井上ひさしさんの傑作とも言われる戯曲、『天保十二年のシェイクスピア』が演出・藤田俊太郎さん、音楽・宮川彬良さんで再度タッグを組み、約4年ぶりに上演されることが決定しました。前回は、新型コロナウイルスの影響で東京公演のみとなってしまった今作品。今回は、東京をはじめ全国各地での公演も予定されています。

シェイクスピア全37作品×江戸末期の人気講談『天保水滸伝』

シェイクスピアの作品といえば、四大悲劇と呼ばれている『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』、人気の高い恋愛悲劇である『ロミオとジュリエット』から、『夏の夜の夢』『ヴェニスの商人』といった喜劇、はたまた『ジュリアス・シーザー』といった政治劇から『リチャード三世』『ヘンリー八世』といった史劇まで、幅広いジャンルの作品が思い浮かぶのではないでしょうか。

そんなシェイクスピアの全37作品と、下総(現在の千葉県北部と茨城県南部)を舞台に侠客達による騒動を題材に作られた講談『天保水滸伝』を見事にまで織り込んで生まれたのが、井上ひさしさんの傑作戯曲とも名高い『天保十二年のシェイクスピア』です。1974年に初演されて以来、何度も上演されてきました。

<あらすじ>
江戸の末期、天保年間。下総国清滝村の旅籠を取り仕切る鰤の十兵衛は、老境に入った自分の跡継ぎを決めるにあたり、三人の娘に対して父への孝養を一人ずつ問う。腹黒い長女・お文と次女・お里は美辞麗句を並べ立てて父親に取り入ろうとするが、父を真心から愛する三女・お光だけは、おべっかの言葉が出てこない。十兵衛の怒りにふれたお光は家を追い出されてしまう。
月日は流れ、天保十二年。跡を継いだお文とお里が欲のままに骨肉の争いを繰り広げている中、醜い顔と身体、歪んだ心を持つ佐渡の三世次が現れる。謎の老婆のお告げに焚き付けられた三世次は、言葉巧みに人を操り、清滝村を手に入れる野望を抱くようになる。そこにお文の息子・きじるしの王次が父の死を知り、無念を晴らすために村に帰ってくるー。

江戸時代の下総国を舞台にした作品ではあるのですが、あらすじを読んで見ただけでも、シェイクスピアのあの作品の冒頭と似ているなぁ、この部分はあの作品のあの場面だなぁと想像が膨らんでしまいます。江戸時代の侠客たちの物語とシェイクスピアがどのように織り込まれているのか注目です。

絢爛豪華!実力のあるキャスト陣の競演!

2020年版に引き続き、今回も豪華なキャスト陣が出演することが決定しました。

主演・佐渡の三世次を演じるのは、前回きじるしの王次を演じていた浦井健治さん。長年多くの作品に引っ張りだこで、今年は『COME FROM AWAY』『モンパルナスの奇跡〜孤高の画家モディリアーニ〜』『ファンレター』と話題作への出演が続いています。2度目の出演とはいえ、役が変わっての出演になるのでどんなふうに演じられるのかがとても楽しみです。

きじるしの王次を演じるのは、今回新キャストとなる大貫勇輔さんです。俳優としてはもちろん、ダンサーとしても活躍されています。今年の6月までは、『ハリーポッターと呪いの子』にハリー・ポッター役として約1年間出演していました。

お光とおさちを演じるのは、前回も同役を演じられて唯月ふうかさん。ミュージカルを中心に数々の舞台で活躍されており、伸びやかで美しい歌声が印象的な女優さんです。同じ役を務められるということで、さらにパワーアップしたお光とおさちを見ることができるのではないかと期待が高まります。

このほかにも前回に引き続き、土井ケイトさん、阿部裕さん、玉置孝匡さん、章平さん、梅沢昌代さん、木場勝己さんが出演されます。また新たなキャストとして、猪野広樹さん、綾凰華さん、瀬奈じゅんさん、中村梅雀さんの出演が決定しています。

絢爛豪華祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』は、12月9日(月)から29日(日)まで東京・日生劇場、2025年1月5日(日)から7日(火)まで大阪・梅田芸術劇場、1月11日(土)から13日(月)まで福岡・博多座、1月18日(土)・19日(日)は富山・オーバードホール、そして1月25日(土)・26日(日)は愛知・愛知県芸術劇場にて上演されます。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

nan

2020年の公演では、一部中止に伴い観劇を諦めざるを得なかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は全国公演も数か所あるので、この作品を観劇できる喜びを全国の方と分かち合えたらいいなぁと思っています。