マシュー・スウィートのアルバムをベースに作られたジュークボックスミュージカル『GIRLFRIEND』が、6月14日(金)からシアタークリエにて開幕します。高橋健介さん・島太星さん・井澤巧麻さん、萩谷慧悟さん・吉高志音さん・木原瑠生さんが登壇した開幕記念会見と、ウィル役:高橋健介さん、マイク役:萩谷慧悟さんによるゲネプロの様子をお届けします。

トリプルキャストで日本初演へ。それぞれのお気に入り楽曲は?

開幕記念会見にはウィル役の高橋健介さん・島太星さん・井澤巧麻さんと、マイク役の萩谷慧悟さん・吉高志音さん・木原瑠生さんの6名が登壇しました。

見どころについて高橋さんは、「はっきり言うと、僕から始まります!」とアピール。「そこから物語が始まるので一番集中して見ていただけたら。そこでうまく入れれば皆さんも楽しい時間になると思うので」と語りました。また好きな楽曲については「Evangeline」を挙げ、「クリエイター陣がいっぱい褒めてくれるので、どんどん気持ち良くなって一番好きです!」とコメント。高橋さんの魅力が詰まった楽曲になりそうです。

萩谷さんは「2人がグッと距離が縮まるシーンがあるんですけれど、2人で星空を見ながら僕も歌わせていただいていて、一連の雰囲気をすごく繊細に作っているので、全チーム違うし、ぜひ見ていただきたい」と語ります。

そして本作で重要なキーポイントとなる「We’re the Same」について、「アルバムを聴いているとリズミカルなソフトな、ドライブで聴きたくなる曲で好きだなぁと思って聴いていたら、ミュージカルでは凄く重要なシーンで違うアレンジがされていたので、凄く気持ちが入るなと聴いていました。劇中とオリジナルのアレンジの違いも比較してもらえたら」と楽しみ方をご提案。

島さんは見どころについて、ネタバレを気にするがあまり「1幕の59ページの…8場なんですけれど…」と言い、これにはキャストの皆さんが「俺らでも分からないよ!」と総ツッコミ。会場を和ませつつ、「ウィルがものすごく楽しそうにマイクと過ごす時間が、演じていて楽しいシーン」だと語りました。好きな楽曲は「GIRLFRIEND」。「ウィルはマイクと出会えてこんなにも音楽を楽しめて、自分も作品が終わった後もドライブをしながらかけたい、気持ちがたかぶる一曲」だと明かしました。

吉高さんは「楽しいシーンもたくさんあるんですけれど、緊張感のあるシーンもあって。学生の2人にしか出せない独特な間や、会話のスピード感、初々しさも楽しんでほしい」と語ります。好きな楽曲は「GIRLFRIEND」を挙げ、「気持ちを晴らしていくニュアンスもあって、音楽の力を借りて気持ちがどんどん高まっていくナンバーなので。聴いていてもリズムをとりたくなるような楽曲なので、楽しんでもらえるのでは」とコメントしました。

井澤さんは「前半2人で話すシーンが多いのですが、目線1つ、細かいところまでこだわって作っているので、細かなところも見ていただけたら」と語り、好きな楽曲は「You Don’t Love Me」をチョイス。「劇中では淡々とした伴奏の中でメロディーがエモーショナルで、その温度差が切なくて。シーンとマッチしていて歌っていて気持ちが入るし、ハーモニーも綺麗なので見どころがたくさんある」と楽曲の魅力を語りました。

木原さんは「同じ場所に何度も行くシーンがあって、その空間の2人を繊細に描いていかなきゃいけないと思うので、そこはぜひ見ていただきたい」と言います。好きな楽曲には「Evangeline」を選び、「結構自由な部分があって、ペアごとに全然違う表現の仕方をしているから。僕は凄く楽しくやらせてもらっています。シンプルにサウンドも楽しいです」と語りました。

