2000年の初演『MILLENNIUM SHOCK』以来、堂本光一さんが国内ミュージカル単独主演記録を更新し続けた『Endless SHOCK』。堂本光一さんが主演を務める『SHOCK』はラストイヤーであると公言され、4・5月の帝国劇場公演の後、7月・8月梅田芸術劇場、9月博多座とツアー公演が行われ、11月、帝国劇場での最後の公演が行われてきました。そして11月29日(金)、遂に大千穐楽を迎え、2024年のキャストが集結し大千穐楽カーテンコールが行われました。
「ステージに立つ人間としての究極系を描いてきた」
コウイチが舞台で踊る姿を目に焼き付け、共に過ごした日々を胸に新しい未来へ向かっていく−。作品と現実とが重なり合うような熱い空気に包まれた『Endless SHOCK』大千穐楽。
カーテンコールには、堂本光一さん、上田竜也さん、福田悠太さん、辰巳雄大さん、越岡裕貴さん、松崎祐介さん、松尾龍さん、松浦銀志さん、中村麗乃さん、前田美波里さんらキャスト一同に加え、2024年の公演に参加した佐藤勝利さん、原嘉孝さん、寺西拓人さん、林翔太さん、室龍太さん、高田翔さん、綺咲愛里さん、島田歌穂さんが登場しました。
堂本光一さんの国内ミュージカル単独主演記録は2128回、2024年の公演は全142回。大千穐楽は全国の映画館100館でのライブビューイングも行われ、約7万人と、演劇ライブビューイングは過去最大級の展開を迎えました。
『Endless SHOCK』では恒例のくす玉が現れ、光一さんが大量の紙吹雪を浴びる中で「光ちゃん お疲れ様でした!」と書かれた垂れ幕が登場。前田美波里さんから、142本のバラの花束が贈られました。
そして各キャストから、本作への熱い思いのこもったご挨拶がありました。ライバル役を務めた上田竜也さんは、「自分が帝劇のステージにもう一度戻ってくるとは全く考えていなくて…ちょうどこの場所で2003年に光一くんに帝劇にはもう出るなと言われて(光一さんが「幕が降りた瞬間、“お前らもう絶対このステージ立つな!”ってね(笑)」と再現)、まさかこうやって『SHOCK』大千穐楽で光一くんと一緒にステージに立てるなんて思ってもみなかったので、踊りながら感慨深いものがありました。『SHOCK』は、コロナ禍もあり、エンターテイメントについて凄く考える場所でした。エンターテイメントとは何か、お客様、ファンの方に喜んでもらえることは何だろうか。もう一度深く考えさせられました」と思いを語りました。
そして同じくライバル役を務めた佐藤勝利さんは、「僕は『SHOCK』にエンタメの全てを教わり、光一くんの背中を見て育ち、そして参加させて頂き、本当に『SHOCK』に育てて頂きました。今日でラストということですが、『Endless SHOCK』の文字通り、僕たちの胸にずっと響き続けますし、そういう意味では終わらないと思っています。光一くんから教わったものを大事に、これからも進んでいきます。なんと言うのが正解なのかなと思ったのですが、僕はお祝いの言葉で締めたいと思います。本当に光一くん、おめでとうございます」とご挨拶。
作品を支え続けたふぉ~ゆ~の4名はカーテンコールでも場を盛り上げながら、それぞれの思いが語られました。
越岡裕貴さん「19歳から38歳まで、この作品に関わらせてもらいました。色々な役をやらせてもらいましたが、心残りは光ちゃんに一番近いリカ役が出来なかったことです(笑)。『SHOCK』がなかったらふぉ~ゆ~自体がなかったので、僕たちにとって本当に大事な作品です」。
福田悠太さん「光一くんは千穐楽だろうが初日だろうがいつも通りと言うのですが、今日は無理でした。劇中のコウイチの1つ1つの台詞が『SHOCK』の歴史と重なるように感じて、“光一くんの教えに反してしまう、いかんいかん”という気持ちでずっとやっていました。たくさんの素晴らしい背中を見させて頂いてありがとうございました」。
辰巳雄大さん「僕らは世界一“コウイチ”の台詞だけで喜怒哀楽を言い分けられる男たちなんですけれども(笑)、後に舞台の世界にもっと飛び込んでいった時に、“ありがとう”だけで喜怒哀楽を言い表す稽古があって、やっぱり僕らはこの作品で演劇の全てを学んだんだなと思いました。今日の公演では走馬灯のように色々なことを思い出して…その走馬灯の中には光一くんの笑顔があって、僕らはその笑顔がめちゃくちゃ好きで。光一くんの背中を特等席で見ることが出来て本当にいつも幸せでした」。
