街にクリスマスツリーやイルミネーションが輝き、寒いながらも何だかワクワクする季節となりました。今回は、この季節をもっと楽しみたい方に、クリスマスシーズンに聴きたい、心温まるミュージカルソングをご紹介します。

「Seasons Of Love」(『RENT』より)

「クリスマスに関連したミュージカルと言えば?」と質問されたとき、私が一番に思いつく作品が『RENT』です。舞台は20世紀末のニューヨーク、イースト・ヴィレッジ。クリスマスイブから1年間を描く作品となっています。

「Seasons Of Love」は『RENT』の中で最も重要とされている楽曲。1年間を分数に例えたフレーズ「52万5600分(Five hundred twenty-five thousand Six hundred minutes)」から始まり、「人生における1年間の価値を愛情で測ろう(Measure in love)」と締める内容です。不治の病に感染している登場人物たちが、最後まで自らの幸せを掴むために生き抜こうとする様が感じられます。「世界中の人の幸せをお祈りする日」でもあるクリスマスに、ぜひ聴いてみてほしい1曲です。

「Christmas Children」(『クリスマス・キャロル(原題:Scrooge)』より)

『クリスマス・キャロル』は、チャールズ・ディケンズの同名小説を原作とする、1970年のミュージカル映画です。19世紀半ばのロンドン。クリスマスイブ当日、ケチで思いやりのない経営者・スクルージが、7年前に死んだ共同経営者マーレイの亡霊に遭遇したことをきっかけに、誰かと喜びや悲しみを分かち合う素晴らしさを学んでいきます。

この作品に登場する「Christmas Children」は、「ドリトル先生不思議な旅(1967年)」や「チップス先生さようなら(1969)」などでも音楽を担当したレスリー・ブリッカスによるものです。

スクルージの事務所で働くボブ・クラチットが、たった15シリングの週給をもらった後、子どもたちのもとへ向かいます。子どもは「お人形が欲しい」とショーウィンドーからなかなか離れようとしません。このシーンで父子は「Christmas Children」を歌います。

導入はどこか謎めいたメロディー。特に印象的なのは「クリスマスツリーとおもちゃ、クリスマスの希望と喜び(Christmas trees and toys, Christmas hopes and joys,)」という歌詞でしょうか。クリスマスイブの夜、クリスマスの朝に向けて気持ちを高めるのにぴったりな楽曲です。

「Another Day of Sun」(映画『ラ・ラ・ランド(原題: La La Land)』より)

『ラ・ラ・ランド』は、2016年に公開されたアメリカのロマンティックミュージカル映画です。俳優志望とピアニストの恋愛を描いた内容で、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが主演を務めました。第74回ゴールデングローブ賞でノミネートされた7部門全てを制した人気作品でもあります。

最も有名な挿入歌「Another Day of Sun」は、作品にとって重要なオープニングを飾る1曲です。ロサンゼルスの高速道路では、朝の大渋滞によってクラクションが鳴り止みません。そんな中、黄色いワンピースを身にまとった女性が歌い出します。すると、他の車に乗っていた人たちも次々と降りてきて、ダンスやアクロバット、スケートボードのパフォーマンスを繰り広げるのです。

「君はきっと立ち上がれる、だってまた朝はやってくる、輝く日がやってくるから(You’ll get up off the ground. ‘Cause morning rolls around. And it’s another day of sun.)」そんなフレーズを繰り返す歌詞自体はとてもポジティブに聴こえますが、主人公の女性が置かれている状況を知った後は、印象がガラッと変わるのも面白いポイントです。

「冬に関係なさそうな楽曲では?」と感じた方もいることでしょう。実は『ラ・ラ・ランド』、プロローグ・冬、春、夏、秋、エピローグ・5年後の冬で構成されていて、冬が特徴的な作品なんです。しかも、クリスマスシーズンと言えば、多くの人が年末の忙しさで疲れやすい時期。この曲で心を前向きにして、冬を幸せな気持ちで過ごしてみませんか?

さよ

クリスマスシーズンを満喫できる心温まる曲を3つご紹介しました。みなさんが楽しいクリスマスを過ごせますように。