世界的な演劇の拠点である場所である、イギリス・ウエストエンド。その中心部にあるチャリングクロス劇場は150年以上の歴史を持ち、オフ・ウエストエンドの中で最も注目を浴びている劇場の一つです。そんなチャリングクロス劇場と梅田芸術劇場が、共同で演劇を上演する日英プロジェクトが再び始動します!上演作品を担当するのは、脚本家・演出家・監督としても活躍する、劇団た組主宰、わをん企画代表・加藤拓也さん。今回は、チャリングクロス劇場で開発・上演される加藤さんの新作『One Small Step』を取り上げます。

そう遠くない未来に訪れる、社会に流れ続ける母親神話に対する疑問を投げかける物語

これは近未来のとある夫婦、喬司(たかし)と成美の物語。2人は大手ゼネコンで人類の月への移住計画という大プロジェクトの下で働いています。月に生まれる新しい街で理想の人類の暮らしが始まるというなか、スタッフとして、また、先駆者として月へ移住する準備を始めている2人でしたが、ある問題が発覚してしまいます。それぞれの立場で悩みを抱える夫婦は、徐々に互いの不平不満が募っていき…。

観劇している人々を月と地球という異空間に誘いながら、物語の中、生命の誕生という人智を超えた領域に直面した時に浮き彫りになる男女のテーマや人類が向かうその先を切り口に、物語の中で鋭い台詞劇が描かれます。

<作・演出:加藤拓也さんコメント>
この秋に新作をチャリングクロス劇場で上演できることをとても楽しみにしています。これから地球から月へと住む場所が移り変わっても、人間は進化していないかもしれません。また平等からエクイティへと意識が移り変わっても、まだ現実には解決しそうにないことが沢山あります。これは少し未来の話に見えるかもしれませんが、 確実にそこまで来ている未来の、そして日本で働くカップルが持つプライベートな今の問題であり、それは人類が抱えている問題だとも言える、社会に流れ続ける母親神話に対する疑問を投げかけていく物語です。私たちの文化とまた違う文化との隙間から、新しい作品を産み出せるとワクワクしています。

150年以上の歴史をもつ劇場で加藤拓也さんが英国デビュー

上演されるチャリングクロス劇場は、ロンドン市街のウエストエンド中心部、チャリングクロス駅の地下に位置しており、1864年にオープンしました。名前を変えながら歴史を重ね、2011年に現在の運営体制に。現在は自主企画公演に力を入れています。

今回、作・演出を担当するのは、劇団た組主宰、わをん企画代表であり、岸田國士戯曲賞等、数々の賞を受賞。2023年には日仏合作映画『ほつれる』の監督・脚本を務め、今年の8月には海外上映が決定。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023にも選ばれ、ますます世界的な活躍が期待されている、加藤拓也さん。

翻訳には、英国演劇や、ヨーロッパとアジアの比較現代演劇の研究の他、視聴覚芸術を中心に批評、翻訳活動を行っている、アンドリュー・エグリントンさんとエグリントンみかさんが担当。

喬司(たかし)役は、『となりのトトロ』(RSC)や『言の葉の庭』(Park Theatre)等の注目作品にも出演し活動の幅を拡げている、マーク・タケシ・オオタさん。成美役には、同じく『となりのトトロ』(RSC)や『言の葉の庭』(Park Theatre)の他、『ドリアン・グレイの肖像』(新国立劇場)等で演技に磨きをかけている、スーザン・モモコ・ヒングリーさんが出演します。

上演はイギリス・チャリングクロス劇場にて、プレビューは、2024年9月27日(金)~9月30日(月)。本公演は、10月2日(水)~10月9日(水)にて行われます。公式HPはこちら

おむ

大阪の梅田芸術劇場とイギリスのチャリングクロス劇場という国を超えた一大プロジェクト!上演されるのはイギリスですが…。あの加藤さんの新作、かつロンドン演出デビュー作品、かつ新作ということで期待が膨らみます。チケット情報は執筆時点では発表されていないので、公式ホームページを随時チェックください!