学校行事や会社のレクリエーションなどで、良いイベントがないかと悩む方も多いのではないでしょうか。 そんな方々に注目していただきたいのが、非日常を体験できる「観劇」です。 グループ観劇を申し込めば、同級生や同僚、さらに地域の人たちと一緒に、劇団四季やホリプロなど、多くの名作を上演する劇団で演劇鑑賞を楽しむことができます。 本記事では、グループ観劇の魅力やメリットのほか、注意点、選りすぐりの作品をご紹介します。

グループ観劇の魅力、そして活用術

グループ観劇には、多くのメリットがあります。特筆すべきは、非日常体験である「観劇」の思い出を、さらに深められる点です。

筆者は高校生の頃、学校行事で劇団四季の『ウィキッド』を観劇しました。それまでにも演劇を鑑賞したことは何度もありましたが、ともに日常を過ごしていた同級生との観劇は、普段の観劇よりさらに非日常感を味わえました。当時の感動は、大人になった今でも鮮烈な思い出として残っています。

上質なエンターテイメントにふれる芸術体験としてだけではなく、一生残る思い出を残す機会になるかもしれません。

また、多くの劇場では、グループ観劇を対象に、一般の前売り券の販売前に予約を開始しています。先々の予定が決めやすいのもメリットのひとつです。

そして、お弁当や食事の手配など、事前に担当者へ相談しておけば、要望に応じてのプランに相談に乗ってもらえます。ただし、各劇場によってサービスが異なりますので、事前に担当窓口へ問い合わせが必要です。これらのサービスがない劇場もあることをご承知おきください。

あらゆるシーンが魅力的に。グループ観劇にぴったりの場面

学校行事でグループ観劇を経験した方も多いかと思いますが、グループ観劇は学校行事だけにとどまらず、さまざまな場面で活かせます。たとえば職場や組合での福利厚生、懇親の場として。野外でのイベントとは違い、天候や気温に左右されることなく、共通の体験を楽しめます。

また、子ども会やPTAの行事にもぴったりです。子どもが楽しめるのはもちろんのこと、保護者も観劇を楽しむことで親子共通の思い出を作れるかもしれません。

さらに、推し活の一環として、共通の趣味を持つ友人やサークル活動でのグループ観劇もおすすめです。好きなものを同じ人と観劇することで、観劇後の会話にも花が咲くのではないでしょうか。

ただし、劇場によってはSNS等での同行者募集を禁止しているところもあります。事前の確認が必要です。

グループ観劇の申し込み方法は?一例を紹介

多くの劇場では、グループ観劇のための専用窓口が用意されています。

申し込み方法は劇場によって異なりますが、それぞれの公式ホームページに専用のページがありますので、そちらを確認するとよいでしょう。

一例として、ホリプロでのグループ観劇申し込みの流れを紹介します。

1.専用ページからの問い合わせ
2.目的や開催時期、参加人数の確認
3.担当者より対象の公演の紹介
4.申し込み(座席の確保)
5.入金
6.チケットの受け取り
7.観劇当日

観劇マナーを知ろう。グループ観劇での事前注意点

グループ観劇にはいくつかの注意点があります。

申し込み前に理解しておき、当日の観劇をスムーズにしましょう。

対象人数を確認しておく

劇場や劇団によって、グループ観劇を受け付けている人数が異なる場合があります。

たとえば、明治座ではグループ観劇の対象人数を「10名以上」と設定しており、東宝では「6名以上」など、それぞれにルールが異なっています。

いずれも公式ホームページに詳細が掲載されていますので、事前に対象人数を確認しておくとよいでしょう。

観劇マナーを守る

集団での観劇であっても、個人で観劇するのと同様に観劇のマナーを守りましょう。

観劇中の会話や、開園前に大声で騒ぐなどのモラル面はもちろんのこと、スマホの電源をオフにする、前のめりにならない、脱帽するなど近隣席の方への配慮も必要です。

集団での観劇の際、参加メンバーのなかには観劇が初めての方がいるかもしれません。事前に観劇の際のマナーを共有しておくのも大切です。

参加人数の増減に注意

劇場によっては、申し込み後の人数の変更を受け付けていないところもあります。

体調不良や急な用事によって人数の変更がある場合、人数変更の対象になるか確認が必要です。

やむを得ない事情のために人数の変更を余儀なくされた場合、担当の窓口に問い合わせましょう。

グループ観劇で何を観る?ホリプロ、劇団四季の名作に触れよう

グループ観劇を計画する際、日程などのスケジュール調整はもちろんのこと、どんな作品を観劇するのかが重要なポイントです。

参加者の年齢層や属性によって、楽しめる作品は違ってきます。ですが、参加者みんなが楽しめる作品であり、ともに観劇することで感動を深められるかどうかも、作品を選ぶときの参考にしてはいかがでしょうか。

