日本演劇史上最速で上演回数10,000回を突破し、劇団四季の東京公演は無期限ロングランを現在も継続中。ブロードウェイでは他の演劇作品に追随を許さない史上最高の興行収入を誇る『ライオンキング』。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』で音楽を担当していたハンス・ジマーと、世界的アーティストのエルトン・ジョンが担当している音楽はもちろん、「心配ないさー!」と歌う名シーンや独特な世界観など、魅力は語り尽くせません!今回は、中でも特にその舞台美術とテーマについてご紹介します!
01 プライドランドの動物たちを表現する驚きの方法とは?
太陽煌めくプライドランドを舞台に、未来の王となるライオンのシンバの出会いと成長を描いた『ライオンキング』。本作品を観劇した人はまず、冒頭の聞き慣れない言葉でのアカペラに度肝を抜かれます。この作品のテーマでもある「生命の連鎖」を歌ったこの曲が始まれば、もうそこは劇場ではなく、生命輝くアフリカの大地。
そして曲に合わせて姿を現したのは、本物さながらの細く長い手足を装着した俳優が演じるキリンや、4つの足を4人の俳優が息を合わせて動かす巨大な象。他にも、シマウマ、チーター、ガゼルなど、その動物のパペットをつけた俳優が登場するのですが、そのどれもが本当にそこに命があるような躍動感で圧巻!
動物たちを表現するにあたっては、作品全体で約70にも及ぶパペットはもちろん、アフリカの民族衣装をモチーフに仕上げられた衣装やインドネシアの影絵、日本の文楽・歌舞伎など、様々なものが取り入れられています!
02 「ライオンも死ねば草となり、その草を草食動物が食べる」
『ライオンキング』で忘れてはならないのが、「サークル・オブ・ライフ(生命の連鎖)」というテーマです。
「ライオンも死ねば草となり、その草を草食動物が食べ、その草食動物をライオンが食べる。全てのものはこのめぐりめぐる偉大な生命の調和に結びついている。王としてそれを理解し、全ての生命を尊重すべきである」
プライドランドの偉大なる王ムファサは、未来の王となるシンバへこう語りかけます。この生命の連鎖は、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』のような古典作品でも取り上げられていたテーマです。
古くから様々な作品で扱われてきた、この世界に生きるものとして本能的に私たちも理解しているこのテーマを、優美さを持って壮大なスケールで描いているからこそ、あらゆる世代の心を揺さぶる作品になっているのです。
他にも、シンバの仲間となるミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァのセリフは、上演される都市の方言が取り入れられるというご当地演出があったりと、遊び心も満載!まさに大人から子どもまで楽しめるミュージカルです!