観客のリクエストに合わせてその場でつくる、完全即興のミュージカル『Showstopper!』を観劇しました。歌とダンス、照明やバンドの生演奏、全てが即興!緊迫感たっぷりの本作では、毎日が初日です。 (2018年・Lyric Theatre, London)
名作舞台のエッセンスに楽しさ倍増!
本作の正式タイトルは『Showstopper! The Improvised Musical』。2008年からイギリス各地で旅公演を続け、即興スキルを磨いてきました。
そもそも、Showstopperという言葉は、拍手が鳴り止まずショーが止まってしまうほど盛り上がるミュージカルソングのこと。そんなタイトル通り、出演者は随所に名作のパロディを仕込んできます。往年の名作を連想させる音楽、歌詞に振付…ミュージカルファンにとって堪らない瞬間の連続です。
物語は無事終わるのか?スリリングな展開から目が離せない!
はじめに、新作ミュージカルの脚本〆切を控えた脚本家が登場。アイデアが浮かばないからと、観客から好きなミュージカル、物語の設定、タイトルを募集します。筆者の観劇回では、いくつかの候補からオリンポスの神々の恋物語がテーマに選ばれました。タイトルは『Oh My Gods!』。『シカゴ』『マンマ・ミーア』等のエッセンスを取り入れて、一夜限りの舞台の幕開けです。
個性的な6名の俳優による即興芝居は、舞台上で打ち合わせる姿さえ愛らしく、茶目っ気たっぷり。小道具で役柄を演じ分け、テンポ良く物語を転がします。パロディソングでは、即興の歌詞やアレンジで美しいハーモニーのデュエットや合唱を披露してくれました。 舞台上の生演奏バンドは絶妙なタイミングでイントロを奏で、俳優たちを誘導。舞台上の攻防戦を見守りながら、即興芝居は無事大団円を迎えました。
見どころは何と言っても出演者の応用力!機転を利かせて修羅場をくぐり抜ける姿に、こちらまでドキドキします。舞台好きとしては、観客のあたたかい反応にもほっこり。ミュージカル好きが多いんだなぁと思わせる空気を味わった、至福の時間でした。
ミュージカル文化が根付いた土地ならではのエンタメをお探しなら、本作はイチオシです。
コロナ禍でもライブストリーミングでその活動を継続。劇場収録版とリモート上演版は全世界からレンタル可能です。気になる方はぜひ、彼らのホームページをチェックしてみてくださいね。