チャップリンの映画を原作とする音楽劇『ライムライト』が、2024年8月より東京・大阪・大分で上演されます。初演から3回目となる、今回の公演。その見どころについて、物語やキャストに注目してご紹介します。

チャップリンの名作映画が音楽劇に

映画『ライムライト』は、喜劇王チャールズ・チャップリンが監督から脚本、製作、作曲を担当し、主演も務めた作品です。老芸人と若きバレリーナの愛ある交流を描き、チャップリン晩年の傑作として知られています。

チャップリンがアメリカで活動していた1952年に公開。しかし、その後チャップリンが事実上の国外追放を受けたため、アメリカで撮影した最後の映画となりました。リバイバル公開を経て、1973年には第45回アカデミー賞で作曲賞を受賞しています。

2015年、映画『ライムライト』を原作とした音楽劇が、世界で初めて日本で上演されました。初演から4年後の2019年に再演。そして今回、2024年に3回目の公演に臨みます。

音楽劇では芝居をメインとしながら、歌や踊りも盛り込んでストーリーが展開します。名曲「テリーのテーマ(“エターナリー”)」の美しい旋律にのって伝わってくる、人生の喜びや哀しみ。音楽劇ならではの表現で、原作映画を観た方にもきっと新たな感動をもたらしてくれるでしょう。(関連記事:音楽劇とミュージカルの違いとは?それぞれの魅力を解説!

老芸人と若きバレリーナの愛の行方は

舞台は、1914年のロンドン。主人公のカルヴェロはかつて人気芸人だったものの、年を取り、今や落ちぶれていました。

あるとき、カルヴェロは自殺を図ったバレリーナのテリーを助けます。人生に絶望し、踊れなくなった彼女がまた舞台に戻れるようにと、献身的に支えるカルヴェロ。そんなカルヴェロにテリーも励まされ、心を寄せていきます。

ついにテリーは舞台に復帰し、スターの道を歩み始めることに。そして、昔恋心を抱いたネヴィルと再会する一方で、自分を救ってくれたカルヴェロと結婚したいと願います。しかし、カルヴェロはテリーとネヴィルの間を取り持つために、彼女のもとから去るのでした。テリーはカルヴェロを探しあて、舞台に出演してほしいと懇願します。

カルヴェロは再び芸人として返り咲けるのか、テリーとの関係はどうなるのか。2人の男女を中心とした登場人物の生きざまに、ぐっと胸が打たれます。

実力派キャストの演技に期待高まる

今回、初演と再演に引き続き主役のカルヴェロを演じるのは、石丸幹二さんです。劇団四季の看板俳優として活躍し、今も幅広いジャンルで実力を発揮する石丸さんにとって、『ライムライト』は「チャップリン映画の“マイ・ベストワン”」とのこと。3回目の公演とあって、カルヴェロ役への思い入れもより深まっているのでは。

カルヴェロと心を通わせるヒロイン・テリー役は朝月希和さん。元宝塚歌劇団の雪組トップ娘役で、2022年の退団後はミュージカル『シェルブールの雨傘』や『王様と私』などに出演されています。これまで野々すみ花さんと実咲凜音さんが務めたテリー役を、朝月さんがどう演じられるのか注目です。

そして、テリーに思いを寄せる作曲家・ネヴィル役は太田基裕さんに。2024年5月に開幕した『ロミオ&ジュリエット』ではWキャストのティボルト役を務め、勢いのある若手俳優です。

このほか、植本純米さんや吉野圭吾さん、保坂知寿さん、中川賢さん、舞城のどかさんが出演します。

また、上演台本は日本チャップリン協会の会長である大野裕之さんが担当。新旧交えてのキャスティングに加え、作品づくりに対する熱意も大きな魅力です。

音楽劇『ライムライト』は、2024年8月3日(土)から18日(日)まで東京の日比谷シアタークリエで上演。チケットの一般前売は、6月1日(土)に始まります。その後、8月23日(金)から25日(日)まで大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、8月31日(土)と9月1日(日)に大分 別府国際コンベンションセンター(B-Con Plaza)にて、ツアー公演を実施予定。詳細は公式サイトをご確認ください。

もこ

タイトルの『ライムライト』はかつて劇場で舞台照明として使われた照明器具のことで、「名声」という意味もあるそう。人生には光と影があるからこそ、どうやって生きるのか改めて考えてみたくなりますね。