2023年12月9日に開幕し、現在地方公演中のミュージカル『ベートーヴェン』。12月24日の東京公演に続き、大千穐楽となる1月21日の兵庫公演がライブ配信されます。世界中の人々の心を揺さぶる音楽を生み出したベートーヴェンですが、数々の衝撃的なエピソードが残されているのをご存じでしょうか。今回はベートーヴェンの人物像と、彼に影響を与えた時代背景について深く迫ります。

潔癖症でありながら家はゴミ屋敷!?生活をピアノの周辺で済ませていた

ベートーヴェンは神経質でかんしゃく持ちという、とても気難しい性格でした。潔癖症で入浴好きなわりに、部屋はまるでゴミ屋敷のようだったと言われています。その理由は、創作活動に没頭すると生活の全てをピアノの周辺で済ませていたから。衣類や前日の食事が残ったままのお皿が椅子の上に放置され、排泄はピアノの下に置かれた簡易トイレで済ませて溜め込んだままでした。創作に行き詰まると頭の上から水をかぶるという奇行に走るため、下の階に水漏れしてしまうというトラブルも。

また家政婦を雇ってもすぐに辞めてしまい、誰も長続きしませんでした。これもベートーヴェンがかんしゃく持ちであること、家政婦に対して買い物のお釣りをごまかしているのではないかと疑ってしまうことが原因だと言われています。部屋が汚れるたびに引っ越しをするので、人生で60回以上も引っ越しをしたというエピソードも残されているのです。

ベートーヴェンは浮浪者と間違えられ誤認逮捕されていた!?

変わり者であったベートーヴェンは、1820年に浮浪者と間違えられ誤認逮捕されています。これも服装や髪型に無頓着であったことが原因。難聴が進んでいたため人との交流や接触を避けていたベートーヴェンは、田舎の平原で散歩を趣味にしていました。歩きながら創作のことも考えていたのでしょう。長時間歩いて道に迷い民家の窓を覗きこんでいたところを警察が発見、逮捕されました。

男性は外出時に帽子をかぶるのが常識だった時代。汚れた服装と乱れた髪型のまま家を覗き込んでいたベートーヴェンは、不審な浮浪者にしか見えなかったのではないでしょうか。ベートーヴェンは刑務所に入ってからも、「私は偉大な音楽家のベートーヴェンだ!」と訴えましたが、誰にも信じてもらえませんでした。

しかし対応した保安官を参らせてしまうほど延々と文句を言い続けたところに、ベートーヴェンの精神力の強さを感じます。翌日以降、ウィーン市長が謝罪に訪れ無事に帰宅することができました。

音楽界に革命を起こす!啓蒙思想がベートーヴェンの音楽に与えた影響

変わり者と呼ばれたベートーヴェンの人生の中でも、18世紀から19世紀はフランス革命の勃発で市民が自由を手に入れた時代でもありました。フランス革命のきっかけになったとも言われている啓蒙思想が、ベートーヴェンが生み出す音楽にも影響を与えたことは有名です。

啓蒙思想は近代の思想と近く、自由・平等・人権を尊重する精神を掲げています。これまで音楽は仕えた貴族の好みに合わせ、貴族に聴いてもらうために作られるものでした。しかしベートーヴェンは自分の作りたい音楽を作り、聴きたい人に聴いてもらうというフリーランスの音楽家としてのスタンスを確立。

フランス革命という激動の時代を生きたベートーヴェンの作った音楽は、抑揚があり激しく感情を揺さぶるものが多くなったのです。また難聴が進行したことで音の表現が大きくなっていったという説もあり、結果的に心に響く楽曲の誕生に繋がったのかもしれません。気難しくトラブルを起こすことの多かったベートーヴェンですが、ゆるぎない音楽への情熱は後世の音楽家に大きな影響を与えたことでしょう。

ミュージカル『ベートーヴェン』は、1/21兵庫大千穐楽公演をライブ配信。公演プログラム付き配信チケットは送料800円込みで8,300円、配信チケットのみは5,500円。どちらもauスマートパスプレミアム会員の方はそれぞれ500円値引きで購入が可能です。ミュージカル『ベートーヴェン』アーカイブ付きライブ配信のチケット購入はこちらから。(参考:ベートーヴェンの名曲で綴る愛の物語。ミュージカル『ベートーヴェン』ゲネプロリポート『ベートーヴェン』初日前会見でミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイが語った製作秘話とは?井上芳雄&花總まりは初の恋人役に

かずちぃ

天才と変わり者は紙一重と言われるように、今回紹介したベートーヴェンの言動も見方を変えると天才らしいエピソードにも感じます。音楽にも恋愛にも没頭しやすく、まっすぐ向き合ってきたベートーヴェン。その人生を深く知ることで、今まで聴いていた彼の音楽への印象も変わるかもしれません。