松崎祐介さんは思いが溢れて涙ぐみながら「(開演前の)気合い入れから涙を堪えていて…。ありがとうございました。でも全ての終わりは始まりでしかないので、この後、僕は始まります!」と松崎さんらしくコメントされ、ふぉ~ゆ~の皆さんから「まだ始まってなかったの?!」と愛あるツッコミが。これには光一さんも「最高の挨拶!」と笑顔が溢れます。
2024年公演の全てのステージに立った松尾龍さんは「昔、オーディションを落としてくださり、ありがとうございました!そして今回受けさせて頂き、ありがとうございました!僕は帝劇で行われたオーディションで事務所に入って、ずっと『SHOCK』に出たくて。屋上のシーンでの歌詞で“この場所から始まったんだ。いつか必ず夢を叶えよう”というのが自分にも当てはまって、毎回聞くたびにやばいので…今日はあまり聞かないようにしていました。『Endless SHOCK』に関わることが出来て、本当に幸せでした」と思いを語ります。
そして11月の帝国劇場公演に出演した松浦銀志さんはなんと10月頭に急遽行われたオーディションに参加、その場で合格後すぐに舞台稽古に参加されたのだそう。「(上田)竜也くんもいて怖かったんですけれど、一緒に歌うときに優しい人だと感じて、そこからずっと優しくしてもらいました。龍くんはジャズやバレエに関する基礎から教えてもらって、ふぉ~ゆ~の皆さんにも本当に良くして頂いて…(涙ぐむ松浦さんに光一さんは「ふぉ~ゆ~をこんなに尊敬する後輩いないよね(笑)。光一くんに良くしてもらってっていうのはないのかな?笑」)。光一くんも色々なところを見なきゃいけないのに、僕のこともしっかり見てくれて、細かいところも指導してくれて本当にありがとうございました」と涙いっぱいにご挨拶を。
光一さんは「可愛い」と目を細めつつ、「この経験を出来る人はそう多くないので、絶対に自分のものにしてほしいなと思います」と先輩としての温かいメッセージを贈られました。
そして2024年の公演に参加した原嘉孝さん、寺西拓人さん、林翔太さん、室龍太さん、高田翔さんからもご挨拶がありました。
原嘉孝さん「3年間、刀を渡す役をやらせて頂きました。この事務所の凄いところは縦の繋がりだと思っています。大先輩がいて、その背中を見ながらステージに立てる作品の1つが終わってしまう寂しさと、今すぐにでも人間ドッグに行ってほしい気持ちと(笑)。今後の僕の人生にも大きな影響を与え続けると思います」。
寺西拓人さん「芝居を中心に活動させてもらうようになってからすぐの作品が『SHOCK』で、帝国劇場に立つこと、お芝居をすること、皆さんに何かを届ける姿勢を1から教えてもらいました」。
林翔太さん「光一くんが飛んでいる後ろ姿を見るとか、ステージ上からしか見られない『SHOCK』の景色を知りました。たくさんのお客様に囲まれてエンターテイメントを届けることができて本当に感謝しています。光一くんの背中をこれからもずっと追いかけていきたいです」。
室龍太さん「『SHOCK』のカンパニーの一員としてステージに立ったことを光栄に思います。僕の役柄として一発ギャグをするコーナーを光一くんが考えてくれて、そのおかげでメンタルが強くなりました(笑)」。
高田翔さん「僕は博多で先に千穐楽を迎えて、東京が終わるまでは終わった感じがしないと思っていたのですが…まだ終わった気がしません。どうしてもまた出たいという気持ちが湧き上がってきて、それだけ『SHOCK』を愛していたんだなと実感しています」。
ヒロイン役を務めた綺咲愛里さんは「光一さんを始め、キャストの皆さん、スタッフの皆さん、お客様との出会いは本当にかけがえのないものだと思いますし、これからも長く長く胸に留めておきたい大事な思い出だなと今日また改めて思いました」とご挨拶。
同じくヒロイン役を務めた乃木坂46の中村麗乃さんは、「『SHOCK』という作品は私の夢を2つ叶えてくれました。帝国劇場に立つということ、憧れていた神田沙也加さんと同じ役をやるということ。2つの大きな夢を叶えてくださって、千穐楽という歴史的瞬間を皆さんと共にさせて頂けて、本当にたくさんの方に感謝の気持ちでいっぱいです」と涙ながらに語られました。