ここからは、グループ観劇におすすめの名作をご紹介します。

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』(ホリプロ)

『ハリー・ポッター』シリーズの主人公、ハリー、ロン、ハーマイオニーの19年後を描いた本作は、ハリーの次男であるアルバスと、ドラコ・マルフォイの息子、スコーピウスを中心とした物語です。

イギリス演劇界の最高賞であるローレンス・オリヴィエ賞をはじめ、アメリカのトニー賞、日本では読売演劇大賞など、世界中で60以上の演劇賞を受賞した注目作品です。

厳しいオーディションを勝ち抜いた精鋭キャスト勢によるロングラン公演で、日本国内でも多くのファンから評価されています。

誰もが知っている『ハリー・ポッター』シリーズの後日譚として、普段演劇を観る機会のない方にも楽しんでいただけるのではないでしょうか。

東京・赤坂にある“TBS赤坂ACTシアター”で上演中です。

ミュージカル『ラブ・ネバ―・ダイ』(ホリプロ)

2025年1月17日(金)~2月24日(月・祝)まで、東京・日比谷の“日生劇場”で上演されるミュージカル『ラブ・ネバ―・ダイ』。

アンドリュー・ロイド=ウェバーによるミュージカルの傑作『オペラ座の怪人』の続編として、2014年、2019年に上演され、今回が3回目の上演となります。

主人公“ファントム”を演じるのは、市村正親さん、石丸幹二さん、橋本さとしさんら名優です。さらにヒロイン“クリスティーヌ”は、平原綾香さん、笹本玲奈さん、真彩希帆さんのトリプルキャストです。

ファントムによる、クリスティーヌへの切なくも狂おしい恋心が描かれた、心揺さぶるミュージカル作品。その悲しい恋の行方に、きっと涙することでしょう。

ミュージカル『アナと雪の女王』(劇団四季)

東京・浜松町にある“JR東日本四季劇場[春]”では、ディズニーによる大ヒット作品を舞台化した『アナと雪の女王』がロングラン上演中です。

エルサとアナ、ふたりの姉妹の絆と愛が描かれた本作品は世界中のファンに愛されています。『Let It Go』をはじめとするナンバーの数々は、誰もがどこかで耳にしたことのあるものといえるでしょう。

本作の舞台化にあたり、音楽を担当したロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻は、アニメ映画版からさらに12曲のナンバーを追加しました。舞台でしか聴くことのできない名曲を楽しめそうです。

また、人とは違った個性を持った主人公エルサの葛藤や苦しみは、自分らしさを求める多くの人々の共感を呼ぶことでしょう。ミュージカル作品としてはもちろん、大人のための上質なドラマとして楽しめる作品です。

劇団四季ファミリーミュージカル『ガンバの大冒険』(劇団四季)

劇団四季には、年中を通してカンパニーが各地を回る“全国公演”があります。

地方在住でなかなか観劇の機会がない、という方にも、劇団四季の全国公演はおすすめです。

劇団四季ファミリーミュージカル『ガンバの大冒険』は、斎藤惇夫さんの原作をミュージカル化した作品です。なんと、初演は1976年。50年近くも多くの人々に愛される名作です。

町ネズミ・ガンバは毎日のどかな暮らしを楽しんでいますが、ある時、島ネズミの忠太から故郷が危機に瀕していることを聞かされます。故郷の仲間たちを救うため、ガンバは仲間たちと未知なる冒険に出発するのです。

ガンバや仲間たちの冒険は、観劇する子どもたちに多くの勇気と感動を与えるかもしれません。親子で楽しむ観劇体験にぴったりではないでしょうか。

ミュージカル『ウィキッド』(劇団四季)

大阪駅直近にある“大阪四季劇場”で上演中の『ウィキッド』。

2025年3月には映画版が日本で上演されることが決定し、注目されています。

名作『オズの魔法使い』を、作中に登場するふたりの魔女の視点から描いた本作は、何もかも正反対の少女・エルファバとグリンダが、反発しあいながらも次第に心を通わせていく友情の物語です。

エメラルド色の舞台装置や、きらびやかな衣裳はもちろんのこと、作中で繰り広げられる魔法の数々も魅力的なポイント。

グラミー賞をはじめとする数々の賞を獲得した名曲が、ストーリーを彩ります。一度聴いたら忘れられない、心躍る音楽や、キャストの歌唱力に酔いしれることでしょう。

大阪公演は2025年7月6日(日)をもって千秋楽を迎えます。ご興味のある方は早めのチェックをお忘れなく。

糸崎 舞

コロナ禍を経て、人々が集まって共通の体験を楽しむことの大切さを再確認した方も多いのではないでしょうか。大切な人たちとの観劇体験を楽しんでいただければ幸いです。