演劇ユニットCEDARが、12月17日(土)〜12月25日(日)新宿シアターモリエールにて、ハロルド・ピンターの初期作品『THE BIRTHDAY PARTY』を上演します。ミステリアスなストーリーと、大鶴義丹さんや藤田朋子さんといった演技巧者たちによる白熱した演技バトルをお楽しみください。
人間ならではの本質を丁寧に描き出す、演劇ユニットCEDAR
CEDARは2017年に結成された演出家・松森望宏さん、俳優・桧山征翔さん、演出助手・石川大輔さんによる演劇ユニット。世界中に数多くあり、なかなか上演されない優れた名戯曲にスポットをあてるのが特徴。戯曲が持っている人間ならではの本質や哲学を丁寧に描き出し、どの国で上演しても深く観客の心に届く作品作りをコンセプトにしています。
CEDARは2022年に上演した舞台『わが友ヒットラー』が第30回読売演劇大賞作品賞上半期ベスト5に選出されました。また、演出の松森望宏さんは2012年英国シェフィールドの国際演劇祭において、三好十郎の『胎内』で最優秀演出家賞を受賞。今注目の実力派ユニットとなっています。
今作『THE BIRTHDAY PARTY』には、ハロルド・ピンターに挑むにふさわしいキャストが集結!
劇作家・演出家の唐十郎を父に持ち、自身も俳優だけでなく映画監督、小説家と多彩な顔を持つ大鶴義丹さん。
1987年にミュージカル『レ・ミゼラブル』で舞台デビューし、現在は数多くのドラマ、映画、舞台などに出演。歌手活動やバラエティー番組への出演など幅広く活躍中の藤田朋子さん。
そして、コメディーからシリアス、ストレートプレイからミュージカルまであらゆるジャンルで活躍する大森博史さんと、熟達したキャストが勢揃い。少し不思議なハロルド・ピンターの世界で起こる、確かな演技力のキャストたちのバトルをじっくりとご覧ください!
大きな圧力に振り回されながらも必死に生きる人間模様を描く『THE BIRTHDAY PARTY』
ハロルド・ピンターは第二次世界大戦を通して、徹底的に「既存の体制」や「権力」と戦い続けました。人間としてどう生きるべきなのかを究極まで突き付け、じっくりと「どう生きるべきか」を考え抜き、少しでも良い世界を夢見て戦った劇作家です。
『THE BIRTHDAY PARTY』は、ハロルド・ピンターが1957年に発表した戯曲。ピンター作品としては初期の作品の一つです。
ピンターの初期の作品は、特徴として、どこかの部屋にいる人物と、その人物を訪れて脅威を与える人物、矛盾、ためらい、曖昧さ、食い違い、記憶違い、繰り返し、嘘を含むセリフ、そして沈黙があります。
イッセー尾形さん・入野自由さん・木村達成さんが出演していた『管理人』は1959年の戯曲で、本作と近い頃にピンターによって書かれた作品です。
『THE BIRTHDAY PARTY』は、不確実な人間性をあらわし、不条理でミステリアスで、何が答えなのかわからないところが魅力的。
この物語のテーマは「服従」。本当に自分が権力をもって行動しているのか、実はもっと大きな権力にしはいされているのではないか。大きな圧力に振り回されながらも、必死に生きようとする人間模様を描いています。
スタンリーは、イギリスの海辺の町で、メグとピーティの家に下宿中。そんな彼の元へ、突然ゴールドバーグとマキャンという謎めいた2人が訪ねてきます。どうやら3人は面識があるようですが、スタンリーは2人を避けるような行動を取ります。
ある日、誕生日ではない日に、メグの勘違いで急遽スタンリーの誕生会を開き、みんなでお祝いすることに。パーティが進むうちに、スタンリーはどんどん追い詰められ、ついに精神的に壊れてしまいます。なぜ二人はやってきたのか、そして彼らは一体だれなのでしょうか…。
世の中の不思議さを面白がる「不条理演劇」
不条理演劇と聞くと、言葉の難しさに「なんだか難しそう」「自分にはわからないかも」と思いがち。しかし、実際には、ひとりひとり人間の心の中を探る演劇です。
日々生きていると、突然突飛な事件が起こったり、理由もなく知人が亡くなってしまったり、世の中には頭では理解できないことが突然起こります。
不条理演劇は、世の中で起きることを素直な目線でとらえ、そしてそれをどう考えるかということをじっくり見つめていくもの。物語の筋よりも、作家個人のイメージや意識を扱った作品ととらえることができます。世の中の不思議さを面白がり、人間の持つ心の中をじっくりと探ることができるジャンルの演劇です。
舞台『THE BIRTHDAY PARTY』は、12月17日(土)〜12月25日(日)新宿シアターモリエールにて上演です。公式HPはこちら。
ミステリアスな内容で、解決しない後味の悪さと恐怖感。不条理演劇の作品を見ると、日常の些細なことにも目を向けて考えるきっかけになります。是非、劇場に足を運んでみてください!