俳優・小野田龍之介さんの連載企画「小野田龍之介と春夏秋冬さんぽ」。今月は帝国劇場で撮影したお写真とともに、小野田さんがレギュラーキャストとして出演中の帝国劇場 CONCERT『THE BEST New HISTORY COMING』についてお話を伺いました。
“神、今日もありがとうございます…!”と噛み締めて聴いています

−2月14日から開幕した帝国劇場 CONCERT『THE BEST New HISTORY COMING』、怒涛の日々かと思いますがどのような思いでいらっしゃいますか。
「今までご一緒してきた方々や、自分が子どもの頃に観てきた方々のパフォーマンスを共演者として観ることができて、帝劇の神様から最後にご褒美をもらったなという気持ちです。お祭りのように思ってくださる方もいると思うのですが、僕としては帝劇の舞台にずっと立ってきた、今回出演されない方や、もう亡くなってしまった出演者の方々、そしてスタッフのことも毎日頭に浮かびます。責任感のあるコンサートだなと感じながらやっていますね」
−現・帝劇で上演されたミュージカル53作品全てから64曲もの楽曲が披露され、非常に贅沢なコンサートですよね。
「僕が今回歌唱させて頂いている『心を繋ぐ6ペンス』の再演は、僕が生まれた1991年なんですよ。自分の生まれた年に上演された作品の楽曲を歌えるなんて光栄ですし、自分が出演した作品の楽曲も、もうこの劇場で歌われることはないわけですから、役としても特別な思いがあって。やはり一つの節目だと感じます」
−Aプログラムのゲストは鹿賀丈史さん、大地真央さん、松たか子さんでした。
「幕開けに相応しいお三方で、非常にインパクトがありました。鹿賀さんのバルジャン・ジャベールの姿を観てきたので「Stars」を共演者として聴ける日が来るとは思いませんでしたし、松たか子さんの親子で引き継いで歌われた「見果てぬ夢」もグッときました。そして大地真央さんの『サウンド・オブ・ミュージック』と『マイ・フェア・レディ』の世界を堪能できるとは!大地真央さんの『マイ・フェア・レディ』は子どもの頃、上演されるたびに何度も観に行っていたので、共演者として拝見できるなんて夢にも思いませんでした」
−そして小野田さんは帝劇オリジナルミュージカルメドレーで『Endless SHOCK』の「CONTINUE」を歌われていますが、Eプログラムの一公演ではゲストの堂本光一さんが飛び入り参加されたそうですね。
「本当に光栄でした。『SHOCK』シリーズは帝劇で観劇したこともありますし、初期の頃のDVDを持っているんですよ。光一さんは21世紀の帝劇の1つの歴史と伝説を作った方なので、その伝説を作った場所である帝国劇場で一瞬でもコラボレーションさせて頂けて凄く嬉しかったです。ファンの皆さんもご覧になっている中で歌うのは恐縮しましたが、温かく受け入れて頂けて良かったです」

−帝国劇場の舞台機構もふんだんに使われているコンサートですよね。
「舞台真ん中のせりを僕が使ったのは、初めて帝国劇場の舞台に立った『ルドルフ 〜ザ・ラスト・キス〜』以来でした。花道のせりは約20年ぶりに動かしたそうなので、そんな歴史ある舞台機構とコンサートを一緒にできて、最後に愛着が湧いちゃいました」
−他に印象的な楽曲はありますか。
「島田歌穂さんの「オン・マイ・オウン」を毎日聞けるのが幸せです。CDでも何十回、何百回と聴いてきましたから。あの瞬間だけは、一緒に『レ・ミゼラブル』をやっているような気持ちに勝手になって、嬉しくなります。僕にとって神様のような存在なので、“神、今日もありがとうございます…!”と噛み締めて聴いています」
『ミス・サイゴン』は「出るとは思わなかった」特別な作品

−小野田さんは本役でも務められた『ミス・サイゴン』の「世界が終わる夜のように」の歌唱もありますね。
「初演キャストの皆さんのお顔を思い浮かべながら歌っているんです。同時に今まで一緒に公演を行なってきた仲間たちの顔も浮かびます。A・B・Cプログラムでは昆夏美さんと歌唱しましたが、2人でやるたびに胸熱になってしまって。『ミス・サイゴン』は愛の物語と言われますけれども、同時に生きることが大きなテーマとなっている作品でもあるので、とても込み上げるものがあります」
−クリスとしての感情はどのくらい入っていますか。
「半々くらいですね。作品ではロマンティックなメロディーに流されず、危機的な状況の中でも2人の愛は消えない力強さを求められますが、今回はコンサートなので演出の山田和也さんと話し合い、クリスとキムの2人の世界になりすぎないように気をつけています。この楽曲はおおまかな段取りは決めているものの、実は今回ほとんど稽古はしていないんです。というのも、昆夏美さん、D・E・F・Gプログラムの屋比久知奈さんはどちらも本役でご一緒しているので。その場で生まれるものを大事に動いていて、それも本役でやった同士ならではなので楽しいです」
−お三方ならではのエピソードですね…!1曲でも『ミス・サイゴン』の世界観が蘇ってきていましたし、やはり『ミス・サイゴン』は帝劇のミュージカルの歴史の中でも重要な作品だと思います。
「僕自身も『ミス・サイゴン』はずっと帝劇に通って観てきた作品ですし、CDもずっと聴いていて、まさか自分が出るとは思わなかった作品でした。以前、連載でもお話ししましたが、2022年の『ミス・サイゴン』大千穐楽で市村正親さんに今まで聴き倒してきたCDにサインして頂いたんですよ。そのくらい思い入れのある特別な作品ですし、その楽曲を帝劇最後のコンサートで自分に任せて頂いたのは凄く光栄で、頑張ってきて良かったなと思います」

−怒涛の日々を終えて、もうすぐ帝劇ともお別れですね。
「2日に1回、ゲストが変わるので、最後の最後までゲストの方々との時間も楽しみながら、帝国劇場と最後にお別れができればと思います」
−3月からはミュージカル『レ・ミゼラブル』の大阪公演が始まります。
「大阪公演は2021年にコロナ禍で全公演中止になってしまったので、リベンジの思いもあります。最後まで上演し続けて、リベンジを果たしたいです」
『THE BEST New HISTORY COMING』は帝国劇場で2月28日(金)まで上演。2月28日公演はLIVE映像配信、映画館ライブビューイングあり。公式HPはこちら
ミュージカル『レ・ミゼラブル』の大阪公演は3月2日(日)から28日(金)まで梅田芸術劇場メインホールにて上演。公式HPはこちら

『THE BEST New HISTORY COMING』期間中の大変お忙しい時期にお時間を作っていただきました!ありがとうございました!!