オーナー役を務めた島田歌穂さんも涙ぐみながら、「素晴らしい記録を成し遂げたこの作品の最後の3年間に携わらせて頂けたこと、人生の宝物なんだと思っています。まさに命を削りながら、その背中を見せてくださった光一さんの姿は生涯忘れません」とコメント。
前田美波里さんは「2013年に母親役で出させて頂いた時は、少年隊の植草さんが父親役として出られていました。初めて女性のオーナー役としてのお話が来た時は、本当に私が出来るものなのか自信がありませんでしたが、温かい皆さんに囲まれて、助けて頂きながらかれこれ11年が経ってしまいました。最初はあまり踊りもございませんでしたが、光一さんにお願いして少しでも良いから日舞で出させて頂けないかとお願いをして。今日は日舞のシーンで涙が止まらなくなってしまいました。(光一さん「裏で会ったら泣き崩れていましたよね(笑)」)2013年に出演してから、光一さんのファンであり、この作品のファンです。この仕事、この作品がなくなってしまうということは、ものすごく寂しいです。どうぞ、この作品を超える良い作品を作ってください」と熱いメッセージを。
前田さんからの言葉を受け止めた光一さんは2000年の初演当時を振り返り、「朝まで稽古をしていたこともあって、そういった積み重ねが今なので、いきなり超える作品というのはなかなか大変なことではあるなと思いますけれど。自分的には、『SHOCK』専用劇場でも作ってやれば良いかな」と発言され、会場からは大きな大きな拍手が巻き起こりました。
そして「自分がコウイチ役を演じることはないかもしれないですけれど、もちろん誰かに受け継いでもらえたら嬉しいなと思っています。ファンの方にとっては複雑な思いもあることだというのは理解しております。でもコウイチ役というのはステージに立つ人間としての究極系みたいなものを描いてきたので、それを究極ではない自分が演じるのは辛いものもありました。技術は自分にはそんなにありませんから、何が出来るかと言うともう気持ちしかありません。その気持ちをずっと維持し続けるというのは…これは頑張りました、自分でも。ただエンタメを卒業するわけではないですし、皆さんに喜んでいただけるものを発信し続けていかないと言う気持ちももちろんありますから、それは楽しみにして頂けたら。舞台は儚いもので、終わってしまうと記憶に留めておくしかないものですが、皆さんの心の中で思い続けてもらえる作品であれたら嬉しいです」とファンの方を想ったメッセージが語られました。
思いは人を強くさせる
終演直後に行われた囲み取材で光一さんは「本当にやりきったという思いと、背負ったものを降ろせるのかなと思ったんですけれど…もっと重いものが乗りかかったような気もします。有難いことに、僕が作るエンターテイメントを欲してくれているんだなという空気を、お客様からも共演者のみんなからも感じたので」と率直な思いを語りました。
また大切にされている台詞として『Endless SHOCK -Eternal-』での「思い続ければいつでもそこにいる」という台詞を挙げ、「本編でも、台詞としては現していないけれど、宿っているものです。色々なことに当てはめることが出来て、亡くなってしまった人を思う事もできると思うし、舞台は生で観た後、自分の思いの中で記憶しておかなければいけない。思いというのは、とっても人を強くさせる瞬間でもあるので、(作品の中で)常に自分が大事にしてきたポイントです」と語り、「一緒にステージに立つ共演者やスタッフを信頼して全てを任せるのも、思いの繋がりです。そしてファンの方やお客様がたくさんの思いを客席からステージに届けてくれる。そういった集合体が舞台の世界なので」と噛み締めるように言葉を紡ぎました。
最後に「光一さんにとって『SHOCK』とは?」という質問に対し、「今後にも期待を込めて、“永遠”であってほしいです」と未来を感じる言葉で会見が締め括られました。
東日本大震災や公演中の事故、コロナ禍など様々な経験を乗り越え、『SHOCK』を上演し続けた光一さん。階段落ちの演出は1923回行われ、高さ9307mとエベレスト8848mを超える大記録だそうです。“日本一チケットが取れないミュージカル”、光一さんの“帝劇の住人”の異名など、様々な伝説を生み出した作品。今後も新たな歴史が紡がれることを願ってやみません。