時代の日本映画界で生きる人々の愛や情熱を感じ、私も胸が熱くなりました。私が演じるおやつは、時代に翻弄される主人公たちを見守り、支える存在です。その時代に生きる人々の苦労や熱を伝えられるよう丁寧に演じたいと思います」と意気込みを語られました。
その他にも俳優・声優として多岐にわたる活躍をみせる入野自由さん、今作が櫻坂46卒業後初の舞台出演となる松平璃子さん、数多くの映像・舞台作品で独特の存在感を醸す近藤公園さん、硬軟自在に演じ分ける俳優・小倉久寛さんらが出演。チケットの一般販売は2月26日(土)を予定されています。詳細は公式HPをご確認ください。
戦前の映画史と聞くと少し難解にも聞こえますが、映画と“LOVE&PEACE”をストレートに描いた青春物語なのだとか。戦前の映画の世界をどう舞台で表現するのか、期待が高まります。