KAAT神奈川芸術劇場2024年度メインシーズン「某(なにがし)」。その締めくくりとなる作品として、劇作家・山本卓卓さんによる新作、音楽劇『愛と正義』の上演が決定しました。愛と正義という普遍的なものをテーマに、どんな音楽劇ができあがるのでしょうか。

劇作家・山本卓卓×演出・益山貴司 日々進化し続ける2人の初タッグ

今回、劇団・範宙遊泳主宰の山本卓卓さんの書き下ろしによる新作音楽劇『愛と正義』を、元・劇団子供鉅人で作・演出・代表を務めた益山貴司さんの演出という初タッグを組んでの上演となりました。

脚本を務める山本卓卓さんは、『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞し、いま注目を浴びている劇作家の1人です。海外での上演も積極的に行っており、劇団の代表作の一つである『幼女X』は、タイ・バンコクなど4カ国で上演され、Bangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞するなど高い評価を得ました。また、高校演劇出身の山本さんらしく、中高生を対象とした演劇のワークショップを定期的に開催されています。そんな山本さんは今回、“愛と正義”をテーマに新作戯曲を書き下ろします。人間のか関係のあり方を抽象化した物語を、神話性を持った壮大な戯曲をイメージしながら描き、語り(歌)と対話で展開するという今作。どんな作品が書き上がるのか楽しみです。

演出を務めるのは益山貴司さんです。シェイクスピアなどの古典劇からオリジナルの新作劇、そして上演する場所も劇場から屋外庭園、果ては寮の食堂や一軒家まで、幅広い作品の種類でなおかつ場所にとらわれない創作活動を展開されています。今作に対して、「山本卓卓氏は、もうタイトルだけで私の心を抉る。稽古に入れば、そのセリフと物語にキャストとスタッフも抉られ、本番では観客の心を抉るのだろう。ああ、なんともワクワクするようなこの戦慄……!」とコメントしており、この作品を作り上げていくという期待感はもちろん、山本さんの書き上げる戯曲に対する高揚感が伝わってきます。

<公式HPより>
『愛と正義』は、人を助けることを生業とするヒーローたちの世界を舞台とした音楽劇。人を助けることを諦めそうになるヒーロー。人を愛することをやめようとする人間。もうすでにそれをやめている怪物。戦うことは傷つけることとわかっているのに戦わなければならない立場。戦うことを放棄する者。死ぬ者。生き残る者。「愛と正義」が両立しない時、人はどうするか。深い愛の正体は、闇深い狂気なのかもしれないという疑心暗鬼。打ち勝って立つのはなにか。あるいは勝たないことが愛なのか。現代の「争い」に言葉と物語と暗喩と愛で応答します。

歌ありダンスありの音楽劇に多方面で活躍する俳優陣が集結!

今回の作品で主人公となるコチを演じるのは一色洋平さん。舞台を中心に精力的に活動を続けられており、今年は舞台『鋼の錬金術師 ―それぞれの戦場―』で主演エドワード・エルリック役を務め、鴻上尚史さんの第三舞台時代の代表作を再演した舞台『朝日のような夕日をつれて2024』に出演するなど、ストレートプレイからミュージカルまでジャンルを問わずさまざまな作品に出演されています。

コチの妻であるソチを演じるのは山口乃々華さん。E-girlsのメンバーとして活躍したのち、ミュージカルを中心に精力的に活躍されています。2023年に上演されたミュージカル『SPY×FAMILY』では、フィオナ・フロスト役を熱演、2025年での再演でも同役を務めることが決定しています。

福原冠さんは、コチの相棒であるカレを演じます。2014年に範宙遊泳の劇団員となった福原さんは、劇団としての活動以外にも数々の舞台に出演しています。

カレのパートナーであるカノ役は入手杏奈さんが務めます。ダンサー・振付家として活躍している一方、近年は『リア王の悲劇』や『ジャズ大名』といった舞台作品にも出演しています。

コチのいとこであり、後にコチと敵対することになるウチ/アク役は坂口涼太郎さんが演じます。ドラマや映画といった映像作品での活躍が目立つ坂口さん。最近ではファッションの分野でも注目されており、圧倒的な存在感を放っている俳優さんです。木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』での活躍も記憶に新しいのではないでしょうか。また、ダンスカンパニーBATIKより大江麻美子さん、岡田玲奈さんの出演も決定しています。

音楽劇『愛と正義』は、2025年2月21日(金)から3月2日(日)まで、KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>にて上演されます。また、23日(日・祝)には、終演後にアフタートークも予定されています。詳しくはホームページをご覧ください。

nan

正直どんな舞台になるのかが想像がつかず、上演されるのが楽しみだなぁと思ってます。また、今回はステージ配置も普段の舞台とは違う配置になっていて、その部分からも山本さんと益山さんのカラーが出ているのかなと感じています。