世界中で名作と言われるミュージカル『レ・ミゼラブル』。2021年には日本公演も決定しています。中でもエポニーヌという女性が片思いしているマリウスを想い歌う楽曲「On My Own」はファンが多いのではないでしょうか。今回は「On My Own」の日本語歌詞には入っていない、英語詞の意味合いを解説していきます。

01 “Without him”と“Without me”の対比

「On My Own」では“Without him”というマリウスがいない時のエポニーヌの世界と、“Without me”というエポニーヌがいないマリウスの世界が対照的に描かれています。エポニーヌはマリウスに恋をしていますが、マリウスはコゼットという女性に夢中。エポニーヌの想いには全く気づかず、コゼットと会えるように協力を依頼します。

“Without him”、マリウスのいない世界では、知らない人ばかりの孤独な街に感じるエポニーヌ。しかし“Without me/His world will go on turning/A world that’s full of happiness/That I have never known”(私がいない彼の世界は回り続け、私の知らない「幸せ」であふれている)。なんとも切なすぎる対比構造です。

02 “he is blind”は“あの人なにも知らない”?

さらに、曲中に“he is blind”という歌詞があります。日本語版では「あの人なにも知らない」と訳しているのですが、ここにはもう一つの意味が含まれていると私は考察します。“blind”は盲目的という意味でも使われ、恋に盲目な場合にも使用される単語。つまり、マリウスはコゼットに夢中だから自分の想いには全く気づかない、という状況を示しているのではないでしょうか。

03 “On my own”は“ひとり”という意味だけじゃない!

タイトルにもなっている「on my own」という歌詞。日本語版では「ひとり」と訳されています。確かにエポニーヌはひとりぼっちで、その状況を歌っているのですが、もう少し掘り下げてみましょう。「own」は自分のもの、所有を表す単語です。そして最後には「I love him/But only on my own」という歌詞があります。つまり、彼女の恋心は自分自身だけのもの。彼には届かないもの。そんな風に感じるのです。

Yurika

名曲「On My Own」の魅力が伝わりましたか?日本語版を観劇する際もこれらの意味を含めて聴いてみるとまた感じ方が変わるかもしれません。映画『レ・ミゼラブル』(2012年)では、サマンサ・バークスさんが雨の中で歌う迫真の「On My Own」が堪能できます。ぜひ舞台と共に映画もチェックしてみてくださいね。Prime Videoで視聴する場合はこちら