山内ケンジ氏の劇団・城山羊の会の新作公演。前半では性愛というテーマから紹介しましたが、後半は会話劇としての同公演の魅力をお伝えします。(2020年12月・小劇場B1)

唯一無二の「霞が関・汐留系リアル」

演劇にはいわゆるリアル系と呼ばれるジャンルがあり、あたかもその場で起こっているかのようなリアリティのある会話が魅力です。その中でも城山羊の会の特徴は、登場人物たちがほぼホワイトカラーで、所得が高そうという点。特に霞が関の官僚や広告代理店の人物をリアルに、それでいて風刺をきかせて描く手腕は唯一無二です。

そこから描かれる、礼節を保ちつつも、性の欲望に突き動かされて無礼を働くという緩急が笑いにつながり、そのギャップがエロティックさを引き立たせています。

観客を魅了しつづける演技巧者の共演

また、この難易度の高い舞台を実現した役者陣の演技も見事です。夫にせがまれて友人たちの前でパーソナルトレーニングを実演する石橋けいさんの艶めかしい演技。それをじっと見つめて「ううーん」と一言唸るだけで爆笑をさらう岩谷健司さん。その妻兼ストーリーテラーとして、平凡な主婦の語り口でさらっと際どいことを言う島田桃依さん。手練れの常連俳優の方々が、丁寧かつ強い存在感で観客を魅了しつづけました。

Shinpei

本公演は2021年1月23日(土)までオンライン配信を行っています。ただの上演映像ではなく、編集までされた特別版とのこと。演劇だからできる、リアルで背徳感たっぷりの大人の艶笑譚、気になる方はぜひご覧ください。公式サイトはこちら