5月10日(土)からPARCO劇場にてパルコ・プロデュース2025『星の降る時』の上演が決定しました。2024年度「ローレンス・オリヴィエ賞」BEST PLAYにノミネートされた、イギリスで話題の新作戯曲。江口のりこさん、那須凜さん、三浦透子さん、段田安則さん、秋山菜津子さんら実力派キャストが集結し、栗山民也さんが演出を手がけます。
「文化を超越して家族というものと愛情の限界を探求する物語」
ロンドン近郊のかつて栄えた炭鉱町を舞台に、変わりゆく社会と折り合いをつけようともがく家族を、イギリス気鋭の劇作家ベス・スティールが情熱的かつユーモラスに描いたヒューマンドラマの傑作『星の降る時 Till the Stars Come Down』。2023年英国ナショナル・シアターで上演され、2024年度「ローレンス・オリヴィエ賞」BEST PLAYにノミネートされました。
小田島則子さんの翻訳、栗山民也さんの演出で世界に先駆け、いち早く日本上演となります。本作を執筆した劇作家ベス・スティールさんは日本上演にあたり、「ロンドンのナショナル・シアターで幕を開けたこの芝居が、日本という異なる文化的脈絡の中でどのように受容されるのか、とても楽しみです。そもそもこの戯曲では結婚式の日に異なる二つの文化が出会う様子を描いていますが、この戯曲は文化を超越して家族というものと愛情の限界を探求する物語でもあります。結婚式はいつの時代も忘れられない日ですから、この芝居も観客の皆様の思い出に残る経験になりますようにと願っています」とコメントを寄せました。
栗山さんは「この愉快で過激な台本、とにかく一気に読み終えたのですが、しばらくして妙に胸が痛むのです。結婚というハレの日なのに、なんだか張り詰めた空気がそれぞれの人物の中にすでに充ちていて、それがいつ爆発するのか。1ページ読むたびに何かに飢えた人たちの欲望はひび割れ、どんどんとその亀裂は大きく拡がっていくのです。普段の生活の裏側に隠された関係の糸が、それも家族の中で複雑にもつれています。ギリシャ劇もシェイクスピアも全て家族のドラマ、いつものように朝が訪れ一日が過ぎて夜を迎えるように、紀元前の時代からずっと変わらずその絡み合いは繋がれているのです。とても刺激的な稽古になりそう。いろんな人たちのだいぶいい加減でしかも必死な、そのギザギザしたたくさんの感情に出会えるのですから」と語りました。
炭鉱町に生まれ育った三人娘の長女を演じるのは、今年は映画『35 年目のラブレター』の公開や連続テレビ小説「あんぱん」への出演も控える、映画・TV・舞台に引っ張りだこの気鋭の実力派江口のりこさん。次女には、第29回読売演劇大賞 杉村春子賞や第 59 回紀伊國屋演劇賞 個人賞を受賞し、舞台『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』や『逆さまの日記』への出演など活躍が目覚ましい那須凜さん。三女には、舞台『ロスメルスホルム』で第 31 回読売演劇大賞 優秀女優賞や第 58 回紀伊國屋演劇賞 個人賞に輝き、主演を務めるドラマ「HEART ATTACK」が 3 月に FOD にて配信予定で、ミュージカル『VIOLET』では主演を務めた三浦透子さん。
そして三姉妹を育てあげた父親役に、『セールスマンの死』ほかの成果で芸術選奨文部科学大臣賞、第 30 回読売演劇大賞最優秀男優賞に輝き、2024 年には紫綬褒章を受章した名優・段田安則さん。
三姉妹の育ての母でもある叔母役に、舞台『ふくすけ 2024~歌舞伎町黙示録~』『台風 23 号』『血の婚礼』などに出演し、第22回読売演劇大賞、最優秀女優賞など数々の演劇賞に輝く秋山菜津子さん。
さらに長女の夫役にはドラマ「マウンテンドクター」や舞台『う蝕』、『太鼓たたいて笛ふいて』に出演の近藤公園さん、三女の夫役にはミュージカル『スリル・ミー』、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』などに出演の山崎大輝さん、三姉妹の叔父役には映画『朽ちないサクラ』、ドラマ「新宿野戦病院」、舞台『応天の門』などに出演の八十田勇一さんと、豪華な実力派キャストが集結しました。
江口さんは「今回、演出の栗山民也さんとご一緒させていただくのは 2 度目になります。前回は 8 年前でした。あのとき、稽古場で栗山さんを怖がってさりげなく逃げ回っていた自分がいたので、今回お話を頂いて、リベンジできるチャンスが来た!と、有り難く思いました。戯曲も素晴らしく、この大きなホンに立ち向かう苦労が目に見えていますけど、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと力を合わせて舞台をつくりあげていくことを心から楽しみにしています。是非、劇場でご覧になって下さい」、
那須さんは「大尊敬する大好きな栗山さんと、次はいつご一緒できるだろうとじりじりしていた頃に、この舞台の出演が決まり飛び跳ねて喜びました!素晴らしい俳優さんに囲まれ緊張しますが皆さんと切磋琢磨しながら、リアルな家族の像を創り上げていきたいです。何処にでもいる家族が、抱える秘密、守り続けたもの、絶妙なバランスを保っていた形が崩れていく。皆様の家族とどこかが重なるような作品になると思います。是非劇場にお越しくださいませ!」、
三浦さんは「家族特有の、時に細やかに、時に大胆に心の視線が交差する様がとても興味深い作品だと感じました。台詞の多い会話劇だからこそ、声の奥にあるものを丁寧に突き詰めていけたらと思います。栗山さんの演出の言葉、一文字も逃さず真摯に向き合い、学びの多い時間にしたいです」とコメントしました。
<ストーリー>
ロンドン近郊のかつて栄えた炭鉱町に生まれ育った三人娘。
今では二人の娘を持ち相変わらず倉庫勤務の長女ヘーゼル(江口のりこ)と、町に嫌気をさして実家を遠く離れていた次女マギー(那須凜)、そしてポーランド移民と恋に落ちた三女シルヴィア(三浦透子)。
今日は三女の結婚式。母親代わりの叔母キャロル(秋山菜津子)と共に、パーティの準備をしている。
早くに妻を亡くしたが、三姉妹を守ってきた父親トニー(段田安則)、その兄とは長年に渡る絶縁状態の叔父ピート(八十田勇一)、移民に職を奪われ失業状態の長女の夫ジョン(近藤公園)も久しぶりに顔を合わせ、三女の夫マレク(山崎大輝)を迎えて祝いの宴が催されるが…人生で最も幸せなはずの一日が、問題をはらんだ家族間の扉を開けてしまうことになり…
果たして家族は再び向き合い、新しい朝を迎えることができるのか…
パルコ・プロデュース2025『星の降る時』は2025年5月10日(土)〜6月1日(日)までPARCO劇場にて上演。6月には山形・兵庫・福岡・愛知公演が行われます。公式HPはこちら