2023年3月10日(金)から松竹ブロードウェイシネマで全国順次限定公開となる『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson’s Bar & Grill』。ブロードウェイの舞台を中心に傑作を、手頃な価格で、映画館でお届けするのが、松竹ブロードウェイシネマです。
『ビリー・ホリデイ物語』は女性ジャズシンガー「レディ・デイ」こと、ビリー・ホリデイの生涯が描かれた作品。主演を、ブロードウェイ界の大スター、オードラ・マクドナルドが務めたことでも注目の作品になっています。
どんなに悲壮な生活でも、歌が生きる希望を与えてくれた
『ビリー・ホリデイ物語』は、1959年のフィラデルフィアにある寂れたジャズクラブでの、ビリー・ホリデイによる最後のパフォーマンスが描かれています。人種差別や麻薬・アルコール依存症と闘いながら生きた、ビリー・ホリデイの壮絶な人生。10曲を超える楽曲に、辛辣ながらもユーモラスな回想を交えて、歌姫の姿を魅力的に描き出します。
少女期に受けた暴行、感化院(※)・監獄への収容、麻薬…ニューヨークでの貧しい暮らしを生き抜くため、若き日のビリー・ホリデイは悲惨な生活を送っていました。そのような生活の中でも、歌だけは彼女に生きる希望を与えてくれました。
※感化院:非行少年や、保護者のいない少年などを保護して、教育するための福祉施設。必要な指導を行い、自立を支援する目的があります。
いつか豪華で大きなナイト・クラブで歌う日を夢見て、夜な夜な小さなクラブで歌い続けるビリー。
そんな彼女を、ハーレム・クラブで見出したのがジョン・ハモンドでした。彼が設立した「コモドア・レーベル」からリリースした「奇妙な果実」によってビリーは一気にスターへの階段を駆け上がります。
1940年代には、「ラヴァーマン」「ドント・エクスプレイン」「グッドモーニン・ハートエイク」などのヒット曲を生み出し、1946年には映画『ニューオリンズ』にも出演。1950年代は、ノーマン・グランツのプロデュースにより不朽の名作を数多く発表しました。1940年代・50年代というと、ニューヨークが舞台の『ガイズ&ドールズ』、『マイ・フェア・レディ』、『ウエスト・サイド・ストーリー』などが生まれました。
人種差別に苦しみながらも、ビリーの歌声は多くの聴衆を魅了し、いつしかジャズ界を代表する歌姫となっていったのでした。
しかし、彼女の身体は知らぬ間に長年のアルコール依存により病に侵されており、華やかなステージの夢を見ながら彼女は44歳で波乱に満ちた生涯を終えました。
ビリー・ホリデイ本人そっくりの「声」に注目!
本作で主演を務めるのは、アメリカのニューヨーク・ブロードウェイを中心に、演劇・ミュージカル界では長い間第一線で活躍しており、今のブロードウェイを象徴しているようなオードラ・マクドナルド。彼女の代表作には、ブロードウェイのヒットメーカーであるリチャード・ロジャーズとオスカー・ハマースタイン二世の代表作『回転木馬』や、トニー賞受賞作品の『A Raisin in the Sun』、作曲家ジョージ・ガーシュウィンのジャズ音楽が特徴的なオペラ作品『ポーギーとベス』があります。
オードラは本作の演技が評価され、トニー賞の演劇主演女優賞を受賞。彼女にとっての6度目のトニー賞受賞、そして、これまで誰も成し遂げていない演技部門全4部門を制覇しました。また、2015年には当時の大統領バラク・オバマ氏よりアメリカの芸術界において最高の栄誉とされる国民芸術勲章を受勲しています。
本作でのオードラ・マクドナルドの驚くべき点は、ビリー・ホリデイにそっくりな「声」。オードラ・マクドナルド自身の持つ歌唱力と、ビリー・ホリデイが憑依したような演技力の虜になることでしょう。
松竹ブロードウェイシネマ『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson’s Bar & Grill』は、2023年3月10日(金)より全国順次限定公開です。詳しくは公式HPへ。
ビリー・ホリデイのコンサートとしても鑑賞できる本作。音楽好きの方でも、“ミュージカル作品だから”と気負わずに観ることができるのではないでしょうか。