ブロードウェイミュージカル『レント』が4年ぶりに来日します!大都会ニューヨークの片隅で、家賃=RENT(レント)すら払えないギリギリの生活を送る若きアーティスト達の生き様を描いたこのミュージカル。熱狂的なファンの多い作品ですが、長年愛されてきたオリジナル演出版は今回が見納めです。

「NO DAY BUT TODAY」今日を自分らしく生きる若者たち

これまで、日本でも何度も上演されてきた大人気ミュージカル『レント』。その初演は1996年。自由奔放な芸術家たちが登場するプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』を1990年前後のニューヨークに置き換え、多様な背景を持つ登場人物たちが情熱的に生きる様子を描いています。

ニューヨークでかつてボヘミアン街とされたイースト・ビレッジ。アパートの1室に住む映像作家のマークとソングライターのロジャーは、滞納している家賃の支払いに頭を抱えています。彼らの交友関係はかなり個性的。人種も、仕事も、性的指向もバラバラな登場人物たちは、それぞれの夢と現実の狭間で自分らしく過ごしています。親からの留守電は聞き流し、自由で享楽的な生活を楽しむ彼ら。その背後に、貧困、エイズ、ドラッグ中毒の苦しみが影を落とします。

舞台となった1990年は、エイズがまだ「不治の病」だった時代。今でこそ有効な治療薬がありますが、当時はただ死ぬのを待つばかりの患者も多かったのです。そんな死生観が根底にあるこの作品で、終わりのない不安を抱えた主人公たちがたどり着くのは「NO DAY BUT TODAY」というキーワード。刹那的に生きる彼らを象徴しつつ、今を精一杯生きようと思わされる、熱いメッセージです。

ジョナサン・ラーソンが手掛けた42の楽曲

『レント』の物語を彩るのはジャンルにとらわれない42の楽曲。冒頭の「RENT」はロック調で、エレキギターの音が印象的。かと思えば、有名な「Seasons Of Love」ではゴスペル調で、ピアノの伴奏と合唱、パワフルな独唱がハーモニーを奏でます。楽曲ごとにタンゴ、フォーク、ポップ・・・とテイストが全く違うので、音楽の質感の違いを楽しむことができます。

42曲の中にはいわゆるミュージカルナンバーのほかに、「Tune Up」「Voice Mail」というタイトルの曲もあります。シーンをつなぐ場面転換の短い曲なのですが、「Voice Mail」は親からの留守電メッセージが歌になっています。電話が主なコミュニケーションツールだった時代の名残を感じさせる、ほっこりする挿入歌です。

聴き飽きない楽曲を手掛けたのは、ジョナサン・ラーソン。彼は7年もの歳月をかけて『レント』の作詞・作曲・脚本の全てを創り上げました。本作のために制作した楽曲はなんと300曲以上にものぼり、そこから厳選してミュージカルに組み立てたのだそう。彼の想いが詰まった楽曲は、トニー賞でも評価され、作品賞、脚本賞とともに作曲賞を受賞しています。

伝説の初演。そのエッセンスを体感する最後のチャンス

今回は、全米各地を回ってきたカンパニーが来日します。このツアーをもって、四半世紀以上続いたオリジナル演出版は一区切りの予定。「Farewellツアー」というサブタイトルの通り、たくさんの人の思いが詰まった『レント』のサヨナラ公演です。

『レント』のオフブロードウェイ初演時、開幕の前日に逝去したラーソン。彼は、心血を注いだミュージカルの成功を目にすることなくこの世を去っています。急遽、初日はコンサート形式の追悼公演に変更され、観客と一体となって作者を悼みました。その名残で、今でもカーテンコールでは「ありがとう、ジョナサン・ラーソン」の文字が投影されています。

彼が見届けた最初で最後の『レント』の演出。ラーソンとともに演出家マイケル・グライフや初演キャストが作り上げた、オリジナル演出版での上演には、そして作品が生まれるまでに携わった人たちの特別な思いが込められています。

ブロードウェイミュージカル「レント」25周年記念Farewellツアー来日公演は、2022年5月18日(水)から5月29日(日)まで、渋谷・東急シアターオーブにて上演されます。最終日は完売しましたが、その他の日程ではS席を中心に、お席がございます。また、エンジェルシート(特別価格の最前列席)の抽選販売もございます。詳しくは、作品ホームページをご確認ください。

Sasha

私の周りでも、好きなミュージカルに『レント』を挙げる人は少なくありません。もちろん私もその1人。学生時代に舞台版のDVDを観て、「今を生きて、そして愛そう」というメッセージが、未来の見えない漠然とした不安をそっと解き放ってくれたのを感じました。熱狂ファンの知人いわく、「『レント』は人生のバイブル」。この作品が放つメッセージと熱量の高いパフォーマンスは生き続ける私たちの心を支えてくれます。