演出の小山ゆうなさんについて、萩谷さんは「90年代に同性愛というのはセンシティブで、しかも若い2人で心も未成熟だとしたら、相手の顔を見る瞬間も、相手が見ていない時に見たりすることに深い意味が出てくるから、いっぱい計算してやって欲しいと最初の段階で言われて。そこから目線の1つ1つに意識をするようになったので、きゅっと引き締めていただきました」とエピソードを明かします。

吉高さんは島さんと演じていた際、小山さんから「応援したくなるような2人」という言葉があったそう。「僕は太星が演じるウィルが大好きで、それがより確信になって、もっと自信を持って良いんだと思えた」と語ります。これには島さんも「嬉しい」と笑顔に。

一方高橋さんは稽古休みの日に小山さんと作品について連絡のやり取りをしていたところ、3時間ほど返信が空いた後に「息子をイベントに連れていかなきゃいけなくて返信が遅れて申し訳ないです」という丁寧なご連絡が来たそう。「母をしながら僕らのことも気にかけてくださっていて感謝だなという印象が大きいです」と小山さんのお人柄が伝わるお話をしてくださいました。

「僕と同じさ、瞳に映る君は」

ゲネプロはウィル役を高橋健介さん、マイク役を萩谷慧悟さんが務めたバージョンをお届けします。

1990年代、アメリカ・ネブラスカ州の田舎町で学校に馴染めないウィルと、野球部でスポーツ万能の人気者マイク。マイクは大学進学が決まり、ネブラスカを離れることになっています。

今まで接することがなかった2人でしたが、高校卒業時にマイクがウィルにミックステープを渡したことをきっかけに、音楽を通じて交流が始まります。高橋健介さん演じるウィルは独自の感性を持っており、高校卒業と同時に教科書を捨ててしまう大胆さも。マイクと打ち解けるととてもおしゃべりで、内に秘めた魅力のある青年であることが伝わります。

一方、萩谷慧悟さん演じるマイクが音楽に乗って踊る姿は流石のキレで、ザ・人気者のオーラ満載。ウィルはきっと学校の中心にいたマイクを恋焦がれて見ていたことでしょう。

正反対の2人に見えますが、ウィルは両親が離婚し、マイクは父親から進路を決められ、やりきれない気持ちを抱えていました。上手く言葉を紡げずぎこちない2人が打ち解けたきっかけは、音楽。マイクが大好きな音楽を通して、2人は心のうちを徐々に見せ始め、絆を深めていきます。マシュー・スウィートの数々の音楽が、2人の境遇や心境に寄り添っていく美しい作品です。

ドライブインシアターに出かけるシーンでは、車の狭い空間でぎこちない2人の緊張が客席にまで伝わってくるよう。シアタークリエという舞台と客席の距離が近い空間ならではの世界観が広がります。

舞台セットはシンプルながらも、2人が手で押してセットを回すと疾走感溢れるシーンに。自分の部屋のベッドやソファを自分で持ってくるなど、2人の手によって日常が作られている感覚が、また本作のアナログ的な温かみを作り出します。

またビデオカメラをリアルタイムに回す演出も印象的。ウィルが手持ちでカメラを回すシーンもあり、ウィルから見るマイクがどのように見えているのか、それをとても主観的に感じられる演出ではないでしょうか。

「言葉はいらない」「僕と同じさ、瞳に映る君は」。不器用な2人の温かな青春と、音楽によって人と人が繋がる素晴らしさに包まれる作品です。ミュージカル『GIRLFRIEND』は6月14日(金)から7月3日(水)までシアタークリエにて上演。公式HPはこちら

撮影:山本春花

関連記事:マシュー・スウィートの楽曲で2人の青年の甘酸っぱい青春を描くミュージカル『GIRLFRIEND』稽古場取材リポート

Yurika

カーテンコールでは撮影OKの時間が!U25チケットでは5,000円で観劇することができます。