映画でいえば「アカデミー賞」、音楽界だと「レコード大賞」のようにそれぞれの分野で賞ってありますよね。今回ご紹介する「菊田一夫演劇賞」は日本演劇界最高峰の賞と言っても過言ではありません。演劇初心者の方にもぜひチェックして頂きたい賞なんです。

01 そもそも菊田一夫とはどんな人物?

菊田一夫(1908~1973)さんは劇作家・作詞家。幼少期を台湾・大阪・神戸で過ごし、17歳の時に上京。劇団の座付き作家となり28歳頃、後に取締役となる東宝へと移籍しました。戦後は、NHKの朝ドラ『エール』の主人公のモデルになった古関 裕而さんとコンビを組み、ジャンルを問わずヒット作を多数世に発表したことで知られています。

そしてなんと!ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の上演権を獲得して1963年に日本で初めてブロードウェイミュージカルを上演したのも菊田一夫さんなんです!!今の日本のミュージカル界があるのも、菊田一夫さんのおかげなのかもしれませんね。

02 演劇界の功労者に贈られる菊田一夫演劇賞

菊田一夫さんが亡くなった後、演劇界の発展の為1975年に創設されたのが「菊田一夫演劇賞」。大衆演劇の舞台で優れた業績を示した芸術家に贈られ、「演劇大賞」「演劇賞」「特別賞」が発表されています。

毎年4月に受賞式が行われており、これまでに演劇大賞を受賞してきたのは大竹しのぶさんや花總まりさんなど。演劇賞というと俳優に注目しがちですが、菊田一夫演劇賞では劇団や美術、演出などの功績にも賞が贈られます。過去には三谷幸喜さんが作・演出を評価されて受賞に至ったり、2014年度には宝塚歌劇団が100周年の一連の舞台の成果を評価されて受賞に至ったり。演劇界にいかに貢献したのか?が重要であり、そこに役職は関係ないんですね。

2019年度・第45回の演劇大賞に輝いた堂本光一さんは、20年に渡りミュージカル『SHOCK』シリーズを牽引してきた功績が讃えられ受賞となりました。「偉大な方々が受賞されている素晴らしい賞。恐ろしくなるような、背筋がピンと伸びるような思い」とおっしゃっていて、菊田一夫演劇賞へのリスペクトが感じられます。

Ryuji

1年の中で沢山の作品が上演され、それぞれの個性がある中で選ばれる菊田一夫演劇賞。もしあなたが、今「何を観に行こうかな」と悩んでいるのであれば、受賞者や受賞作品をチェックして、作品選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。